同じ並び
「行くぞ」
監理院へ着くと、ガンカレスはもう上着を着ていた。
「どこへ?」
「軍の保管区だ。昨日の照会結果が来た」
俺たちはそのまま外へ出た。
「歩きながら見ろ」
一枚の紙を渡される。
「また紙」
「嫌なら返せ」
「見る」
北で回収された未知の魔法装置、その写しだった。
端に、見覚えのある並びがある。
短い記号。
数字。
もう一つの記号。
「アリナの番号と似てる」
オルティナが横から覗き込む。
「同じではない。形式が近い」
ガンカレスが言う。
「北のやつにも?」
「ああ。確認できた写しでは二つ。一つは欠けているが、並びは残っている」
歩きながら紙を見る。
人の多い通りには、荷車と店が並んでいる。
いつもの王都の中で、北の装置とアリナの記録だけが少しずつ近づいていく。
「北の装置って、結局何なんだ」
「まだ特定できていない。ただ、王国で一般に使われている構造とは違う」
「外国の?」
「そこまでは言えん」
アカポリスが紙を見る。
「材質も?」
「一部は国内でも使う。黒い石を含むものもある」
「四点のうち?」
「ああ」
「王都にあるのは四つ」
俺が言う。
「五つ目は北」
ガンカレスがこっちを見る。
「五つ目は正式な回収記録にはない。だから、まず王都にある四点を見る」
「現物を?」
「ああ」
「写しじゃなく?」
「現物だ」
少し嬉しくなる。
「何」
オルティナが聞く。
「やっと紙じゃない」
「そんなに嫌だったの?」
「嫌じゃないけど」
十一日前。
六日前。
三日前。
測定原票。
器具番号。
記録印。
管理番号。
ずっと紙の上を追ってきた。
「見れば分かるものなら、見た方が早いだろ」
「そうだな」
ガンカレスが答えた。
「珍しく意見が合った」
「珍しくって何」
「そのままだ」
「ひどい」
◇
「北の刻印と、アリナの原票の番号」
ディントが聞く。
「同じ仕組みだったら、何が分かる?」
「同じ系列の機械かどうか、一つ進む」
「誰が測ったかまでは?」
「そこまでは進まん」
ガンカレスが紙を指す。
「見るのは作り方、番号の付け方、記録の残し方だ。似ているだけでは足りん」
「だから現物?」
「ああ」
「黒い石も?」
「見る」
「刻印も?」
「見る」
「中身も?」
「見られる範囲で見る」
「壊す?」
「壊さん」
「そっか」
「なぜ残念そうなんだ」
「別に」
オルティナが笑った。
◇
王都の西側へ出ると、軍の保管区が見えてきた。
俺は最後に紙を見る。
短い記号。
数字。
記号。
アリナの原票にも、北の破片にも似た並びがある。
まだ同じだとは言えない。
だから今度は。
紙じゃない。
現物を見に行く。




