第三話 メッセージ
いきなり抱きしめてしまった……。
しかも、女子のことを。
「ハルキちゃん、迷惑だったかな……?」
…………いや、それはないか。
私のことが好きらしいし、付き合ってくれって言われたもんね。
私からすると可愛い大型犬みたいなイメージだし、迷惑なら言ってくれるでしょ。
一番重要なのは、私自身だ。
「私はどうしたいんだろう?」
というか、女子なんだよなぁ……
男の子なら付き合ったかもしれないけど。
というか、ハルキちゃんは私のどこが好きなんだろう?
「はぁ……」
まあいいや。
ハルキちゃんに明日聞いてみるかな……。
……いや、こういうときのスマホだ。
早速メッセージを送ってみる。
『ハルキちゃんハルキちゃん』
まだ八時だし、起きてるよね?
「……あっ、既読がついた」
よかった。起きてたか。
『なんですか? つむぎさん』
『ごめんね? その、一つだけ知りたくって』
『なんでもどうぞ!』
なんでも……か。
こういうところが可愛いというか、大型犬なんだよなぁ。
『私の好きなところを教えて!』
そう送ると、しばらくメッセージが返ってこなくなった。
でも、既読はついてるし、きっと大丈夫だよね?
五分後、ハルキちゃんからやっとメッセージが返ってきた。
…………長文で。
『まず顔が可愛いところです。妖精のように小さい身体もキュートで可愛いですよ! あと、声ですかね。声も可愛いです。髪型もくせっ毛の茶髪で可愛らしいですよね! 可愛くないところは、性格です。すごくカッコいいです! 可愛らしい見た目とはうって変わって、漢らしい性格というか、海のように広い心を持っているのも素敵です。優しくて、カッコよくて、可愛くて、なにより漢らしい! ボクが惚れたのはこれらすべての要因です! もっと書けますが、これ以上は長くなるのでやめておきます。おやすみなさい』
うーん……
これ、四行くらいまでまとめられたよね?
これだけ長いともはや狂気だよ!?
『今でも十分長いよ!?』
とりあえず、ツッコミを入れておこう。
それにしても、私の何がいいんだろう?
とりあえず、さっき気になっていた件を謝っておこう。
『あと、さっきはいきなり抱きついてごめんね?』
『はい! 大丈夫です』
『大丈夫だった?』
『……なにがですか?』
『嫌悪感とか抱いたり……』
『しませんよ? 好きなので』
『そっか』
堂々と好きって言われると、やっぱり照れるなぁ。
『そういえば、女の子同士で付き合うのに抵抗はないの?』
……私はなにを送ってるんだろう?
消さなくちゃ……! でも、ちゃんと聞いておきたいことだし……
そう思い、削除しようか迷っていると、ハルキちゃんから返信がきた。
『ありますよ? おそらく、親からは反対されるでしょうね』
『……そっか』
『でもですね、極論を言えば、ボクの場合は誰でも反対されるので気にしてません。あと、女性としては見ていません。つむぎさんとして見ています』
『私として?』
『はい。ボクは恋愛対象が女性ではなかったので。でも、今はつむぎさん一筋ですよ!』
『なんか……カッコいいね!』
『はい、ありがとうございます。直接言うと恥ずかしいことも、文章だと伝えられますね』
ハルキちゃんは、“私として“見てるのか。
なんか、女の子とか男の子とか気にしてた自分が恥ずかしいな……
『ありがとね。明日はハグしてもいいよ!』
『え?』
『お礼かな。でも、一回だけだから!』
『よっしゃー!』
その三秒後、『よっしゃー!』というメッセージがすぐさま消される。
『失礼しました。やった!』
『ふふっ。ハルキちゃんも、漢らしいところあるんだね』
『つむぎさんには敵いませんけどね』
『うん。それじゃあ、お風呂入ってくるから』
『では、またあとで』
『うん』
こうして、一旦スマホから距離を取る。
「ふぅ……そっか、ハルキちゃんは“私個人“として見てるのかぁ」
でもなぁ……
私から見たハルキちゃんは……
……やっぱり、ただの可愛い後輩なんだよなぁ。
でも、思い返すたびにギュッと胸が締め付けられるのはなぜだろう?
「まあいいや。お風呂入ってこよう」
それから三十分後……
「ふぅ……いいお湯だった」
ふとスマホを見ると、三件ほどメッセージが届いていた。
全部ハルキちゃんからだけど、どうかしたのかな?
そう思ってメッセージアプリを開くと、
『明日うちに来てください!』
『あれ? 既読がつかない』
『お願いしますね!』
というメッセージが届いていた。
五分前で途切れてる……。
「なにかあったのかな?」
とりあえず返信しておこう。
『わかった!』
これでいいのかな?
いつまで経っても既読がつかないし……。
「まあいいや。明日直接会って聞こう」
それより、私を好きになったきっかけが知りたかったのになぁ……
あんな唐突に懐かれても、私にはどこがきっかけなのかわからないよ。
男の子だったらすぐに付き合うのになぁ。
……でもそれって、女の子だからダメってことなのかな?
私の中では、人柄よりも性別の方が重要ってことなのだろうか?
「よーし! 明日会ったら確かめてみよう!」
私はハルキちゃんが好きなのか、女の子だからためらっているのか。
それが分かれば、ハルキちゃんと向き合える気がする!
そう決意しつつ、明日にワクワクしながら、私は床についた。




