第六話 お宅訪問
「じゃあ、インターホンを鳴らしますね」
「うん……!」
どんな人たちなんだろう?
そう気にしていると、門が開き、ハルキちゃんのご家族のみなさん?が集まっていた。
そうだよね? おうちが大きいから、親戚で住んでるだけだよね?
「「「お疲れ様です!!」」」
「おう、ただいま」
「坊ちゃん、その女……いえ、女性は?」
「ボクの好きな人。変な目で見たらそのときは……」
「そんなことより、ハルキちゃん。この人たちって、親戚の方々? おうち大きいもんね!」
「いえ、ただの組員です!」
「そっか、組員かぁ……」
組員ってなんだろう?
そう疑問に思っていると、ものすごいオーラをかもし出したおじさんがおうちから出てくる。
「よう、晶。あと、つむぎさんとやら」
「うん、おかえり。父さん」
「それで、なんで連れて帰ってきた?」
威圧感を放つハルキちゃんのお父さん。
すごく厳格な人なんだろうなぁ。
そう思っていたけど、ハルキちゃんの反応は違った。
「あのさ、いつも通りでいいから!」
「えっ? わざわざ厳格なキャラで振る舞おうとしたのにか?」
「うん。むしろビビらせてるし、みんなも解散していいよ」
「「「うす! では組長、失礼します!」」」
「おう。いつもありがとな」
「「「うす!」」」
なんか、思ってたのと違う人だ……。
「それで、晶をそこのお嬢さんが助けてくれたと」
「うん。すごい漢気があって、カッコいい人なんだ!」
「そうなのか。じゃあ、晶が自分のせいで幸せになれないとしたら、キミはどうする? つむぎさん」
「えーと、距離を取ります。ハルキちゃんの幸せは、私の幸せでもあるので。というか、誰も不幸にさせたくもないし、自分が犠牲になって解決する問題なら、去る以外ありますか?」
「なるほど。面白い人材だ。特に、即答したところが気に入った」
「父さんはこういう人だから、とりあえず中に入ってください」
「あ、うん」
こうして、お屋敷の中に入る。
「すっごく大きなおうちだね!」
「無駄に広いだけです」
「……ところで、つむぎさんは晶の秘密は知っているのだな」
「はい! ハルキちゃんって可愛いですよね」
「うん? その年頃だと、『カッコいい』と言うんじゃないのか?」
「つむぎさんは変わってるから。でも、恩人でもある」
「そんな大層なものでもないけどなぁ……」
「まあ、積もる話は和室でしよう」
「はい!」
「大丈夫かな……」
ハルキちゃんが心配する中、私は目をキラキラさせてお屋敷を観察する。
そして、ものすごく広い和室に連れてこられた。
「では話そうか。キミの特技は?」
「ありません……」
「晶が好きか?」
「うーん、正直言うと、まだわかりません。ハルキちゃんだから好きなのか、女性だから好きなのか、男装してる姿が好きなのか。答えが出たら、交際しようとは思っています」
「フッ……そうか。では最後に!」
私がゴクリと生唾を呑むと、ハルキちゃんのお父さんが言った。
「これからも、晶を任せたよ」
「はい……?」
「どうやら父さんは、後継ぎを幹部の人にしたようで……」
「あっ、そうなんだ……って、ハルキちゃんじゃなくていいんですか!?」
「キミの覚悟は青臭い。が、そういう人材が今は少なくてな……。リアリストばかりじゃあ、組織は回らん」
「なるほど……?」
「要するに、父さんはつむぎさんをえらく気に入ったようなんです」
「じゃあ、母さんと話してなさい。ワシは忙しいのでな」
「うん。ありがとう、父さん」
「忙しい……か」
「どうかしましたか?」
「いや、似てるなぁって」
「はい?」
ハルキちゃんのことを優先するのは、親として当然なんだろう。
でも、私を一人の人間として扱ってくれたところは、やっぱり親子だなぁ。
「では、母さんのところへ行きましょう」
「え? 病気なの?」
「いえ、ただの風邪です」
「それでも、私は心配だよ! 弱ってる人には優しくしないと!」
「……そうですね」
ハルキちゃんがそう言うと、和室のふすまが開く。
「じゃーん! わたし、完全復活!」
「あの、母さん……今からそっちに行くところだったんだけど……」
「あらそうなの? 初めまして、晶の母です」
「ど、どうも……」
髪型が私に似てるような……
茶髪でロングヘアだ……
「それで、晶はこの子のどこが好きなの?」
「えーと、度胸! 胆力! そして優しさ!」
「だけ?」
「華奢な身体も、可愛らしい顔も、海のような心の広さも、全部好きだ!」
「あの、ハルキちゃん……?」
「好きなもののことになると、昔からうるさいのよ。この子」
「あ、そういえば……確かに」
「大変だろうけど、頑張ってね?」
「はい!」
「それで、晶に好かれてつむぎちゃんは嬉しいの?」
なんだその恥ずかしい質問は……!?
「ハルキちゃん、この人をなんとか……」
そう言おうとすると、ハルキちゃんが目を輝かせてこっちを見る。
仕方ない。いずれ付き合うことになるかもしれないし、言っておこう。
「嬉しいけど自分でいいのかなって。ハルキちゃんは良くても、自信が持てないんです」
「なるほど、自信ね……」
「なら、今度一緒に遊びに行きましょう!」
「な、なんで?」
「好みを知ることで、自信をつけられるかもしれません!」
「……と言いつつ、つむぎちゃんとデートしたいだけなんだけどね」
「え? デートくらい、いつでもしてあげてもいいのに……」
「では、毎日しましょう! 登下校でデート! 昼休みは一緒に食事をしたいです!」
「い、いいけど……」
なんか、ハルキちゃんの抑えられていた感情が爆発してる……
「ちょっと晶? 無理を言っちゃ……」
「ハルキちゃんって、やっぱり可愛いね!」
「あら? 意外とつむぎちゃんも変わってるのね」
「あの、カッコいいって言ってほしいです……」
「そういうところも可愛いなぁ」
「そうですか、ありがとうございます」
そう言いつつ、むくれるハルキちゃん。
やっぱり可愛い。
そんなことを思いながらも、ハルキちゃんのおうちを満喫するのだった。




