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間話 ありがとうって伝えたくて

リアル忙しくて時間がががが

死ぬ。


私はもう、長くない。


もう、痛みすら分からなくなってきた。


ゴブリンの奇襲を受けて、私はお腹を大きく斬られた。

私の不注意が原因で自業自得だ。


私を庇いながら戦っていたから、お兄ちゃんにも怪我をさせてしまった。




『みんなだけでも逃げて。』




そう口にしたいのに、上手く喋れない。


「に、…げ、ぐぁ……。」


何度も何度も何度も言った。




でも、駄目だった。




「ライラ!絶対に、絶対に助けるからな!」


お兄ちゃんが励ましてくれる。

けど、自分には分かってしまうんだ。




この傷じゃもう助からないって。




私が5歳の時、両親が死んだ。

野盗に襲われたらしい。


その後、私達は孤児院に引き取られて育った。


スキルを授かった10歳の誕生日、私は火魔法のスキルを覚えてすごい嬉しかった。


お兄ちゃんの夢だった冒険者、私も一緒にその夢を目指せるんだって。


お兄ちゃんの友達のメイソン君と私の親友のエビネちゃんも一緒に参加して、ついに私達は夢だった冒険者になれたんだ。





なのに…、なのにこんな最後は、嫌だな。





まだ15歳。

恋もしてないし夢も始まったばかりなのに。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





……私、死んじゃったのかな。


もう、痛みはない。


なんだかとっても、暖かい。


私、お母さんとお父さんに会えるかな。


こんなに早く会いに行って怒られるかな?


ーーーまた意識が途切れる。






再びうっすら意識を戻すと、お兄ちゃんが知らない人と言い争いをしている。


お兄ちゃん、なんで泣いてるの?


みんな、どうして泣いてるの?


あの綺麗な金髪の人は誰?


頭が働かない。

身体も動かないし、声を出す気力もない。

少しでも油断したら、また意識が途切れそうだ。


金髪の人が去って行く。


お兄ちゃんが私を背負ってくれている。


お兄ちゃん、怪我してるのにごめんね?


私が、足手纏いの私が悪いのに。


ああ、まただ。


ーーまた、眠く………。






……あれ?私、まだ背負ってもらってる。


景色が高くて、それに、暖かいな…。


この感覚、少し前に感じた暖かさだ。


すごく安心する。

また私、眠くなって………。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





私は目を覚ますと、みんなに囲まれていた。


「あれ?私、死んじゃったんじゃ……。」


メイソン君が慌てて走っていく。

エビネちゃんは、私をぎゅっと抱きしめてくれる。 

「ライラ…!ライラ!本当に良かった!!……貴女が死んじゃったら、私…!」


「く、くるしいよエビネちゃん!私はどうなったの?確かゴブリンに斬られ……えっ!?傷がない?」


おかしい、あんな大怪我、上位の回復魔法じゃなきゃ治せない。

街まで奇跡的に生きてたとしても、そんな魔法いくら払えば良いか分からない。


私が、まだちゃんと働かない頭で考えていると、メイソン君とお兄ちゃんが走ってきた。


「良かった…!ライラ!良かった、良かった…!」

「ライラちゃん、本当に助かって良かった!僕の力不足だ。本当にごめんよ。」


みんなの慌て方、やっぱり私は死にかけてたんだ。


「お兄ちゃんもメイソン君もありがとう。私の不注意が原因なの。メイソン君は悪くないよ。それよりも、私はどうなったの?まさか、治療院で借金とか……。」


私がどんどん不安になっていくのを見て、エビネちゃんが遮るように言った。


「違うの、借金なんてしてないわ。私達が帰らなかったから、ギルドが捜索依頼を出してくれたらしくてね?その依頼を受けた冒険者の人が回復魔法で治してくれたのよ。魔法を使う事を秘密にする条件でね。だから絶対言っちゃダメよ?わかった?」


分かったけど、分からなかった。


その時、私は記憶に残る金髪の男性を思い出す。


「もしかして、金髪の髪の長い男の人?」


そう聞くと、今度はお兄ちゃんが説明してくれた。


「意識があったのか?ウルドさんっていうエルフのEランクの方だ。俺達を逃がす為に、オークの囮になってくれてな…。」


私は頭を殴られたような衝撃と焦燥感に駆られる。

心臓が痛いぐらいに早くなる。


「その人は!?まさか、そのまま置いて逃げたの!?」


がばり、と起き上がり、すぐにでも動かなければと

思うのに言う事が効かない。


するとお兄ちゃんが、慌てて私を止めて寝かせる。


「話は最後まで聞け!その人は生きてるし無傷だ!…オーク2匹を無傷だぜ?本当に凄い人だ!それに、街までお前を背負って来てくれたのはウルドさんだぞ?今度、改めてお礼しに行かなきゃな。」


夢じゃなかったんだ。


私の胸がまた早くなる。

でも、さっきのような苦しみはない。




「きちんと、お礼しなきゃ。」




顔を知らない金髪のエルフの冒険者。




どんな顔だろう、と想像を膨らませる少女は、再会時に大失態を犯す事を、まだ知らないのだった。

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