2章.29 涙
読んで頂きありがとうございます!
朝は7時投稿に固定します!
目を覚ますと、知ってる天井だった。
どうやら俺は戦闘後に気を失ったらしい。
「やば……!?痛つつっ。」
風の鎧で守っていたけど流石に全てはむりだったようで、恐らく肋骨をやってしまったみたいだ。
「本当に心配させて!!貴方は私の契約者なんだからしっかりしてよね!!」
ドライアドに心配掛けてしまった。
あの蹴りは予想してたけど、思った以上にダメージが大きかったな。
「悪かったよ…。ちょっと相手を舐め過ぎた。次から気を付けます…。」
そう謝ると、当たり前よ!!と言い残して森に帰って行った。
ドライアドには後日何か詫びに何かを用意しよう。
今はオリビアが心配だ…。
とりあえず早く帰らなきゃな…。
そう思い、ギルドの医務室から右脇腹を抑えながら退室する。
くっそ痛ぇ!!前世じゃこんな怪我した事無いっつーの!
壁をつたって廊下を進むと、長身の眼鏡を掛けたエルフに見つかった。
「ウルド君!?まだ動いては行けないよ!骨が折れてる筈だ!!無茶な事するんじゃない!!」
今まで見たことの無い剣幕でザイルさんに怒られたが、俺はそれどころじゃなかった。
「痛つつ…、ザイルさんお願いですから家に帰して下さい。オリビアを置いて離れてる訳には行かないんです…。俺、どれくらい寝てましたか…?」
俺の必死な様子にザイルさんも荒げていた声を落ち着かせ、子供を諭す様に答えた。
「まだ3時間程ですよ…。貴方は街を救った英雄なんです。そんな君を大怪我させたまま帰したとなれば、一緒に戦った冒険者達が何をするか分かった物じゃありません。それに、僕が一緒に行って大怪我をさせてしまった事、君の娘さんに謝罪しないといけませんからね。」
良かった…、数日寝てたかと思って血の気が引いたぞ…。
「ありがとうございます…。ちょっと魔力を使い過ぎて、回復魔法が上手く使えないので。明日には治せると思いますから大丈夫です。それより早く帰らなきゃ…。」
俺はザイルさんに肩を借りながら、ギルドのメインホールへと向かった。
「ウルド君!?良かった…、私が…、私が貴方に依頼を伝えたから!死んじゃうかも…ひっく…しれながっだのにっ!ごべんなざいっ!!うわあああああんっ!!」
ミレイさんが俺を見かけた途端にガチ泣きしてしまった。
「よしよし、貴女は仕事を全うしただけなんだから、そんなに泣いたらウルド君が困ってしまうわよ?…ウルド君、生きて帰って来てくれて良かったです。ミレイは私に任せて下さい。ね?」
ジニアさんがミレイさんを抱きしめて宥めてくれてる。
流石にみんなに心配かけ過ぎちゃったな…。
大人の女性のガチ泣きは俺にはどうする事も出来ないので、ジニアさんに任せる事にする。
「ミレイさん、ジニアさん。心配かけ過ぎてしまってすみません。明日には治せるのであまり気にしないで下さい。今回はちょっと無理し過ぎたと反省してますから、ミレイさんが落ち着いたら伝えて下さい。貴女のせいでは絶対にないって。」
そう言い残し俺はザイルさんに肩を借り、オリビアが待つ家へと急いだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ここが俺の家です。すいません、お手数お掛けしてしまって。痛い!?」
俺がザイルさんに謝ると、わざと痛めた箇所をグッと押された。
ひどい。
「ですから、貴方が謝る事無いと何度言えば分かるんですか。むしろこれから僕が謝らなきゃいけないんですからね?ほら、行きますよ?」
ザイルさんが家をノックすると、中からオリビアの声が聞こえた。
「…誰、ですか?ウルド…?」
やはり心配させてしまったみたいだ。
俺はオリビアに返答する。
「ごめんオリビア、ちょっと怪我しちゃったからドアを開けてくれる?」
俺が答えた瞬間、ドアが勢いよく開いてオリビアが飛び出してきた。
「ウルド…?ウルド!大丈夫!?やだよっ!ウルドが死んじゃったらわたし!わたしも死ぬからっ!だから、死んじゃやだぁ…うわああああああ!!」
まずい、せっかく落ち着いてきたのにまたぶり返してしまう。
俺はオリビアの頭を撫でながら落ち着かせた。
「オリビア、心配掛けてごめんね。ちょっと怪我しただけだから大丈夫だよ。明日には治せるから、治ったらまたのんびりしよう。ほら、先ずは家に入れてくれるかな?俺、座りたいし。」
立ちっぱなしが傷に響いてた俺はオリビアに中に入るよう促すと、鼻をすんすん鳴らしながらようやく承諾を貰い、ようやっと我が家に帰宅する事が出来た。
ザイルさんに椅子までかい助して貰い、やっと腰を落とせた俺からオリビアは離れない様子なので、ザイルさんがそのままオリビアに謝罪を始める。
「オリビアさん、僕はウルド君の働く冒険者ギルドのマスターでザイルと申します。今回はウルド君にこんな怪我を負わせてしまい、申し訳ありませんでした。全ては僕の責任です。」
ザイルさんはそう言いオリビアに頭を下げた。
「何で…何でこんな怪我したのっ!!ウルドじゃなきゃダメなの!?わたし、ウルドがこんな…こんな痛い思いするなら、わたしが代わりに死ぬからっ!だから!…だからっ!!」
吐き出す様にザイルさんへ気持ちをぶつけるオリビアを俺は痛みのない左腕で抱きしめ、オリビアを宥める。
「オリビア、今回のは俺が少し無茶し過ぎちゃったんだ。だから怒られるのは俺。ちょっと色々な人を泣かせちゃったから本気で反省中だよ…。だから、心配掛けてごめんね?」
「……うん。でも、さっきのは本気。ウルドが死んじゃったらわたしも死ぬ。だから死んじゃダメ。わかった?」
どうやら落ち着いてくれたみたいで良かった。
オリビアが静かになったのを見て、ザイルさんが立ち上がる。
「ウルド君、今回は本当にありがとう。君がいなければザガルタは壊滅的な被害が出ていただろう。ただ同時にオリビアちゃんに心配をかけ過ぎたのは本当に申し訳ない。僕には子供がいないから配慮に欠けていたよ。」
再び感謝と謝罪をするザイルさんに居た堪れなくなった俺は話をぶった斬った。
「はい!終わりです!辛気臭いのは終わりにしましょう。せっかく勝ったんですし、ね?それよりご飯食べていって下さいよ。昨日作ったシチュー、自信作なんです。昨日ミレイさんにも用意したのに、この世の終わりみたいな顔で食べてくれなかったんです。」
俺が立ち上がり準備しようとすると、二人に座ってろと怒られて結局夕食の準備はさせてもらえなかった。




