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1章.25 歓迎とすれ違い

何とか今日中に間に合った!

読んで頂きありがとうございます!

俺が狩りから戻ると、ルルが里の入り口に立っていた。


「ルル、ただいま。明日の為の良い獲物が取れたよ。」


そう声を掛けるも、ルルはまだ機嫌が悪いようだ。


「そう、良かったわね。」


俺にそう素っ気なく返すと何処か走って行ってしまった。


来年俺が里を出るのはもう決めている。


これは俺が解決すべき問題だ。


そう思いながら俺は解体場に向かった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




翌日、目隠しをされた集団が里へ現れた。

里への道は最重要機密なので、これだけは我慢して貰わなければならない。


里の入り口で目隠しを外された面々を迎える。


Cランクパーティとなった彼女達、紅の乙女はついに里へやって来たのだ。


面識のある俺が出迎えを任されたので、まずは挨拶をする。


「皆さんお久しぶりです。ようこそ、エルフの里へ。」


すると、パーティを代表してクレアさんが応対してくれる。


「ウルド君久しぶり!ちょっと時間が掛かっちゃったけど、みんなずっと楽しみにしてたんだから!そうだ、私達Cランクに昇格したの!凄いでしょ?」


本当に嬉しそうに話してくれるクレアさんの勢いに気圧されながらも返答する。


「カトレアからの手紙で知ってますよ。立ち話もなんですから、中へどうぞ。歓迎の準備をしてありますので。」


クレアさんから、ありがとう!と元気なお礼をもらい歓迎会場に向けて歩いていると、ミーアさんが話しかけて来た。


「貴方、また身長伸びたし身体も逞しくなったわね。どうせ無茶な鍛錬続けてたんでしょ?」


呆れた、という顔をされるが一応反論しとく。


「無茶はしてないですよ。日々の狩りをちょっと工夫して鍛錬してたので安全、ではないですが命の危険はないので。」


そう返すと、ミーアさんは深く溜め息をついて諦めたのかまぁいいわ、とそれ以上言及されずに済んだ。


すると、キョロキョロと後ろの二人が里を見渡して何かを探しているのに気付く。


「お母様、どこ?早く会いたい。」


ソフィさんは母さんか。

ずっと会いたがってたもんな。


アザレアさんは何を探してるのだろうと考えていると、ずいっ、と前に乗り出し真剣な表情で聞いて来た。


「ウルド君!カトレアちゃんにエルフの妹さんがいらっしゃると聞いたんですけど、お会い出来ますか!?」


ルルを探してたのか。今はちょっとタイミングが悪かったなぁ。


「ソフィさん、母さんなら歓迎の宴にきますし明日なら時間を作ってくれますよ。アザレアさん、たぶんルルの事だと思うんですが、ちょっと今は喧嘩というか、少しすれ違いがあって。皆さんの滞在中に紹介出来る様に頑張ってみます。」


そう答えると、ソフィさんは早く行こうと急かし出し、アザレアさんは相談に乗りますよ?と何故か目をキラキラさせていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




宴の会場である広場に着くと、ルーセリアさんが慌てた様子で走って来た。


「ウルド君!ルルを観なかった?貴方達の様子を見に行かせたんだけど。途中で会わなかった?」


俺は何か嫌な予感がして、魔力探知を発動した。


昨日のドライアドとの会話を思い出す。


「そういう事か。あいつ、昨日教えてくれよ…。」


魔力探知のレベルが上がったからか、親しい人間は魔力を覚えているからわかる様になっている。

見知った大量の仲間の魔力を感じながら、一つ森の中によく知った魔力を見つけた。


なんで森に?

だが今はそんな事考えてる場合じゃない。


「見つけました。もうすぐ始まるので、ちょっと急いで迎えに行ってきますね。」


そう言って走り出そうとすると、アザレアさんが制止した。


「私も行きますわ!転んで怪我をしていたら心配なので!」


そう言うと、アザレアさんが一緒に走り出す。

何かを察してくれたのだろう。


俺達は、急ぎルルの所へ走った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




里から少しだけ進んだ先の森、俺が小さな頃に狩りの練習で小物を狩っていた辺りでルルを見つけた。


今にも泣きそうな顔で木の下に縮まっていた。


「ルル、帰ろう?みんな心配してるよ?」


なるべく優しく語りかけてみる。


「やだっ!!どうせ今日来た人間もウルド兄を連れ出しに来たんだ!!私は会いたくないっ!!」


ルルが叫ぶ。こうなると俺はお手上げだ。


「ずっと一緒って言ったのにっ!!私に内緒で手紙でお話して!!最低!!大嫌い!!」


溜め込んだ気持ちを全部吐き出すと、ルルは泣き出してしまった。


俺がおろおろと情け無く狼狽えていると、アゼリアさんがルルの横に座り、優しく語りかける。


「ルルさんですね?私はアザレアっていいます。貴女の事はお兄様と、そのお友達から伺ってまして、今日会えるのを楽しみにしてたんです!本当にとっても可愛い妹さんですわ!」


アザレアさんの言葉にルルが反応した。


「ウルド兄とお友達…?」


その反応にアザレアさんが畳み掛ける。


「そうです!貴方のお兄様が助けた子なんですけど、まだ事件で心を痛めてまして、優しい貴方のお兄様が、お友達としてお手紙で元気付けてあげてるんです。私もその子のお友達で、貴方の事を聞いたんですよ!」


ルルが顔を上げる。

初めてアザレアさんが聖職者に見えた。


「ウルド兄を連れて行こうとしてたんじゃないの…?でも、ウルド兄は急に里を出るって…。」


アザレアさんありがとう。

ここからは俺が話さなきゃな。


「ルル、違うんだ。里を出たいのは昔からの目標で、小さな頃から決めていたんだよ。ルルが産まれるもっと前からね。それに、里を捨てる訳じゃない。ルルやみんなと会えなくなるのは悲しいからさ。」


そう言ってルルの頭を撫でる。


「本当?好きな人が出来て、ルルと里を捨てるんじゃないの?本当に?」


人聞きの悪い事言うんじゃないよ。


「違うって。というか俺がそんな考えだったら、里から出た時そのまま戻らないだろ。俺は自由に旅とかしたいだけだよ。」


そう言うとルルはまた泣き出した。


「ひぐっ…、良かったよおっ…!私、ウルド兄に嫌われたんだって…!妹は要らないって…、うぇっ…!そう思ってぇっ…!」


「安心したんですね。ずっと心配だったんでしょう。お兄様が取られたんじゃないかって。ああ!可愛いですわ!ウルド君!私、来て良かったです!」


何故かアザレアさんのテンションが上がっている。


「あ、はい。良かったです。とりあえず戻りますか。ルル、おいで。」


そう言って、まだルルが小さかった頃の様に、おんぶをする体勢を取って呼ぶと、ルルが鼻を啜りながら身を預けてきた。


静かな森を進みながら、アザレアさんが俺の後ろのルルを可愛い可愛いと愛でるのを横目に、俺達は広場に戻って行った。

明日、1章完結予定です!

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