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男装女子と善人女子  作者: 私信
自覚編
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第三十四話 暴走と勉強


 今日は久しぶりの休日デートだ。

 だが問題は、おうちデートなのと、やけにつむぎさんの距離が近いことだ。


「あのー、つむぎさん」

「なにかな?」

「顔が近い……というか、全体的に近くないですか?」


 ボクの膝に座ってるし……。


「……はぁ、ハルキちゃんには嘘はつけないな。仕方ないから言うね」

「はい」

「今日は暴走デーみたいなの」

「暴走デー……?」

「簡単に言えば、ムラムラ……いや、抑えが効かない日……かな?」

「なるほど。だから近いんですね」

「ハルキちゃん、脱いで?」

「えっ!?」

「私、攻めるから。ほら、いつも私が攻めてるし、大丈夫だよね?」

「はい!」


 こうして、ボクは部屋に鍵をかけてから服を脱ぎ、下着姿になる。


「よし。それじゃあ抱きしめるね」

「はい……!」


 そしてそのまま服を着たままのつむぎさんに抱きしめられるボク。


「あたたかいですね……!」


 というか、柔らかい。

 まるでクッションに包まれてるみたいだ。


「ハルキちゃんは下着姿だからね」

「なるほど……って、前にしましたね。こんな会話」

「うん。じゃあ、チューしてもいい?」

「はい! つむぎさんのためなら!」

「まずはほっぺにチューするね」

「はい!」


 そう言うと、つむぎさんはボクの頬に口づけをする。

 可愛いなぁ。

 

「では、お返しに」


 ボクの方もつむぎさんの柔らかいほっぺにキスをする。

 合法的にキスできるだなんて……両思いっていいものだなぁ!


「ハルキちゃん」

「はい?」

「キスマークってなんなの?」

「はぁ……?」


 なんなんだろう? いきなり。


「なんかえっちなことを調べていくと、キスマークがどうのこうのって……でも、虫刺されみたいなのしか出なくって……」

「へぇー! 勉強してくれたんですね!」

「……うん! だって、ハルキちゃんは大事な彼女だもん!」


 可愛いなぁ。

 でも、どう教えるべきなんだろう?

 やっぱり暴走してても、つむぎさんはつむぎさんだ。


「もしかして、私ってえっちなことに向いてないのかなぁ?」

「あははは! なんですかそれ!」

「もう! こっちは真剣なんだからね!」

「あ、すみません。つい……」


 やっぱり可愛らしい。

 直々に教えてもいいけど、純粋なつむぎさんのままでいてほしい気もするし……


「では、キスマークとかは置いといて、イチャイチャしません?」

「うーん……」

「なにやら複雑そうですね」

「だって、恋人らしいことしたいし……」

「つむぎさん、失礼します」


 そう言って、ボクはつむぎさんの鼓動を聞くために胸に耳を当てる。


「うん、いつもより鼓動が速い」

「……どうかしたの?」

「いえ、つむぎさんが興奮しているのかどうかが知りたかったんです。下着姿のボクを見て」

「さらしと……トランクスなのは男らしくってことでしょ?」

「はい! 正解です。つむぎさんも履きますか?」

「履かないよ!? でも、やっぱり女の子だなぁってね。身体のラインは誤魔化せないよ?」

「でしょうね。でもそれは、つむぎさんがボクをよく見てるからです」

「…………で、なにが言いたいの?」

「つむぎさんはキスマークだのなんだのを勉強してくれました」

「うん!」

「でもですね……恋人とはなにも、エロいことばかりすればいいわけじゃないんですよ!」

「あっ!!」


 どうやら気付いてくれただろうか。


「……つまり、勉強は無駄だってこと?」

「いえ! つむぎさんの頑張りは無駄じゃないです」

「うん」

「ただ、つむぎさんは焦りすぎです。まずはお互いを知ることが大事ですから!」

「せーかんたい? とかね!」


 突然の発言に驚くボク。


「どこで覚えました? そんな言葉?」

「テレビ!」

「そうですか。でも、性感帯を知るのはまだ早いですから!」

「そっかぁ……」


 そう聞いてヘコむつむぎさん。


「じゃあ、服を着るので、待っていてくださいね」

「うん! そっか。いまやってるイチャイチャも、立派な『恋人らしいこと』っていうことだね!」

「はい」


 これで理解してくれたかな?


 服を着ると、つむぎさんがベッドに寝転がる。


「ほら、ハルキちゃん!」

「なんですか?」

「寝て?」

「はい!!」


 それからベッドに寝転がると、思いっきりハグしてくれた。

 というか、胸の谷間に顔が当たってるんだが……


「すみません、息が……」

「あっ、ごめん!」


 腕の力を緩めるつむぎさん。


「ぷはっ……! おっぱ……いや、胸で窒息死するところだった」

「ごめんね?」

「いえ! 柔らかかったので!」

「そっか」


 ……あれ? そこは「えっちだなぁ」って返すところでは?

 つむぎさんも成長したってことか。少し残念だけど。


「あの……」

「なぁに?」

「つむぎさんもやります?」


 ……なにを言ってるんだろうボクは?


「うん!」


 まるで待ちかねていたかのように返事をするつむぎさん。

 もしかして、いつかボクがつむぎさんに攻めてもいい……

 というか、それが喜ばれる日が来るってことなのか……?


「では、いきます」


 できる限り軽めに……でも大胆に胸を押し付けてみる。


「わぁー! お胸が柔らかい!」

「一応さらしはしてるんですけどね?」

「ハルキちゃん」

「な、なんですか?」

「私以外には、この身体を触らせないようにね?」

「…………はい!!」


 つまり、ボクはつむぎさんのものってことか。

 悪くない気分だ。


「ハルキちゃんの気持ちがわかるなぁ」

「ど、どんな気分ですか?」

「えーと……すごく落ち着くクッションみたいな?」

「なるほど。でも、つむぎさんの胸はそれ以上ですから!」

「そうなの?」

「はい!」

「それじゃあ、今度教えてね?」

「はい!!」


 こうして、今日もつむぎさんは可愛かった。

 でも、つむぎさんがエロいことを勉強してたのは意外だったな。

 だけど、知識が増えていくつむぎさんと、そんな彼女に対してボク自身が欲を抑えることができるのか。

 その二つが気になって、あまり自信を持てないボクなのだった。

つむぎの反応が穏やかになってきたのは、

性知識を知ったことでハルキが「ムッツリスケベ」から

「恋愛に積極的な子」という認識に変わったからです。

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