ピンチはチャンス
なんだよこの景色は。俺はようやく強い実感を得ることができた。ここは別世界でもとにいた世界ではない。人間?は魔法を使っており、建物に使われている素材も何かわからない。なのに聞こえてくる声はすべて日本語だ。俺は違和感しかないこの世界で生きていかないといけないのかよ嘘だろ。
俺はこの世界の住民じゃない、どうしてこの世界で暮らすという発想が出てくるのだろう。俺は絶対に元の世界に帰ってやる。ここは俺が生きる世界じゃない。なんでもしてやる、そして生き残って元の世界に帰ってやる。とこぶしを握りながら決意を固めた。
透明化が切れました。
決意を固めた直後にその文字が出てきた、自分が思っているよりも時間がたっていたようだ。まずい魔法の使い方も何もわからないこの状態で透明化が切れるなんて。すぐに俺は行動をすることができ、路地裏の奥に隠れようとしたが、その行動は少し遅かった。
「おいさっきの見たか。」
多分、男性の人たちの声が聞こえてきた。
「ああ、見た。」
「どうやって町の中入ったんだろうな、まあいい、厄介な魔法を持っている個体かもしれない、気おつけて討伐するぞ」
男たちの足音が聞こえる、きっとこの路地裏に近づいてきているのだろう。
どうやら俺はこの世界では討伐対象になるらしい。だけど、警戒されている今のままなら少しだけ時間の猶予がありそうだ。この時間で魔法を使えるようにならないと俺はここで終わりだ。まずどうやったら魔法が使えるんだ。そしてどんな幻術を見せればいいんだ。
考えろ今この状況を乗り切る方法を。とりあえず魔力を手に集めるイメージをしてみることにすると、手に冷たい感触がきた、もしかするとこれが魔力なのかもしれないと思った。人間?の顔がこちらの様子を見ようと顔を出しているのが見えた。これを使ってもう魔法を使うしかない。
この路地裏をここで俺の目の前で行き止まりにするように幻術を見せた。イリュージョン。そう心の中で思いながら手を前に突き出す、そうすると目の前に壁のようなものができた。魔法は使うことができた。だけどそもそも俺の魔法は、前から使っておかないと意味がないものだった。
「壁が出てきたな、なるほどそうやって町の中に入ったのか。」
男は俺の魔法を知っている様子だった。
「おい、お前もこい危険性はあまりないが、すぐに殺さないと厄介ださっさとやるぞ。」
「すぐいく。」
二人は集まって、高速で俺のほうへと移動してくる。幻術の壁ごと俺を切ろうと剣を抜き縦に剣をふるった。
だけど男の剣には何もあたら無い。
「なにもない、だと」
衝撃を受けている様子だ、ぎりぎりだが俺の魔法が間に合ったみたいだった。俺は自分が幻術の壁を見せているとばれた瞬間横の壁に張り付いて自分の体の近くに壁が少し出ているように幻術を見せた。やせていてよかった。心からそう思った。
その場で困惑している様子だったが、すぐに冷静になった様子で。
「さっさとギルドに報告しないとな。まずいことになったな。」
そう細身の男が言うと、巨漢の男がそれに同意してすぐに路地裏から抜けてどこかへ走り去ってくれた。
運がよかった。
彼らのどちらかが適当に剣を振っていたら、何らかの手段で俺の居場所を把握することができていたら、そう思うとぞっとする。だけど収穫もたくさんあった。彼らの姿を近くで見ることができた。これなら人間?の種族に自分の姿を見せることができる。自分の魔法がこの世界の住人に通用する可能性があることも分かった。
それに俺はこの世界だと討伐対象だということも分かった。俺はこの姿だときっと命を狙われ続けるだろう。こんな世界で生きていけるわけない、ずっと魔法で自分を隠して生きろって冗談かよ。会話することができたら共存できるって、そんなわけないだろ。
彼らの目に宿っていたのは殺意だ。まともに対話することができるとも思えないし。ほかの知能を持っている生物ですら殺していてもおかしくはない。今は情報を集めてできることを増やすことしかできないだけどいつか絶対にこの世界から出て行ってやる。




