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3章.9 出発の前に

GWはストック貯めるぞー!

この場にいる全員が時が止まった様に静まり返っていると、母さんが突然笑い出した。



「ふふっ!モウラ、見たわよね!?私、ウルドに負けちゃった!うふふっ!息子に越されるのが夢だったけど、こんなに早く越えられちゃうと、少し寂しいかな?でも、合格よ!」



母さんのお墨付きを貰い、俺は武器を仕舞って改めて母さんに向き直し一礼した。



「母さん、ありがとう。魔法を使う相手はまだ戦った事無かったから勉強になったよ。これでまたひとつ強くなれた。」



「ウルド、貴方は強くなったわ。でもね?世界には強者が沢山いるわ。今の貴方じゃ到底及ばない程の、ね。だから、逃げるという選択肢もある事を知っておきなさい。貴方が死んだらオリビアちゃんとルルちゃん、それに私達里のみんな、それに冒険者をやって知り合った友人達が悲しむ事を絶対に忘れないでね?」



俺は自然と母さんを抱きしめた。

改めて俺は生きて自由を掴むと、そう心に誓う。



「あらあら、里を出て寂しくなっちゃったの?オリビアちゃんとルルちゃんも見てるのに。」



「母さん俺さ、絶対生きて自由を掴んで来るよ。そして帰ったらみんなに俺の料理を振る舞うんだ。余りの美味しさにビビるなよ?」



俺は涙を堪えてるのをバレない様に、話をする。



「うん、…うん!楽しみにしているわね…!だから、早く帰って来ないとダメよ?じゃないと、オリビアちゃんを本当にウチの娘にしちゃうから!」



「寄り道しないで急いで帰って来るよ、母さん。」



母さんの顔は見えないが、恐らく泣いているのだろう。



俺はこの歳で母を泣かす親不孝な自分に、必ず帰って来てその分しっかり親孝行しようと心に誓った。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







夕食を終え、風呂に入って明日に備えようと思っていると、母さんに声を掛けられた。



「そうだウルド!明日には里を出るんでしょ?今日はオリビアちゃんを全力で甘やかしなさい!暫く会えないんだから、思う存分、ね?貴方がパパなんだからしっかりね!」



その言葉にハッとした。

俺は明日からの事しか考えておらず、オリビアを里に残す事で安心してオリビアの気持ちを考えてなかった。



「そうだね。ありがとう母さん。やっぱり一児の母は流石だよ。」



俺は母さんに感謝を伝えて、オリビアの元へ向かった。



「あー、…オリビア、たまには一緒に風呂入るか。頭、洗ってあげるよ。」



普段は俺から言わない事なので、少しぎこちなくなってしまった。

オリビアもまさか俺から言うとは思わなかった様で口を開けて驚いてる。



「いいの…?ウルド、明日から大変なんでしょ?わたし、ウルドの邪魔したくない…。今日も森から帰って来た時、ワガママ言っちゃったし…。」



こいつそんな事考えてたのか…。



俺はオリビアを抱き上げて風呂に向かう。



「俺が寂しいの。暫く会えないのは初めてだからね。オリビアは寂しくない?」



俺がそう聞くと、涙を溢れさせながら答える。



「寂しいっ…!寂しいよっ!本当は行って欲しくないっ!!……でも、わたし我慢出来るから!だから、絶対帰って来てねっ!」



その後、風呂に入り一緒に寝てオリビアを全力で甘やかした翌日の朝、オリビアが目覚める前の朝焼けの中で俺は静かに家を出た。









「ウルド兄、行くんだね。絶対にこっそり出ると思ってたよ。」



里の入り口にはルルが待っていた。

さっきまで泣いていたのか少し目を腫らしている。



「ルルにはお見通しだな。ちょっと王様に文句を言ってすぐ帰ってくるよ。…ルル、おいで。」



今日は俺からルルを抱きしめる。

いつもと違う俺にルルがびっくりしていた。



「ふぇっ!?う、ウルド兄からなんて、ついに私の魅力が伝わったの!?まさか夢!?待ってたら寝ちゃった…?」



「夢じゃないし、偶にはいいだろ?暫く会えないからね。必ず生きて帰って来るから、オリビアの事よろしく頼む。ルルは良いお姉さんになってくれそうだから。」



俺がそう言って離れると、あっ…と声が聞こえたが、直ぐにしっかりしたお姉さんの顔になった。



「任せてっ!私がしっかりお世話するから、安心して行ってきてねっ!」



これで安心して行けるよ。



「ありがとう、ルル。絶対帰って来るから。行って来ます。」



最後にルルの頭を撫でて俺は里の外へ向かう。







待っていろティーザニア国王、俺が今から行って、お前の錆固まった考えと面をぶっ飛ばしてやるよ。




そして、必ず生きて帰ってくる!

みんなと約束したからな!

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