1章.26 乙女達の休息
1章ラストスパートです!
歓迎会の翌朝、俺はいつもの朝の鍛錬に出た。
朝食前の軽い物だが、家を出るとクレアさんとミーアさんがいた。
「おはようございます。もっとゆっくり休んでて良かったのに。」
そう言うとクレアさんが伸びをしながら話し出す。
「おはよう!んーっ!良い朝ね!こんな良い天気で空気も美味しいのに勿体ないもの!ウルド君は朝の鍛錬?私達も付き合っていいかな!」
クレアさんは朝からテンション高いな。
昨日あれだけ飲んだのに、二日酔い知らずだ。
逆にミーアさんは頭が痛そう。
「ウルド君、おはよう。はぁ、頭痛いのにクレアがうるさくて起こされたわ。私はちょっと外の空気吸ったら戻るわよ?」
どうやらみんなが泊まる家で、ミーアさんはクレアさんと相部屋らしい。
「分かりました。じゃあクレアさん、せっかくなんで剣の鍛錬に付き合って貰えます?」
俺はこの機会に剣が本職のクレアさんにお願いする事にした。
「良いわよ!貴方の剣は初めて見るから楽しみね!それじゃまず身体を温めますか!」
そう言うとクレアさんが素振りを始める。
綺麗な剣筋で剣を振る。
流石はCランクパーティのアタッカーだ。
俺はストレッチの後に軽く剣を振る。
完全に自己流の剣だが、どこまで通用するだろうと少しワクワクしていた。
俺は木剣を一本クレアさんに投げると構えをとる。
「そろそろ始めましょう。よろしくお願いします。」
クレアさんも木剣を受け取ると構えを取った。
「良いわ!いつでもいらっしゃい!」
どうやら先手を譲ってくれるらしい。
ならば、と大きく踏み込み体勢を低くして駆ける。
魔法を使わずどこまで通用するかな。
低い体勢から切り上げてみる。
クレアさんは後ろに軽く飛び、着地と同士に地を蹴る。
そのまま薙ぎ払いを受け流し、そのまま斬りかかるが、クレアさんに剣で受け止められ、鍔迫り合いになった。
「凄い凄い!私、Cランクの中でも結構強いんだよ!?それなのに、逆に押し込まれるなんて!」
クレアさんを驚かせる事が出来たようだ。
「我流ですが、結構頑張りました。次はもっと早く行きますよ。ふっ!!」
俺が胴に向かい剣を振り下ろす瞬間。
「そこまで!朝御飯の時間よ。というかクレア?貴女本気でやり過ぎ。せっかくの休暇に怪我なんてしたらパーティ追い出すわよ。」
良い所で、朝食に呼びに来たミーアさんに止められてしまった。
クレアさんが不満顔で剣を引く。
「むぅ、良い所だったのに。ていうか私がリーダーなのに酷くない!?追い出さないでよー!」
そう言いながらミーアさんに抱きついて、汗くさいから離れろと殴られているクレアさん。
本当に仲良いな。と思いながら、俺は汗を流しに向かった。
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どうせならみんなで食べようと、広場に移動して朝食にする。
料理は母さんとルーセリアさんお手製サンドイッチだ。
昨日のビッグボアを贅沢に使っていて、前世の俺なら朝から胃もたれ確定だが、今の俺はいくらでも食えそうだ。
昨日の一件から、ルルはアザレアさんにすっかり懐いたようで、今度は街に行きたいなどと言ってる。
この後の時間は二人で色々お話をするらしい。
ソフィさんはこの後、母さんと魔法談義だ。
俺も呼ばれたが、詠唱とか恥ずかしくてやりたくないから丁重に断った。
クレアさんとミーアさんは、里の鍛冶場、装飾品や工芸品を見たいらしい。
明日には街に戻るらしく、記念に何かあればとの事だ。
俺はまず、クレアさんとミーアさんの買い物に付き合った。
「この羽のイヤリング可愛い!ミーア!これどう!?私これに決めた!」
クレアさんが尋ねるとミーアさんはそっけなく、
「いいんじゃない?」
とだけ言い、自分の短剣選びに必死だ。
明日の出荷前なので、一個なら原価で良いと言われてこうなった。
「ミーアさんは短剣で良いんですか?短剣なら街の武器屋でも買えますけど。」
そう聴くと、照れ臭そうに答える。
「これ魔鉄製で軽いし凄く握りやすいのよ。こんな良い品、街じゃ買えないわ。そ、それに、鞘の装飾が可愛くて。」
なるほど。鞘の装飾はカトレアも言っていたしな。
女性には人気らしい。
「ソフィには次の髪飾りで、アザレアには花のネックレスにしたの!」
来なかった二人のお土産も購入したらしい。
本当に仲が良いパーティだ。
「成る程。皆さんのイメージ通りですね。」
みんなお目当ての品を手に入れてホクホク顔で家に戻った。
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そして、エルフの里での最後の夜、昨日程ではないが、広場に集まり食事と酒を楽しんだ。
「本当に楽しい休暇になりました!皆さん、ありがとうございました!」
クレアさんは里自慢の蜂蜜酒を飲み、ご満悦だ。
「俺達も楽しかった!次は俺達の方で街に飲みにいくか!リーリエ!ハッハッハ!」
父さんも上機嫌だ。そろそろ母さんが、あっ。
「貴方。いい加減飲み過ぎです。そろそろ怒りますよ。」
母さんが父さんに敬語の時は怒ってるサインだ。
「じ、冗談だリーリエ。そうだな、明日も早いのでそろそろお開きにしようか。」
母さんには逆らえないのだ。
ルルが眠そうにあくびしてる。
ルセウスさん夫婦は先にルルを残して家に戻っている。
どうやら、アゼリアさんの部屋に泊まる約束をしたんだとか。
「ルル、大丈夫か?眠いならおんぶするか?」
心配でルルに聞くと、ムッとした顔になる。
「子供じゃないんだから大丈夫だよ!アザレア姉、早く行こっ!」
今のは駄目だったらしい。
俺は何がいけなかったのか首を傾げていると、ルルの横にいたアザレアさんがバッ!と立ち上がった。
「ああ、ルルちゃん可愛いです!ベッドで沢山お話しましょうね!さぁ!行きましょう!それでは皆様お休みなさい!」
すっかり懐かれたアザレアさんが嬉しそうにルルと去っていった。
仲直り出来たのは嬉しいけど、兄離れは寂しいなぁ…。
嬉しいような、悲しいような気分で俺は、ジョッキに残った蜂蜜酒を飲み干した。
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