幸運
日が昇っている。朝になったみたいだ、路地裏での睡眠はいつも通り最悪だった。最悪の目覚めに合わせるように町は暗い雰囲気を醸し出していた。食料は適当に奪うとして。どう行動しようか。とりあえずこの町のギルドを落として町の中で自由に行動できるようにしよう。
この町のギルドに俺を殺せる奴はもういないだろう。いや油断はしちゃいけないなまだ俺の幻術魔法を突破できる奴がいる前提で動くことにしよう。ギルドはきっと応援を要請していることだろう。そういえばなんでまだ来ていないんだろうか。
この世界の魔法はなんでもできる。俺よりも強い魔法使いだっているだろうなのにまだ来ていない理由として考えられることは単純に距離が遠すぎるか。戦争か何かで戦力を割くほどの余裕がないかのどちらかだろう。
ならどっちにしろ行動は早いに越したことはない、ギルドの場所を探してみることにしようと。自分に幻術の魔法を使用して外に顔を出してみると。町はシーンと静まり帰っており。誰も外にでていなかった。
次に確認すべきことは、家の中に魔物がいるかどうかだ。窓から家の中の様子を確認してみるが。魔物がいる様子は一切見えない。窓を割り家の中に入ってみることにするがそこには食料は一切なかった。なるほどな、そう来たか。
これまでの俺の行動から俺が食料を欲していることは容易に想像できるはずだ。どこかにすべての住民を避難させたのだろう。この町はそれなりに大きいどこかに集めるなら場所は限られるはずだ。いや、そうじゃない。
たった一晩でこんな行動をすることができるのだろうか。そうか、きっと昨日から行動していたのだろう。だけど人を集めるのは俺に対しては悪手だ。なぜそんな行動をとろうとしたのか。もしかして、相手は何らかの手段で俺の魔法を無効化できていたはずだったのか。
それならある程度納得できる、俺は夜に攻めてきたのは俺の姿と幻術の姿を完璧に見分ける方法があるからだと思っていた。惑わされるのなら攻撃をするのは昼でよかったはずだ。じゃあなぜ無効かできなかったのだろうか。
俺の魔法がその無効化を突破するくらい強かったからか、俺が使う魔法が幻術魔法じゃないからか。このくらいしか思い浮かばないな。前者よりは後者の方がまだある気がするな。だけどそれなら俺の本当の魔法は何なんだろうか。
いま考えても無駄だな。とりあえず町の住民が避難できそうな場所を探すことにした。俺は失敗した、昼になるまで探したが町の中にホームレスくらいしかいない。きっと別の町へ避難したんだろう。この世界の町は一体全体どうなっているんだ。
きっと俺みたいな魔物がいたんだろう。たった一体で町を滅ぼすような魔物が狡猾な魔物はいただから。一体だとしても油断はしないし全力を尽くして魔物を討伐しようとしているんだろう。
探しまわってみたが。食料も水もない、井戸はあるけどこの水を飲んでも無事な保証がない。正直毒とか持っていても違和感はない。まあ一応家から奪った水筒に井戸の水を入れることにした。俺に本当に明日があるのだろうか絶望した。
そんな時だった、俺の隣に男が急に現れる。
一切反応ができなかった。その瞬間俺は悟った。そうか、町に一体も魔物がいなかったのは俺から逃げるためじゃない。戦闘に巻き込まれないため、戦闘の邪魔をしないためだったのか。
俺はすぐに距離を取りながら、幻術魔法を使用する。相手は俺を完全に把握していた。俺の腕をつかんで床にねじ伏せる。鈍い音が響き体に痛みが広がる。
嘘だろ。いるとは思っていた、俺よりも圧倒的に強いこの世界の強者が。だけど、会うのが早すぎる今の俺じゃ勝てないそれどころか俺がこいつに勝つ姿を想像できない。
俺は死を覚悟した。しかし、そこから相手は動かない俺にとどめを刺そうとしない。これならもしかしたら会話をできるかもしれない。会話をして俺を殺さない方向に誘導するしかない。そう考えていると、相手から話しかけてくる。
「多分この世界の人じゃないよね、何をしてんだ。」
俺の事情がなぜか知られている。どうしてばれたんだ、どんな魔法を使ったのか想像もできない。
「魔物じゃないじゃん、ごめんな。急に襲って。」
俺をつかんでいる腕の力が急に弱まっていく。
どう行動するのが正解なんだ?
こいつがいるなら俺はこの世界で共存することができるのではないか?
いや違う、俺は決めている。この世界の人は俺にとっては敵の魔物だ。だけど今の状況ここから食料なしに一人で生き続けるのはリスクが高い。こいつが異世界人を知っているなら好都合だ。こいつを俺の生存のために、利用してやる。単純なことじゃないか。俺は幸運だな。




