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2章.5 森を駆ける

夜も公開予定です。

入り口に着くと、少年2人が警戒していたが、俺達に気付いて駆け寄ってきた。


「い、妹は!妹はどうですか!?」


兄はずっと心配だったようで、俺は手術室から出てきた医者の気分になった。


「命に別状はないよ。ただ、体力は減ったままだから急いで森を抜けて帰ろう。避けられない戦闘以外は駆け抜けるよ。いいかい?」


俺が確認すると、いつでも行けると言う様に頷いた。


「よし、俺が方向は指示するから前を頼む。後ろは俺が警戒するから振り向かずに走るんだ。行くぞ。」


その言葉が合図になり、全員で駆け出した。 




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




森を駆ける事30分、俺達は一旦休憩にした。


俺は風魔法を使っていたので、体力的に余裕があるが、前を走っていた3人のスピードが落ちてきたので、俺が見張りをして休憩させた。


「後少しで森を抜けるから、ここからは一気に行くぞ。もう少し休んだらすぐ…いや、待て。」


10分程休んだ頃、俺達が進む方向に反応が2つ。

嫌な反応だ。十中八九、魔物だろう。

それにゴブリンよりも反応が大きい。


「なぁ、この森はゴブリン以外に何が出る?」


俺は戦士の少年に問う。

すると何かを察したのか、真剣に考えて答える。


「ここは浅い所なんで、ゴブリンとホーンラビットぐらいの筈です。たまにはぐれオークが出ますが、すぐに討伐依頼が……まさか…?」


こんな場面で冗談を言える訳がない。

俺は頷く。


「恐らく。よく聞くんだ、俺が別方向に誘い出すから、君は妹を担いでみんなと走り抜けるんだ。10分も走れば抜けられると思う。いいね?」


俺が簡潔に説明すると、少年は拒否する。


「絶対に駄目です。貴方を見殺しにして妹を救っても、妹は絶対に喜ばないし、俺も会わせる顔がなくなります。妹に一生消えない心の傷を残すつもりですか?」


やっぱりお兄ちゃんだな。

俺はこの少年の少女に、里に残した妹と自分が重なって見えて、絶対に助けたいと改めて思う。


「大丈夫、俺って実はそこそこ強いんだ。あの程度なら5分で追いつくよ。それまで君が、妹を守るんだ。いいね?振り返らないで真っ直ぐ、街道まで走れ。さぁ、急げ。」


俺はそう促し、渋々了承した戦士の少年が仲間達に説明する。


説得に成功したのか、一瞬こちらを見て走り出した。


さて、そろそろ行こうか。


瞬間、ドン!という音を出し、森を駆ける。


オーク2匹に気付いて貰わないといけないので、わざと派手に接近する為だ。


もうすぐ視認できる寸前で反応が止まった。

恐らく俺に気付いたのだろう。


俺は一度、魔法を解除して止まる。

反応が近付いてくるのを確認すると、指輪から弓を取り出して構え、弦を引く。


ゴブリンの時は射出した魔力の塊をそのままぶっ放したから顔が吹き飛んだんだ。


射出した後に収束させるイメージ。

もっと細く、凝縮するんだ。


鷹の目を発動すると、イメージ通りのオークがドスドスとこちらに向かって走って来た。

 


「お前は美味かったからな。無駄にはしないよ。」



放たれた凝縮された魔力の矢は、2本に分かれてオークの額に2cm程の風穴を空けた。


そのまま倒れて行くオークを見ながら、こいつらの血抜きをどうやるのか考えていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




なんとか血抜きを済ませると、流石に解体をする時間はないのでオーク2匹を指輪に収納した俺が森を抜けると、街道に助けた4人が待っていた。

妹さんはまだ目覚めてないらしい。


「お待たせ。無事、森を抜けれたね。疲れたし早く帰ろっか。」


そう言って木陰に寝かせた少女を再び背負う。


すると、戦士の少年が何故か大興奮だった。


「オーク2匹をたったこれだけの時間で倒したんですか!?しかも無傷で!?何でEランクなんかにいるんですか!?」


そりゃ、今日登録したんだから仕方ない。

それより急がないと陽が落ちてしまう。


「言っただろ?そこそこ強いって。それより急ごう。門の外で野宿は御免だからね。」


そう言って、俺は慌てて着いてくる3人と背中に1人引き連れて、ザガルタ冒険者ギルドに向かって歩き出した。


読んでいただいてありがとうございます!

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