3章.4 突然だらけの里帰り
昨日爆睡してあげ忘れてました!
俺は形振り構わず始めから全力で街道をかけ続けた。
「オリビア、怖かったら目をつぶっててね?まだもう少し掛かるから。」
そう言うとオリビアから元気は返事が返ってきた。
「わたしは大丈夫だよっ!それより景色が
流れてすごいのっ!」
楽しそうだし大丈夫そうだな。
俺はそう思いつつ街道をひた走る。
1時間程走り、里に続く森も減速する事なく駆け抜けると、恐らく狩りに出ていた里の部隊に遭遇した。
「待て!お前どこの……ってウルドか?格が上がった様だな。立派になった。というかその子は何だ?ダークエルフに見えるが。」
ルシウスさんだった。
やはりダークエルフは知っていたか…。
もうこれは賭けだ。
俺はオリビアについて説明する事にした。
「久しぶりですね。この子はオリビア。ダークエルフで闇奴隷として捕まっていたのを俺が買い取って引き取りました。今は娘みたいな感じです。」
流石にオリビアは俺の胸に顔を埋めて震えている。
こればかりは仕方ないな。
そんなオリビアにルシウスさんが狼狽えた。
「おっと、怖がらせたか。安心しなさい、オリビア。我々の里ではダークエルフを迫害などしない。だから国の外に住んでるんだからな。ウルド、モウラ達に早く見せてやれ。あいつら喜ぶぞ?」
流石はルルの父親だ。
オリビアも優しい声色で語りかけたルシウスさんに少しずつ警戒心を解いてきている。
「ありがとうございます。里に戻った理由は夜に。里長は勿論、みんなにも伝えなければいけない話です。それでは。」
ルシウスさんに感謝を伝え、再び駆け出す。
オリビアは勿論、俺も安心した。
最悪、森で野宿も考えていたので助かった。
結局、ザガルタを出て3時間程で里の入り口まで着いてしまった。
夕暮れ前に着いたのは大きいな。
「変わらないな。さて、まずは実家に行ってみようか。オリビアを紹介しなきゃね?」
「う、うん……。わたし、大丈夫っ。」
オリビアが、自分に言い聞かせるように答えた。
俺はオリビアを抱いたまま、実家のドアをノックする。
「はーい。……あら?ウルド?急に帰って来るなんて……その女の子はどうしたの?」
母さんが固まっていた。
誘拐と間違われてたらマズイよな。
「ただいま、母さん。この子はオリビア。闇奴隷で売られていたから買い取って解放したんだ。今は俺の娘みたいな感じかな。オリビア、俺の母さんだ。挨拶出来るかな?」
するとオリビアはまだ緊張している様子だが、恐る恐る喋り出した。
「あっ…わたし、オリビアって言います…。ウルドにお世話になってますっ!」
母さんが固まっている。
オリビアが固唾を飲んで待っていると、ハッとした顔をした母さんは、俺からオリビアを奪うと感情を爆発させた。
「きゃーッ!!可愛いわ!!私、娘も欲しかったのよねぇ…。いや、孫になっちゃうかしら?まぁ、どっちでもいいわよねっ!!パパが帰って来たら喜ぶわよー?」
母さんに頬擦りされるオリビアは、まだ理解が追いついてない様子だけど、これで最大の心配は排除出来たから一安心だ。
「ウルドが帰って来たとは本当か!?……おお!リリーナが抱いているのがルシウスが言っていた子か!!ウルドも少し早い気がするが、父になったのだな……。よし、今日は盛大な宴にしよう!!」
勢いよく聞け放たれたドアから父さんが現れて、何やら感動していた。
「ただいま父さん。悪いけど、宴の時に話があるんだ。大事な話だから、里長や大母様、ルシウスさんにも同席してほしい。」
俺は父さんに話がある事を伝えると、何かを察したのか真剣に顔に変わった。
「ウルドに異名が付いたと商人から聞いた時に嫌な予感がしたが、ティーザニアから接触があったな?お前と昔、初めてザガルタの冒険者ギルドに行っただろ?あの時から師匠と危惧してたんだ。必ず接触して来るだろう、とな。」
流石父さんとザイルさんだ。
俺は本当に世界を知らな過ぎるのかもしれない。
「ありがとう、父さん。今日こうやって話していられるのは、本当に父さん母さんのおかげだ。だからこそ、今度は俺がみんなを守りたい。だから、暫くの間、里に置いてくれないだろうか。」
俺は父さんに頭を下げた。
俺は今、里から独立して外に出た部外者だ。
身内とはいえ、父さんは族長代理を務める事もある身。
こういった礼儀作法は必要なのだ。
暫くして、父さんは懐かしく感じる笑顔で答えてくれた。
「当たり前だ!お前が街で体験した出来事を聞かせてもらうのに、一晩では足りんからな!…それに、あまり父と母を舐めるなよ?あのような錆び付いた国の雑兵など、千人来ようが負ける事ないわ!ハッハッハ!!」
ああ、やっぱり大好きだよ、父さん、母さん。
その後、宴の時間までもう少しあるので、俺は久々に我が妹に会いに行こうとルシウスさん一家の家に向かった。
因みにオリビアは、母さんにすっかり懐いてたので置いて来た。
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家に着きノックをすると、ルーセリアさんの声が聞こえた。
「はいはーい、どちら…ってウルド君じゃない!また立派になってまぁ!何?ルルを娶りに来てくれたの?ちょっとまだ早い気がするけど、ウルド君なら任せられるわね。じゃあルルを連れてリーリエ達に挨拶を……。」
このまま黙ってると旅に出る前に妻と子持ちにされそうなので、俺はルーセリアさんを制止した。
「まだ夢半ばの若者を急に妻子持ちにさせないで下さい。ルルには会いに来ましたけどね。お久しぶりです、ルーセリアさん。ルルはいますか?」
「聞いたわよー?ダークエルフの可愛い女の子を連れて帰って来たって。ルル呼んで来るから、それまでに説明考えといてよね?じゃないと私、本当にリーリエに嫁にしろって脅しに行くから。」
とんでもない母親だった。
「分かりましたよ……。だから母さんに謎の脅迫するのはやめて下さいね。」
俺の言葉を聞くと、ルーセリアさんは笑いながらルルを呼びに行った。
数秒後、ガタン!と大きな音が聞こえ、ドタドタと走る音が近付いて来た。
「ウルド兄っ!!!おかえりなさいっ!!!」
玄関先から飛び込んで来たルルを抱き止めると、1年で成長した重みを感じる。
「ルル、ただいま。見違えたよ、本当に綺麗になったね。」
本当に久しぶりだな…。
連絡がなかったのは修行を頑張っていた証拠だと思っていたが、やはり寂しかった。
「ウルド兄も、もっとカッコよくなったよっ!えへへっ!修行も順調で、もう少し上達したらお手紙を出そうと思ってたのっ!それで、今回はどうしたの?まだまだ帰って来ないと思ってたけど。」
来た。
いや、別にやましい事はないんだが、何故か俺は緊張している。
俺はルルを下ろして目線を合わしてしゃがみ込み、ルルへ説明する。
「ルル、俺さ、娘が出来たんだ。ダークエルフで名前がオリビア。闇奴隷になってた所を見つけて買い取ったんだ。仲良くして貰えるかい?」
そして、里に帰って何度目かの時が止まった。




