7話 不良生徒なのに
「おっと、すまない。それじゃ本題に入ろうか...まず真琴君にはここでアルバイトをしてもらうつもりだけど本当に良いのかい?」
「もちろんです」
「そうかそうか、それじゃ早速来週からやってもらおうかな。基本的に土曜と日曜日はお休みで、平日だけシフトに入ってもらう事になると思う。週に2、3日という感じでいいかな?」
「それで大丈夫です」
「私ももう70代で少し大変だったところだったんだよ。本当に助かる」
「いえ、俺の方こそ助かります」
「だけど無理をしちゃいかんよ?テストが近かったり、友達と遊びたい日があったら遠慮しないで言ってほしい」
「...分かりました」
こうして、来週から真琴のアルバイトが始まる事が決定した。
今日はこれでお終い、解散だ。
「それじゃ、最初は私と一緒に仕事してもらうけど徐々に一人でやってもらうよ。これからよろしくね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
今後の流れなどの話が終わり、喫茶店″ルージュ″から出た。
(ふぅー、いい人で良かったな。...あ、そういえば家にもうカップ麺無かったっけ...途中で買っていくか)
真琴はスーパーに寄る事にした。
「いらっしゃいませー」
店員の少し気の抜けた声を聞いてからカゴを手に取り、物色する。
向かうのはもちろんカップ麺のコーナーだ。
(お、新作が出てるな...ん?グリーンピース味...?)
見るからにハズレなそれは買うのをやめて、普段買っている味をカゴの中に入れていく。
大体10個位入れただろうか。
(ついでに飲み物も買っていくか)
食料を買い、会計を済ます。
周りから見ればその不健康な買い物はどこか思うところがあるだろうが、真琴はお構いなしだ。
(自分でも料理出来たら良いんだろうけど、俺にそんなセンスは無い。それに昼飯も作ってる時間あったら寝たいし...)
こうして自宅に帰り、1日が終わった。
―あれから時が過ぎていき、真琴が転校してから大体3週間程が経っただろうか。
バイトにも少しずつ慣れてきた頃、どのクラスの人物達も文句を言いながら勉強している。
...みんな大好き中間テストの時期だから。
真琴はいつも通り、自分の席に座っている。
たまに烏山や結城が話しかけてくれるも、今は勉強期間で余裕が無いのだろう。
そんな中、一人の女子生徒が話しかけてきた。
「ねぇあなた、ここの学校はアルバイト禁止よ」
少し棘がある声色だ。
でも、最近聞き覚えがある。
「...またお前か」
「またって何よ!」
この生徒の名前は月野 鏡花だ。
このクラスの委員長、厳しい事で有名だ。
しかしそれは自分自身にも厳しくしている為、苦手を思っている人は多いだろうが、嫌われているような人物でも無い。
「一応許可は取ってある、それなら文句は言えないだろ?」
「他の皆もバイトしたいと思っている子はたくさんいるわ。許可を取りたくても取れない人もいる。なのに何であなたみたいな不良生徒が許可される訳?」
「....」
最近ずっとこうだ。
何かあるとすぐ″不良生徒″なのに、と牙を向ける。
(はぁ~...何で俺が...)
「あのな...「ち、違うよ!」
さすがに真琴が席を立ち、理由を言おうとすると隣から大きな声が聞こえる。
「結城さん?どうしたの?」
「東仙寺君は、そんな人じゃ...無いよ!!」
普段は大人しい人物が、突然大きな声を出す。
それを聞いていた生徒達は驚き、結城へと視線が向けられる。
「...うっ」
しかし、驚いていたのは本人もだった。
思った以上に大きな声が出てしまったのだろう。




