3章.6 開戦
オブリビオンのリマスターが発売してちょっと持って行かれそうです…。
里に戻って1ヶ月、平穏な日々が続いていたが、異変はあった。
ザガルタの我が家が襲われた。
ただ、ザガルタを出る前に精霊で対策していたので、翌日の朝に襲撃犯のエルフは冒険者ギルドの前で死体が晒されていた。
調査の結果、襲撃犯はティーザニア王国の暗部の者らしい。
それを公表されたティーザニア王国は、相当頭に来ているだろう。
そして、この里の森にも斥候が何度か来ていたという情報があった。
といっても入り口まで来て帰るらしく、相当警戒しているらしい。
それら全ての関与を否定しているのがこの国の凄い所だと思う。
馬鹿にし過ぎだろ、前世なら普通に戦争だ戦争。
そして今日、決定的な事件が発生した。
俺はルルの魔力操作の修行を見ていた。
「ルル、まだ流れにぎこちなさがあるから、もっとイメージするんだ。川の水の流れのように、全身の血管に血が流れていくように。これは人それぞれだから、自分がしっくりくるイメージを見つけると、もっと良くなるよ。」
ルルはこの1年すごい頑張ったのだろう。
俺の予想の数倍は早く成長していた。
「うぅー…まだまだダメかぁ……。でも、絶対諦めないんだからっ!」
俺に不合格と言われたと思ったのか、ルルはガックリと項垂れたが、すぐに立ち直った。
俺はルルの頭を撫でて、勘違いしているルルを褒めてあげた。
「ルル、全然ダメなんかじゃないよ?むしろ俺の想像以上の成長だ。この調子で練習すれば、いずれ一緒に街で冒険者になるのもいいかもしれないね。」
ルルが凄い速度でこちらを向く。
「ウルド兄と!?約束だよッ!!絶対にもっともっと上手くなるから!!」
本当にこのまま続けていけば、15歳になる頃には立派な魔術師になれる筈。
「ルルが望むならね。まぁ、そうなると俺は旅に出るから里には中々帰れなくなるし、何よりルシウスさんを納得させられる実力をつけないとな?」
それが一番の難題だけどな。
そんな話をしてそろそろ今日の狩りに行くかと思った俺に、最悪の情報がもたらされた。
森に警邏に出たルシウスさんが、緊急事態なのか大声で叫びこちらに走って来た。
「ウルドーーッ!!カサンドラから急報だッ!!紅の乙女が襲われて、ザガルタに撤退したッ!!奴等、この里を国の要人を攫った叛逆者扱いだ…!近々、討伐隊を編成して攻めて来るぞッ!!」
……ああ、遂にこうなったか。
俺は無意識のうちに魔力操作を発動していた。
「う、ウルド兄……?」
魔力が身体から漏れる程の魔力にルルが震えているのに気付いた俺は、怒りに我を忘れかけた事に反省した。
「ルル、怖がらせてごめんね…。悪いけど、オリビアをお願いしてもいいかな?俺はちょっと、出かけて来るからさ。」
何故、邪魔をするんだ?
俺はただ、旅をしてこの知らない世界を周って知らない種族との交流や知らない食べ物を食べたり、時には冒険者として戦ったり、知り合った人達と楽しく酒を酌み交わす…。
そんな、自由な生き方をしたいだけじゃないか。
「ルシウスさん、紅の乙女の皆さんは無事ですか?負傷の具合は?」
俺は逆に冷静になってきた。
まずはみんなの安否だ。
「あ、ああ。街で襲われた時に軽傷を負ったらしいが、皆、無事にザガルタに向かっている…。ウルド、お前……!」
俺はルシウスさんにその先を口にさせなかった。
「ルシウスさん、父さんと母さんに伝えて里の防御を固めて下さい。別働隊がいる危険性もありますからね。俺が戻るまで、里の守りをお願いします。」
それだけ言って、俺は森に向かって歩き出した。
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自由に生きる、ただそれだけが望みだった。
そんな細やかな願いすら、俺は今邪魔をされているのだ。
挙げ句の果てには、俺が築いて来た関係にすら傷を付け、否定された。
こんな事、誰が許せるというのだ。
「ドライアド、来い。」
「いるわよ、私の契約者様。今回の件、私達精霊も怒っているの。呼ばれなくても参加したわ。」
森の木々が騒めく程の殺気。
自分が選んだ契約者をここまでコケにされたんだ。
それはドライアドが舐められているのと同じ。
「呼ぶに決まっているさ。だって、俺はもう許さないんだから。」
精霊信仰の国が精霊を怒らせて滅びる。
最高の喜劇じゃないか。
森の入り口に近付くと、ティーザニア王国の騎士達が陣形を組んで待っていた。
俺は堂々と歩き、そいつらに近付いていく。
すると、隊長らしき人物が俺に声を掛けてきた。
「貴殿がウルド殿で間違いないか?私はティーザニア王国第三王子のアリューズ・リ・ティーザニアである。貴殿には国王の勅命により、我々と共に本国へ来て貰う。そうすれば、貴殿の知人に危険が及ぶ事はないだろう。如何か?」
こいつらは人を怒らせる天才なのか?
俺はギリギリで怒りを抑え、アリューズと名乗る馬鹿に答えた。
「お前、俺が生かした3人から話を聞いてないのか?お前のせいでこいつらは今から死ぬぞ。今ならカサンドラでお前達が傷付けた冒険者に謝罪して、二度と関わらないと誓えば許してやる。」
最終勧告。
ここを越えればもう、俺も止まれない。
頼むから、これ以上やらせないでくれ。
俺の願いを他所に、アリューズは苛立ちながら俺の最終勧告に返答した。
「貴様、精霊使いだからといって王族である私にその態度、本来なら死刑だが許してやる。だが、我々が下賤な人族に頭を下げるなどあり得ない。そもそもお前が始めから大人しく勅命に従えばこうはならなかったのだ。己のせいではないか?」
ーーープツン、と何かが切れた音がした。




