2章.16 壊れた少女
この話で50話目みたいです!
ここまで続けられたのも、皆さんが読んでくれているお陰です!
これからも頑張りますので、よろしくお願いします!
バッドエンドは嫌いなので、ハッピーエンドを目指してます!
翌日、昨日楽しみ過ぎたのか昼に目が覚めた。
今日は昨日パゴダさんから聞いた闇市に行こうと思っていたので、身支度を整えて貧民街に向かった。
闇市に行く人の流れに乗って貧民街に着いたが、あまりの活気に驚いた。
俺はスラム街を想像していたが、思ったより綺麗だし明らかに裏社会の人間もいない。
まぁ、実際はここにいる商人の大半がそっち側なんだろうが。
俺は早速お目当ての剣を探して物色していた。
「おっ?この剣はいいな。」
鑑定で剣の詳細を見ながら物色してると、一振りの剣に目が止まる。
ミスリルの剣
切れ味+2 魔力吸収
「店主、この剣の値段は?」
「へい、金貨10枚でさ。」
しまった…。高いかわからん。
相場ぐらいは調べておくべきだったか。
俺はダメ元で、人生初の値切り交渉に挑戦してみる事にした。
「もう少し安くならないか?即決したいんだが、他の店をまだ見てなくてな。」
「それなら金貨8枚でいいですぜ。旦那は剣の価値が分かっていらっしゃる様ですし。」
「よし、買った。」
これは良い買い物をしたな!
魔力の通りも良くて切れ味も良い、しかも斬った敵の魔力を吸収する剣が金貨8枚!
早く実戦で使いたい衝動を抑え物色を続けると、檻に入れられた獣がいくつも並んでるエリアに着いた。
恐らく密猟された珍しい生き物だろう。
森に生きる者として少し腹が立ったが、ここで騒いでも解決はしない。
そして、その並んだ檻に見つけてしまった。
褐色の肌に黒髪の耳の長い少女。
「ダークエルフ…。」
自然と足が檻へと向かう。
誰もが立ち止まらず通り過ぎて行く檻の前に立つ。
「君は、ダークエルフなのか?」
こちらを見る様子はない。
いや、反応すらない。
ただ、そこにいるだけ。
目は虚ろで明後日を見続けている。
頬は痩け、ピクリともしない。
彼女は既に、壊れていた。
まだ幼い少女が首輪を繋がれて、心が壊れても晒され続けている。
俺は自然と動き出していた。
落ち着け、ここは異世界だ。
奴隷が存在するのが普通かもしれないんだ。
「おい、店主。こいつは売り物か?」
まさか興味を示されるとは思わなかったのか、一瞬顔が固まったが、すぐにチャンスと思ったのがセールストークを始めた。
「へへッ!旦那、ソイツを欲しいんですかい?もうブッ壊れてますが、生贄などには使える筈ですぜ!一応レアなダークエルフなんで、そこそこ根が張り…!?」
限界だ。
初めてだった。
他人に対してこんな殺気を放ったのは。
「店主、値段は?」
俺はコイツをすぐに殺せるだろう。
だが、そうなると首輪がどうなるか分からない。
怒りで直ぐにでも目の前の俺をぶん殴りたい衝動をギリギリ抑えつつ、更に男へ圧をかける。
「おい、よく考えてから言えよ?値段は?」
最終勧告。
店主は震えながら答えた。
「き、きき金貨1枚……、ソイツの買値に少し色を付けただけです!い、今までの世話代を乗せただけだ!!信じてくれ!!」
「よし、とっとと契約書と鍵を持ってこい。」
俺は金貨を店主の前に放り投げ殺気を送り続ける。
店主は慌てて契約書を持ってくると、ブルブルと震えながら差し出してきた。
「こ、こここれです!!どうか、命だけは御勘弁を!!」
汚物を見る目で最後に一瞥して、少女の檻の前に再び立つ。
「今出してやる、待ってろ。店主、早く出せ。」
店主に鍵を開けさせると、俺は少女の目の前にしゃがみ込み話しかけてみる。
「行くぞ。こんな所にいては死んでしまう。」
俺は少女の手錠に繋がれてた鎖を引きちぎり、手錠を鍵で外した。
少女の表情は変わらない。
俺はその目に覚えがあった。
俺が前世で死を選んだ時の目だ。
この子は死を受け入れている。
俺にはこんな少女が自分と同じ決断をしてしまうのが許せないしやるせなかった。
気がつくと、今の騒動を観ていた野次馬が静まり返っていた。
中にはダークエルフなんて買うなんてと思っている者もいただろうが、殺気を放ち、憤怒の顔のエルフに野次を飛ばす命知らずはいないらしく、自然と野次馬達は道を空けていた。
俺は周りの視線など気にせず壊れた少女を抱き抱え、宿に戻った。
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宿に戻り、まずマスターに事情を話した。
この子がいるせいで宿屋に迷惑をかけてしまうかもしれないからだ。
「俺はそういう偏見はねぇから安心しろ。しかし、エルフのお前の方がその、大丈夫なのか?同族から何されるか分からんぞ?」
「俺は大丈夫です。なんの罪もない女の子をこんな状態にする屑なら同族とは思わないので。」
年端もいかない少女を迫害する者などに仲間意識を持つ?あり得ない。
…行けない、冷静にならなくては。
俺は深呼吸をして、心を落ち着かせる。
「取り敢えず、大きめの桶をお借りしていいですかね?後、娘さんか奥さんがいたらこの子の服と下着を買ってきて欲しいのでお願い出来ますか?お釣りは差し上げますので。迷惑料だと思って下さい。」
そう言って俺はマスターに金貨3枚渡す。
「だー!分かった!ただし貰い過ぎだ!なら、その子の宿と飯代として貰うからな!」
やはり良い人だ。
この宿にして本当に良かった。
俺は桶に水魔法で水を張り、水の中で火魔法を使いぬるま湯ぐらいの温度にした。
少女のボロボロの服を脱がすのに、一応女性相手なので確認を取る。
「おい、取り敢えず身体を綺麗にするぞ。いいか?」
反応がない。
仕方ないので、ボロボロの布を剥ぎ取り少女を桶に入れる。
石鹸を使って丁寧に洗い、服が来るまで大きいタオルに包ませた。
「さて、どうしようか…。取り敢えずご飯かな。」
前世じゃ結婚もしてないし勿論子供もいなかった。
しかも、ここまで壊れているならば専門医の治療と入院が前世だと当たり前だ。
だか、この世界にそんな者いるはずがはい。
どうすれば、この少女の心を取り戻せるだろうか。
そう考えながら俺は少女の食事を取りに向かうのだった。
ウルド、キレた!




