間話 とある少女の物語 2
間話なんでしれっと上げます。
私、カトレアは人生で一番緊張している。
私を救って下さったウルド様との再会。
私は祝勝会が開かれると聞いた瞬間、考えながらもすぐに行動に移した。
ザガルタの商会の家に帰ると、急いでお風呂に入り身を清める。
まずは身体!あの方にお会いするのに汚い身体では二度とお会いしたくありません!
そして服!酒場での祝勝会と聞いたので、ドレスでは浮いてしまうので、少々カジュアルな感じでいきましょう。
次に髪!洞窟で監禁されていて痛んでしまったかも。
ウルド様に笑われたらどうしましょう!
そんな事をしていたら、パパにもう行くぞと急かされて、渋々最終確認を済まし酒場に向かう。
ここからは戦場よ!カトレア!
ウルド様にお返しするナイフを握り覚悟を決めた。
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酒場に到着すると、真っ先にウルド様を探す。
いた!良かった!帰ってしまってたらどうしようかと思ったわ!
パパに合図をして一緒に彼の元に向かう。
まずはパパが話しかける。
パパが感謝の気持ちを伝えると、自分一人の力じゃ無理だった、などとご謙遜されている。
あんな弓の腕と魔法と剣技を扱う方、私は知りません!
そしてパパから紹介されて改めて自己紹介とお礼を伝えました。
名前を伝えていなかったなんて…。でも彼が帰ってしまう前に伝えられて良かった!
それに、私が洞窟での生活で精神を病んでいないか気遣って下さるなんて…!
私が感動で打ちひしがれていると、パパは他の方々に挨拶に向かうらしい。
グッジョブよ!パパ!
「じゃあお話してましょうか。」
ウルド様が私と、お、お話を!?
「はい!」
人生で一番の返事をしたわ!
彼はまず私にあの光の弓のお話をした。
「あの技なんですが、他の人には秘密にして貰えますか?まだ練習中で実戦じゃ普段は使わないんです。お願いします。」
ウルド様がお願いして来た。
私からしたら、冒険者は奥の手は隠しておくと聞いた事があるので、当たり前なお願いだった。
そうだわ!私もお願いしてみましょう!
「でしたら、私からもお願いがあります!私の事はカトレアとお呼び下さい!それと、その、歳も近いのでもっと…、そう!妹のように接して欲しいです!」
私は一世一代の大勝負に出た。
このままじゃずっとウルド様は私に畏まった喋り方だ。
妹のようになら、もっと崩した喋り方になって貰えるかも!
彼氏は一瞬驚きの表情をしたが、すぐに優しい表情に戻る。
「わかったよ、カトレア。里の妹にはこんな感じで接しているけど、大丈夫かな?」
あっ、最高です。
「あっ、ありがとうございます!大丈夫です!」
間違えて心の中で返事してしまったわ。
というか妹さんがいたんですね…。
凄く妹様が羨ましいですっ!
私が妹様の容姿を想像していると、ウルド様はとんでもない事を言い出した。
「なら良かった。血は繋がってないけど、エルフだと歳が近いって中々ないからね。兄妹として育って来たんだ。」
なん…だと…?
血の繋がってないエルフの兄妹の恋物語…?
どこの小説なのかしら!
やっぱりウルド様は物語の主人公のような人なんですねっ!
きっと、そのエルフの妹様は物語のお姫様みたいな、素敵な女性なんでしょう。
私のような、脇役とは違うの。
私は急に胸が苦しくなった。
私はギュッと掌を握ると、お返ししようとしたナイフの存在に気付いた。
「あっ、そ、その、これ、ありがとうございました!昨日お借りしてから、お返しするの忘れてしまって…。昨日の夜、テントで眠る時に少し怖かったんですけど、このナイフを握ると安心出来て、少し寝る事が出来ました。その、ありがとうございました!」
そうだ。私はこれを返しに来たんだ。
何を舞い上がっていたんだろう。
私は感情がぐちゃぐちゃになっていた。
私がナイフを両手で差し出すと、ウルド様はナイフを受け取らず、私にまたナイフを握らせる。
え?なんで?どうして?
「このナイフはカトレアにあげるよ。エルフが狩りで使うただのナイフだから申し訳ないけどね。手入れはしてあるから、もし鞘から抜く時は気を付けてね?」
ああ、私の英雄様は、どうして。
私は嬉しくて、気付くと涙が溢れてた。
「ひぐっ…、ありがとうございます!ううっ…、大切にします!家宝にさせます!」
ウルド様への気持ちが、恋なのか、物語の英雄への憧れなのか。
私にはまだ分からないわ。
でも、まだ私を救ってくれた英雄の物語を観ていたい。
貴方にとって、町娘の一人の役でもいいの。
でも、もし叶うなら。
私は声を震わせて一つ、我儘を言った。
「あの、せっかくお兄様になっていただいたので、もうお会い出来ないのは悲しくて…。なので、お手紙を出してもよろしいですか?出来れば、お返事をいただければ嬉しいです…。」
彼は考えるような仕草をした。
私は少し後悔してる。
鬱陶しいと思われたかもしれない。
もう、関わりたくないと言われたら…。
すると彼は、私の心配とは違う部分の心配をしていた。
「手紙は構わないけど、交換する手段が少し難しいな。里と交易が出来れば理想だけど…。」
えっ?いいの?
瞬間、私は頭をフル回転させる。
エルフの里との交易。
幸いにも私のパパは商会長なので、先ずはクリア。
商品は今まで交流のなかったエルフの里、私達には珍しい物もあるだろうしパパに任せよう。
取引の頻度は月に一度ぐらいだろう。
本当は週に一度が良いけど、里の規模がわからないから仕方ないわ。
「やりましょう!交易!私に任せて下さい!」
私だって商会長の娘、絶対に実現させるわ!
その後、私達に気付いたアザレア様やそのパーティの方々と楽しくお食事をした。
お酒の入ったアザレア様にお手紙の内容を相談したのは、ウルド様には絶対内緒だ。
これとは別に夜は本編上げます




