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男装女子と善人女子  作者: 私信
日常編
10/40

第十話 デート

 珍しく髪を結んで、ポニーテールでデートに勤しむ私。

 予定より三十分くらい早く来ちゃったけど、大丈夫だよね?


「よし、手鏡で前髪を……」


 そうして前髪をいじっていると、鏡からハルキちゃんが見えた。

 なので振り返ってみると、チェックのシャツにデニムのコーデのハルキちゃんが女の子に囲まれているのを発見する。

 でも、ハルキちゃんはハルキちゃんだ。


「すみません、ボクはつむぎさん一筋なので」


 何度もそう言って、ナンパを断っていた。


「変わらないなぁ……」


 まあ、そういうところが好きなんだけど。

 そうつぶやいて、私はハルキちゃんと合流する。


「つむぎさん! 可愛いですね。どこが可愛いか言ってあげましょうか!?」

「いや、言わなくていいから。ハルキちゃんも可愛いね!」

「そうですかね……?」

「うん!」


 相変わらず「可愛い」と言われ慣れていないハルキちゃんはとっても可愛い。


「じゃあ、映画館でも行きましょうか?」

「いや、小腹空いたからカフェでいいかな?」

「はい! つむぎさんとならどこへでも!」


 こうして、カフェに寄りカフェオレとコーヒーを頼むハルキちゃん。

 でも、カッコつけて飲んでるというのを、あるときハルキちゃんのお母さんたちから聞いたことがあるので、私はチョコレートパフェを二つ頼んだ。


「あの……」

「ふふん、なにも言わなくていいよ。ハルキちゃんが食べたくないなら私が食べるから」

「い、いえ! いただきます! 相変わらずカッコいいですね!!」


 店員さんの不思議な二人だなという目をスルーして、私たちはカフェでパフェを食べる。

 それから、世間話として不良さんたちの話題を出す。


「不良さんたちはあれからおとなしいの?」

「デートであいつらの話はやめてください……」

「じゃあ、次はどこへ行こうか?」

「うちに来てください! みんな待っているので!」

「そっか!」


 それから、パフェを奢ってあげた。


「えっ? いいんですか?」

「ふっふっふ、先輩としての義務だよ」

「あ、ありがとうございます!」


 パフェの値段が思ったより高くて、映画とかを観に行くつもりだった予定が破綻したのは内緒だ。


「じゃあ、ハルキちゃんちに行こうか?」

「はい!」


 そして、ハルキちゃんちに行く。


「じゃあ、インターホンを鳴らしますね」

「うん……!」


 しばらくして門が開くと、組員さんたちまでお出迎えしてくれる。


「だから、いつもみんなで出迎えなくていいから!」

「まあまあ、私は嬉しいよ!」

「つむぎさんがそう言うなら……」

「ほっ……」


 ハルキちゃんは身内というか、男の人に厳しいところがある。

 そういうところはカッコいいけど、正直ずっと前のように目をつけられないか不安になるから、そこは直してほしいかなぁ……。

 そう思ってしまう私がいる。


「つむぎちゃん、おひさ~」

「はい、ハルキちゃんのお母さんもお元気そうで!」

「それでつむぎさんとやら、今日はなにをしに?」

「おうちデートですかね……。すみません、デート経験が少なくて……」

「なら今日は、わたしとお父さんの昔話を……」

「二人ともはしゃぎ過ぎだから! つむぎさん、ボクの部屋に行きましょう!」

「あっ、おじゃまします……わっ!?」


 突然私をお姫様抱っこをするハルキちゃん。


「もう! やるなら言ってよ~……」

「す、すみません! あのままじゃ、デートの雰囲気が崩れそうだったので!」

「べつにいいよ。それじゃあ、今日はなにをする?」

「そうですね……とりあえず、部屋に着いてから考えましょう」

「そうだね」


 それから、部屋に着くと私はベッドに下ろされる。


「わぁ! 相変わらずフカフカだね!」


 そんなことを言っていると、ハルキちゃんが思いっきり私を抱きしめる。


「ふふっ、どうかした?」

「つむぎさん、好きです」

「私も好きだけど……?」

「……相変わらずですね」

「ハルキちゃんもね。意気地なしだなぁ」

「だって、つむぎさん鈍いし」

「えっちなことはまだダメだよ! 最低でもどっちかが成人しないと!」

「は、はぁ……」

「だから今日もお話しようよ! 恋人繋ぎしてさ」

「……ですね!」


 ハルキちゃんはいつも一線を超えたがる。

 私としては、超えたい気持ちも無くはないけど、一方的にされるのは好きじゃない。

 だから、私が成人してからすることに決めた。

 といっても、私が勝手に決めたことだけど。

 

 こうして、そういう空気からいつもの空気に変わる。


「そういえばつむぎさん、今日のポニーテール可愛いですね! あと、奢ってくれてありがとうございました!」

「ハルキちゃんも可愛いね! でも、そのコーデ着こなしてカッコいいよ!」

「ありがとうございます!」

「ハルキちゃんも、いつも可愛いって言ってくれてありがとね」

「いえいえ……」


 照れるハルキちゃんはやっぱり可愛い。

 でも、ハルキちゃんもいずれ変わるのだろう。

 大人になるにつれ、みんなどこか変わっていく。


 けど、それはきっと私もだ。

 だからこそ、いまをめいっぱい楽しんで生きないと。


 そんなことを考えつつ、私たちは今日もこうして日常を過ごすのだった。

 

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