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第4話_考慮_

コンビニに立てこもることを決めた俺たちは、まず店内にどれだけの物資があるのかを確認することにした。


「状況が分からない以上、食料の把握が最優先だな」


店長の指示で、俺たちは売り場とバックヤードに分かれて在庫を数え始める。


おにぎり、弁当、パン、カップ麺、冷凍食品、お菓子類。普段なら何気なく並んでいる商品。


俺は甘いものが苦手だが、そんなことも言ってられなくなるだろう。


集計を終えた店長は電卓を叩きながら言う。


「おにぎりや弁当が百八十食分くらい。カップ麺が百個前後。パンや冷凍食品も合わせれば、全部で四百食分はありそうだ」


店内には俺を含めて七人。


「一日二食なら節約して三週間。かなり厳しく配れば一か月ってところだな」


思ったより長い。そう感じたが、その間に救助が来るという保証は今のところない。


「ただし問題は電気だ」


店長が天井の蛍光灯を見上げた。


「今は冷蔵庫も冷凍庫も動いてる。でも、この騒ぎが広がれば停電する可能性は高い」


食料だけあっても保存できなければ意味がない。スマホも充電できなくなり、外の情報から切り離される。


俺たちは売り場にあったモバイルバッテリーを片っ端から集め、バックルームのコンセントに繋いだ。十数台の充電ランプが一斉に点灯する。


そして次に問題になったのが水だった。


「断水する前に貯められるだけ貯めるぞ」


ペットボトル、バケツ、寸胴鍋、保存容器。水を入れられるものはすべて集め、蛇口の下へ並べていく。


勢いよく流れる透明な水を見ながら、昨日まで当たり前だったものが急に貴重な資源へ変わったことを実感した。


だが、店長が次に口にしたのはさらに厄介な問題だった。


「衛生面も考えなきゃならん」


店内にはアルコール消毒液やウェットティッシュ、タオル程度はある。


しかしここは病院でも薬局でもない。まともな医薬品は置いていなかった。


怪我・病気は今やゾンビと同じくらい怖いものだ。


ストレスや睡眠不足で免疫が落ちれば、それだけでも命取りになりかねない。


さらに深刻なのはトイレだった。


今はまだ水洗トイレが使えるが、断水すれば話は別だ。


七人分の排泄物をどう処理するのか。ゴミはどうするのか。


生き残るというのはゾンビと戦うことじゃない。


食べること、水を確保すること、清潔を保つこと。


俺たちはゾンビから逃げているだけではない。


少しずつ失われていく文明そのものと戦い始めていた。


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