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1章.27 自由への旅立ち

1章完結!

いつもの倍は長いですが、お付き合い頂けたら幸いです!

ウルドのステータスは、2章のどこかで。

翌朝、俺達は紅の乙女一行の見送りに来た。


「皆さん、短い時間でしたが羽を伸ばせたなら良かったです。またいらして下さい。」


俺が言うと、クレアさんがいつもの笑顔になる。


「すっごく楽しかったよ!きっとまた遊びに来るね!今度は街に来なよ!みんなで歓迎するからさ!」


来年からザガルタに住むけどね!とは言えないな。


次にミーアさん。


「色々とお世話になったわ。もし冒険者になるならイロハを教えてあげるから、お姉さんを訪ねなさい。いいわね?」


やっぱりバレてたな。

街に住み始めたら色々聞いてみよう。


そしてソフィさん。


「凄く勉強になった。ウルド君のおかげ。お母様に会わせてくれてありがと。」


最初に一番来たがってたソフィさんが喜んでくれて良かった。一体何話したんだ?


最後はアゼリアさん。


「ううっ…!ルルちゃんと離れたくありませんが仕方ありませんわ…!ウルド君!絶対!絶対ルルちゃんと遊びに来て下さいね!またね!ルルちゃん!」


「アザレア姉!ウルド兄と絶対会いに行くねっ!」


ひしっと抱き合う二人。


昨日の夜何があったんだよ。

お兄ちゃんに教えてくれ。


挨拶が終わると、全員目隠しをされて森に消えていく。

このシーンだけ見たら追放だよな。


俺は里を去って行くみんなの後を見えなくなるまでルルと見送った。






それから里は、いつもの日常へと戻っていく。






そして………。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





今日はルルの10歳の誕生日。


俺は18歳になり、前世の記憶を持つ俺でも大人になったと自覚する。


本当は18歳の誕生日に出るつもりだったが、ルルが

10歳のスキルを得る儀式があるのを思い出して、それまでは残っていた。


「ルル、誕生日おめでとう。これは俺からだよ。」


ルルに短剣をプレゼントする。


俺は里を離れるので、護身用の短剣を贈った。

綺麗な装飾にしてもらい、これなら女性への贈り物としても大丈夫なはずだ。


「わあっ!ありがとう!ウルド兄!」


ルルが喜んでくれて何よりだ。

俺はこれからは里で直接守れないからな。


ルルが嬉しそうに短剣を見ていると、ルセウスさんがルルを呼びに来た。


「ルル、そろそろ儀式だ。里長の元へ。」


その言葉にルルが反応する。


「うんっ!みんな、行ってきますっ!」


ルルがとてて、と里長のもとに向かって行った。


女神様、どうかルルが健やかに過ごせるようなスキルをお願いします。


俺は女神様に深く祈りを捧げた。


そうしてルルと里長が儀式の為、大樹様の元へ向かったのだった。


これが終われば、安心して里を出れる。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





出発して小一時間ほど経った。


里のみんながその間、俺が里を離れるのを惜しんでくれる。


今日は俺の送別会も含んでいた。


俺は明日、この里を出る。


これは全員に言ってある。


勿論、ルルにも、だ。


しばらく落ち着くまでは里に帰るつもりはない。

きっと、気持ちが揺らいでしまうから。


なので、今日は文字通りみんなと話した。


涙は流さない、だって、永遠の別れではないから。


俺達はエルフなのだ。

恐らく百年後も生きているんだ。


この世界を、楽しもう。


そうしていると、ルルど里長が帰って来た。


「ただいま!スキル貰えたよ!」


ルルがルーセリアさんに抱き付く。

無事に貰えたようで良かったな。


里長がルルのスキルを紙に書いてルシウスさん夫婦に見せる。


瞬間、二人の表情が変わる。


「こ、これは…!?」


ルシウスさんが驚愕の声を上げる。

ルーセリアさんも口に手を当てて驚く。

 



何があった?

俺は悪いと思いながら、心配なのでひっそりとルルに鑑定した。




【名前】ルル

【性別】女

【種族】エルフ

【年齢】10

【レベル】1

【スキル】弓術Lv1 魔力操作Lv1 地魔法Lv1 料理Lv1

氷魔法Lv1




「ルル!魔法の才能があるぞ!やったなぁ!!」


「良かったわ…!ルル!本当に良かった…!」


家族が抱き合い喜んでいる。






魔法ってこんな喜ばれるのか…。

そりゃ俺の時にああなるはずだ。


俺は今更ながら新たな常識をまた一つ学べた。


家族で一通り喜び合った後、ルルに声を掛けた。


「ルル、本当におめでとう。俺が次に戻ったら立派な魔術師になってるかな?」


するとルルは少し怒ったように返す。


「もうっ!何十年帰らないつもりなの!?そんな遠くないんだからもっといっぱい帰って来て!」


いやそんなつもりではなかったんだ。

俺はどうやら会話の選択肢を間違えたらしいので、必死に軌道修正した。


「ほら、あれだ、ルルなら1年ぐらいで魔法使えるようになるかなって思ってさ?俺もやってるけど、毎日一時間は瞑想して身体の中全ての魔力を循環させる練習をしてごらん。出来るようになったらご褒美をあげに帰ってくるね?」


我ながら甘いが、これなら長くて一年って所かな?

そう計画を考えていると、ルルが初めて見る真剣な表情で返す。


「本当?神様に誓ってくれる?それなら私、頑張るから。」


真剣な眼差しに少し気圧される。


その眼差しは今までの幼かった妹とは違い、俺のザガルタでの覚悟と似た物を感じ取り、俺もそれに対して真剣に答える。


「誓うよ。ルルがこれなら俺に見せられると思ったら冒険者ギルドに手紙を送って欲しい。どこからでも駆けつけて見に来てあげるから。」


君が、里から離れた俺をまだ兄だと思ってくれるなら。



まだ必要としてくれるなら。



俺はいつだって駆けつけるよ。



なんてったって、俺はお兄ちゃんだからな!





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





翌朝、荷物をまとめてリビングに行くと両親が座っていた。


「行くのか。」


父さんが一言、そう呟く。


「うん、行ってくるよ。」


俺は迷いなくそう返す。

すると、二人はそれぞれ自分の部屋に行き、父さんは弓を、母さんは指輪を持って戻ってきた。


「私からはこれ。指輪型の魔法鞄よ。ダンジョンの遺物だから容量は分からないけど、売り物よりも凄く便利なの。常に魔力を吸われるけど、貴方が魔力を与えている間は中の時間が止まるから、なるべく外さないようにね。ウルドの魔力なら大丈夫と判断するから渡すの。免許皆伝の記念ね!」


母さんからとんでもない物を貰った。

右手の中指に指輪をはめると、ピッタリなサイズに変わった。

魔力を吸われる感覚があるけど、これなら生活や戦闘でも問題ないだろう。


「こんな凄い物、本当に良いの?」


これ売ったら確実にとんでもない額になるぞ?


すると母さんが笑い出した。


「ふふっ!良いのよ!そっちは予備なの。それに私はもう冒険には出ないし。貴方に渡すなら悪用の心配ないし、安全でしょ?」


よく見ると右手の中指に同じ指輪をはめていた。


そう言われると何も言えないよ母さん。

本当にありがとう。


「さて、次は俺だな!昔、俺が冒険者だった頃に使ってた弓だ!エルダートレンドの木とミスリル合金糸の弦の特別製だぞ!整備は終わっているから持っていけ!」


俺の全く知らない素材で作ったとんでもない弓だ。


ミスリルってあのゲームとかアニメで終盤の装備に使うあれでしよ?

これなら俺の魔弓術に耐えられるかな?


「いや、嬉しいけど父さんの切り札じゃないの?これ。」


俺の問いは予想されていたんだろう。

父さんはいつものように笑う。


「ハッハッハ!もっと良い弓を持ってるに決まってるだろ!本当の切り札は、俺が死んだ時にお前にやるよ!ハッハッハ!」


そりゃそうだ。

戦士が切り札を手放す訳ないか。


「父さん、母さん、本当にありがとう。俺は二人の元で産まれてからずっとずっと、本当に幸せだ。二人の名に恥じない活躍をして、里まで名を轟かすからね。それまでどうか、元気で。」



泣かないつもりだったのに。



しかし、最後の最後で我慢出来なかった。



前世では別れを言えなかった。

でも、今は違う。


俺達はエルフで長命なんだ。


ずっとずっと長い時間、親孝行出来るんだ。

覚悟しとけよ?父さん母さん。


そして少しの間、家族で抱きしめ合った。





里の入り口に着く。


里のみんなが見送ってくれる。


本当に、文字通りみんなだ。


みんなそれぞれ選別の言葉を投げてくれる。


嗚呼、此処で産まれて、本当に良かった。




ルルがいた。




もう子供ではないと言っていた彼女は、顔をくしゃくしゃにして泣いている。


まだまだ子供じゃないか、と思い笑ってしまった。


「ルル、ひどい顔だぞ?笑って送り出してくれないのか?」


俺は少し揶揄うようにそう言うと、ルルの頭を優しく撫でる。


「うぇぇっ…ぐすっ…。だってぇっ…、だってぇ…!」




俺は、言葉にならないルルを抱きしめる。


「何かあったら連絡しておいで。俺も手紙を書くから。俺はルルが自慢出来るような凄いお兄ちゃんになれる様に頑張ってくるね。」


俺はそう優しく語りかける。


「うん…!…うんっ!私も魔法を練習して、ウルド兄が自慢出来る妹になれるように頑張る!そして、私がウルド兄を助けてあげる!待っててねっ!」


ルルはまだ泣いてたが、必死に笑顔を作ってくれていた。


もうルルは、とっくに自慢の妹だよ。


それを口にはせず、うん。と一言呟き離れる。


見渡すと、みんな泣いていた。

俺も釣られそうになったけど、我慢して精一杯の笑顔を作る。


みんな、本当にありがとうございました。




「それじゃ、行ってきます!」




俺は振り返らない。


これからは前だけを見るんだ。


これから、本当に自由に生きるんだ!

次は間話か新章突入予定でつ。

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