3章.10 第八王女の驚愕
最近進みが遅いので、夜の公開が無いかもしれません。
ストック貯めたら普通に夜も上げると思います。
もっと頑張りますね!
国王が精霊使いの招致を勅命して随分と経った。
しかし、一向にその精霊使いがやって来る事は無かった。
おかしい、確か第三王子のアリューズ兄さんが勅命を受けて向かったはず。
あの野心の塊で時期国王の座をずっと狙っている兄さんが失敗するはずがない…。
むしろ、どんな手を使ってでも連れて来るはずだ。
「考えられる可能性とすれば、アリューズ兄さんがやられた…?いやいや!あり得ない!確か精霊使いは生まれて間もないはず…。両親が相当な実力者の可能性があるか…?」
私は答えのない問いを悶々と考えていたが、一度、頭を空にしようと剣の鍛錬をする事にした。
鍛錬場に向かう途中、2名の文官の話が私の耳に入って来た。
「聞いたか?全滅らしいぞ…!しかも、1人生かされて帰って来た騎士は廃人同然って話だ…!」
「アリューズ王子は精霊に殺されたとか言っていたらしいな…。しかも、単身でこの国を侵略するとか…。王子の首も持ち帰ったらしいから、騎士の妄言か事実か元老院も割れているらしいな…。」
……アリューズ兄さんが討たれた?
私は俄には信じ難い話に居ても立っても居られず、第一王子のライゼルお兄様の元に向かった。
「兄様、オフィーリアです。少々お時間よろしいでしょうか?」
「ああ、大丈夫だ。入っていいぞ。」
私はライゼルお兄様の許可を貰うと、すぐに入室して兄さんへ駆け寄った。
「ライゼルお兄様、アリューズ兄さんが討たれたというのは本当でしょうか?」
するとライゼルお兄様は大きな溜め息を吐き、私の質問に答えた。
「お前が知っているという事は、既に城内で噂が広まっているのか…。オフィーリア、これから話す事は他言無用だ。それを守れなければ話せない。世界樹様に誓えるか?」
私は当然とばかりに頷く。
ここで聞かないなんて選択肢はあり得ない。
「そうか…。アリューズが精霊使いに討たれた。それだけではない。同行した騎士も1人を残して全滅らしい。生き残った騎士も、アリューズの首を持ち帰って来たが精神を病んでしまってな…。今は自宅で療養している。」
まさか全てが事実だとは思わなかった私は、驚きを隠せなかった。
「まさか…。アリューズ兄さんはどの様に国へ招致しようと?その精霊使い殿の怒りを買うような事をしたのですか?」
私が再び質問すると、ライゼルお兄様も再び大きな溜め息を吐いた。
「精霊使い殿の知人に手を出したらしい…。騎士の話だとそれで精霊様にも怒りを買い、拷問に近い殺され方をされたと聞いた。俺が驚いたのは、騎士達は精霊を使わず全て剣で斬られたらしい。命乞いすら許されずにな…。」
私は驚愕した。
件の精霊使い殿は精霊の力に頼らずとも、自らの力で、我が国の精鋭騎士達を1人で斬り伏せるなど信じたくとも信じられない。
「それは誠なのですか…?そんな事、Sランク冒険者か国王陛下以外には無理なのでは…。」
私の問いにもなっていない呟きに、兄さんが反応する。
「それならば精霊使い殿はそれ程の実力者という事だ…。そして、その力がこの国に刃を向けようとしている…。騎士が我々王族に向けた伝言だ。「俺がこれから自ら行って、お前らが二度と関わらないと頭を下げない限り、俺は滅ぼすまで攻撃を止めない。」…我々は虎の尾を踏んだのだ…。」
ライゼルお兄様の深刻な顔が物語っている。
これが事実なのだという事を……。
「ならば今すぐ謝罪しましょう!まだ、アリューズ兄さんの独断という事で、誠心誠意の謝罪をすれば何とか……!」
私が言い切る前に兄さんが話し出す。
「いや、既に遅い…。一度騎士を派遣して誘致した時にも怒りを買い、腕と足を欠損させて言伝役として国に送られた。今回、最終勧告と言われたが、アリューズは非礼を犯し殺されたのだ…。精霊使い殿はもう、この国に向かって来ている可能性が高い。それに、国王は勅命を取り下げていないのだ…。」
私は目眩がした。
我々は神の代弁者を招く為に神々の怒りを買ったのだ。
「そんな……!せめて民だけでも…!元老院の方々はなんと!?」
「相手は1人だと甘く考えている…。俺の下の弟達は功績を上げようと躍起になっていて話にならん…!
国の存亡の危機にだぞ!?一体何を考えている!!あの阿呆共がッ!!」
ライゼルお兄様が怒りに任せて政務卓を叩く。
私が一瞬、ビクッと肩を震わせたのを見て、ライゼルお兄様が謝罪する。
「すまない…。だが、もう俺には止められないんだ…!父は…!国王はっ…!どうして俺を使わせてくれなかったのか!!」
聡明に見ていた兄の悲痛の叫びを、私はただ、聞くしか出来なかった…。




