1章.18 潜入
戦闘開始!
街道を隊列を組み歩いていく。
馬車にはギルドマスターのザイルさんと父さんが、先程来た里からの連絡係のエルフを交えて話している。
商人が目を覚まして新たな情報が手に入ったからだが、そこで最悪の情報がもたらされた。
「娘が捕らわれている可能性がある、か。」
30代に見える商人の娘らしく、襲われた際に殺されてなければ洞窟内にいるかもしれないとの事だ。
通り慣れてる街道で、冒険者も雇っていたので娘も同行させたらしい。
今も里から娘を助けに行かせてくれとうるさいので里からの部隊と共にこちらへ向かっているとの事。
親なら心配だろうな。
「生きていてくれよ…」
俺は女神様に心の中で祈りつつ、足を進めた。
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街道は魔物や野盗に襲われる事なく順調に進んだ。
里のエルフの部隊とも合流し、森の前に集まる。
「ここから森に入ります。僕と商人のパゴダさんはこちらで馬車の護衛と後詰めとして残ります。何かあったら連絡して下さい。潜入部隊のみなさん、無理は禁物ですよ。優先目標はパゴダさんの娘さんです。発見次第、何があっても生存優先で帰還して下さい。いいですね?」
流石ギルドマスターだ。的確に指示を出してくれるので、皆がそれぞれの役割の為にスムーズに動ける。
「では、行きましょう。我々の街の近くで悪事を働くと地獄を見ると思い知らせる為に。」
ヒェッ!?殺気が凄い!
皆、アジトに近いのとさっきのザイルさんの殺気に当てられ静かに頷く。
「では各自持ち場に着いて下さい。作戦開始です。」
戦士や魔術師、少ないがパゴダさんの護衛として来たエルフの戦士数名を合わせた主力部隊が先導して配置先まで進む。
同じ潜入部隊のミーアさんが心配そうに話しかけてきた。
「ウルド君大丈夫?救出目標が出来たけど、貴方は自分の命を優先させなさい。貴方の隠密スキルなら大丈夫だと信じてるけど、実戦では何が起こるかわからないわ。お願いだから約束して頂戴。」
本当に心配症だな。でも、もう大丈夫だ。
「大丈夫です。俺だって両親より先に死ぬような親不孝な真似はしたくないですからね。それに、本当に大丈夫なんです。今日この弓を握った時、覚悟は決めたので。」
ミーアさんを安心させる様に営業スマイルを向けると、死にたくないという言葉に安心したのかやっと表情が柔らかくなった。
「全く、子供のくせに変な覚悟決めるなっての。必ず生きて酒場で一杯やるわよ。奢ったげるから。」
ポン、と頭を叩かれるが暖かい気持ちになる。
「いいんですか?俺、結構酒強いですよ?」
「どうせ薄めた葡萄酒しか飲んだ事ないでしょ?お子ちゃまなんだから。」
軽口を言い合いながら、歩みを進める。
ありがとうミーアさん。
貴女も絶対に死なせません。
俺は女神様から加護や色々なスキルを貰えた。
最初は自分が自由に生きる為だけに使うつもりだった。
旅に出たい気持ちも色褪せる事なく今も胸にあり続けてる。
だけど、俺の手が届く範囲なら俺は助けたい。
これも自由ですよね。女神様。
先頭集団の足が止まった。どうやら配置先らしい。
俺は深く深呼吸をして、魔力探知を始めた。
「やっぱり50以上いる。それに、こちらの動きがバレている可能性があります。洞窟前に集まってきました。」
主力部隊のクレアさんに伝える。
下手したら入り口で混戦になりかねないからだ。
「ありがとうウルド君!やっぱ凄いねー!私は魔力ってのがよく分かんないからなー。」
クレアさんは生粋の戦士らしい。
性格を見るに解釈一致です。
「ウルド君、おかしい。私じゃこの距離じゃ全くわからない。ハイエルフだったりする?」
ソフィさんが納得出来ないらしくぶー垂れている。
「ただのエルフですって。母さんが魔術師で小さい頃から魔力の循環と探知の練習をずっとやってたから得意なんですよ。」
嘘はついてない。本当だもん。
「ならお母様の遺伝?ウルド君のお母様、会ってみたい。」
なんか母さんに興味が移ってくれたので、社交辞令だと思いつつ返す。
「父さんが許してくれるならいいんじゃないですか?あまり人間を里に入れませんけど。作戦成功したら叶うかもですね。」
するとソフィさんは本気にしたらしく、まかせて。と気合を入れ直して配置に戻っていった。
「あら、ソフィちゃんやる気一杯ですね。何かあったんですか?」
アザレアさんだ。回復魔法が得意なので救護部隊で参加している。
「ソフィさん、母さんに興味あるらしいんです。元々は魔術師だったらしいので。」
するとアザレアさんは納得したらしく、成る程。と笑顔で頷いた。
「ウルド君のお母様でしたら、さぞ優秀な魔術師でしょうし気持ちはわかりますわ。それに、エルフの里の中の方々とこんなにお話出来る機会は貴重ですからね。」
確かにそれもそうか。
俺も人間と喋ったのって死ぬ前振りだしな。
「なら、みんなで生きて帰らないとですね。」
「はい。その為の私達、救護部隊ですわ。ウルド君も命を大事にして下さいね。」
返されてしまった。流石はお姉さん。
「このまま待っていては守りが固められるだけだ。そろそろ攻め込むぞ。皆、準備はいいな?」
父さんが全員の顔を見渡す。
全員が一瞬で戦場の顔に変わる。
俺も、少し遅れて父さんを見つめ返す。
覚悟は決めたんだ。
「よし、ギルドマスターが言っていたな。ザガルタを、我らの里を、危険に晒す輩に…地獄を見せに行くぞ!」
「「「「「うおおおおおおおおお!!」」」」」
父さんの鼓舞で士気の上がった主力部隊が攻撃開始した。
「俺達も行くぞ。」
静かに頷くと、潜入部隊全員が隠密スキルを発動させる。
主力部隊と違い、冷静に、静かに、沈む。
気配を極限まで断つ。深く、深く、深く。
「作戦、開始だ。」
戦闘シーンって難しい




