2章.27 流星
MLB観ながら書いてますが、今日の試合が面白すぎるので2話連続投稿しますね
入場門前には既に、ギルドにいた30人近くの冒険者が集まっていた。
その中の見覚えのある2人組がこちらへ近付いてくると話しかけてきた。
「おっ?お前、ウルドじゃねぇか?久々だな!ここにいるって事はCランクになったんだろ?やっぱ俺の目は正しいって事だ!」
「あの弓術じゃオークなんか楽勝だろうな!この戦いで、どデカい功績上げてBランクへの足掛かりにしてやろうや!」
前に護衛任務で一緒だった『炎龍の牙』だ。
やはり、Cランク以上のザガルタにいる冒険者は大体来てくれているらしい。
俺も知った顔を見て少し安心した。
「炎龍の牙さんお久しぶりです。今日は最初から全力で行くのでよろしくお願いします。」
俺はいつでも動けるように、既に魔力操作を全力で発動していてアップしながら話している。
俺もどうやら緊張しているようだ。
他の冒険者達も不安や緊張を打ち消す為か、雄叫びや知り合いの冒険者と馬鹿騒ぎしている。
そこに、装備を整えたザイルさんが現れると、全員が一瞬で静かになった。
「皆さん、お集まりいただき本当にありがとうございます。時間がないのでギルドで説明した内容は飛ばして、今回の配置についてお話します。まず、魔術師の皆さんとウルド君は最前線にて進行して来る奴らに全力の一撃をぶつけて下さい。その後、魔術師は後方へ退避、ウルド君は主力部隊と合流して戦闘開始して下さい。ここまでは大丈夫ですね?」
皆が俺の方を見るが、誰も異論を唱える事はなかった。
ソロでオーク討伐やゴブリン集落を潰したりしてる話が広まってるらしいとミレイさんが言ってた気がする。
俺的にも余計な言い争いしてる暇が勿体ないので、視線を気にせずザイルさんを見つめていた。
「では続きを。Cランク以上の皆さんが主力部隊となっています。Dランクの方達は僕と共にこちらで最終防衛地点で待機。僕は機を見て前線に出ますので、それまで戦線の維持をお願いします。特にトロルの再生能力とオークの上位種に注意して下さい。いいですね?1人で挑むと死にます。なので、遭遇した場合は複数人で対応する様に。」
これは俺もだ。
恐らくオーク王にソロで挑んでも勝ち目はない。
予想が外れてくれるのが一番嬉しいんだけど、かなり嫌な予感がする。
多分いるんだろう、奴等の王が。
要は1人じゃなくて、仕留める為の隙が出来れば良い訳だ。
そこで俺は、久々にドライアドを呼び出した。
「ドライアドごめん、君の力が必要だ。最悪死ぬかも知れない。」
すると仕組みがわからないが、空間が歪みドライアドが現れた。
が、現れた瞬間から不機嫌&お説教タイムだ。
「貴方、久々に呼び出したと思ったら何でこんな事になってるのよ!ルルちゃん泣かしたら許さないんだからね!せっかく貴方に会う為に、里で頑張ってるんだから!」
そうだ、ルルに修行の成果を見に行く約束もあるんだ。
こんな所で死んでられないよな。
「分かってる、だから君を呼んだんだ。今まで頑張って鍛えた力の全てを持って奴等を潰す。」
それを聞いたドライアドは深い溜息を吐いて話を続ける。
だけどさっきの様な不機嫌そうな顔ではなく優しげな表情で、精霊としての威厳的な物を感じた気がした。
「安心なさい。私が来たからには貴方を絶対に死なせないわ。それにやっと貴方が本気を出すんでしょう?一緒に戦えるのを楽しみにしてたんだから。私達の力を見せつけてやりましょう!」
凄いヤル気だった。
こいつ戦闘狂かよ。
まぁ確かにドライアドと本気で共闘した事なかったな。
これからは本気を出す機会も増えそうだし、連携の練習の為にたまに呼んでみるか。
「ああ、そうだな。俺達を相手にした事を後悔させてやろうか。」
俺はドライアドに返し、待機地点へと移動を開始した。
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魔術師達と配置に着いた俺は、魔力探知と鷹の目を使って敵の進行具合を確認する。
まだどちらにも姿は見えてない。
しかし、斥候からは真っ直ぐ此方に向かっているとの報告があった。
進行速度はそれほど速くない様だ。
俺は更に魔力操作のギアを上げていると、魔術師の1人に話しかけられた。
「ち、ちょっと君!とんでもない魔力を練り上げてるけど、それ大丈夫なの…?」
恐らく魔力探知を持っているのか俺の体内魔力を感じ取ったんだろう。
俺は気にせず更にギアを上げて言葉を返す。
「大丈夫ですので気にしないで下さい。初撃で半分は持って行きたいので、もう少し上げておきたいんです。」
周りの魔術師達が俺の発言と魔力を見て絶句してるが、今は気にしてる場合ではない。
限界まで上げて待機していると、ついに俺の魔力探知に反応が現れた。
「……来た。敵の反応を確認!まだ視認まで距離がありますが、数分後には視認出来るはずです!」
俺が魔術師達に伝えると、俺の魔力を探知した人から順に警戒を始めた。
鷹の目を再び発動すると、オーク達が隊列を組んでこちらに真っ直ぐ向かって来ているのを確認する。
前方の部隊からは大きな反応はないので、上位種は恐らく後方に固まっているかも知れない。
「皆さんに合わせるので、魔法を撃つ時に教えて下さい!」
俺は弓を出して今まで体内で練り上げた魔力を流し、魔力集中で強力な魔力の矢を創り出した。
今までで一番魔力が凝縮された矢は、俺の周りの空気を振るわせる。
まだだ、まだ早い。
敵を全て巻き込む一撃をお見舞いしてやる。
そして、魔力探知に一際大きな反応が現れた。
……来た。
こいつが王だ。
「君!これ以上は退避が間に合わなくなる!!攻撃開始するぞ!!」
先程の魔術師が叫ぶ。
欲を言えばもう少しだけ引き付けたかったが仕方ない。
「どうぞ!攻撃開始して下さい!」
魔術師達が己の最大魔法を放つ。
色々な属性の魔法で敵の前衛が吹き飛ぶのを確認して、俺は空に向け弓を構える。
「“流星“」
放たれた光の矢が空中で落下を始める。
その瞬間、幾千幾万の光が流星の如く降り注いだ。




