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執事がラスボスな件  作者: 肩ぐるま


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第7話 間接支配

ホテルのVIPルームで、サービスドリンクを飲みながら寛いでいる。

「これで、この街に拠点が4つ出来た。俺たちのいるこのホテル、カトレアたちの借家、サリーたちの娼館、ドーソンの鍛冶屋だな。金はサリー達が、かなりな勢いで稼いでくれている。後、足りないのは何だ?」

と俺が皆に問いかける。

「この街は、もう主殿のものですから、拠点をつくる必要はありませんが」

「セバスがそんな反則スキルを持っているとは思わなかったからな。それに、個別の拠点を確立しておきたいしな」

「主殿が何を目指されておられますかな?領主にはなりたくないと仰せでしたし」

「う~ん。俺が何を目指しているか?う~ん、まとめるのは難しいな」

俺は腕を組んで考える。

「実を言うと、大したことは考えていない。しいていえば、俺がラクして、楽しく暮らせる環境を作りたいっていうことかな」

「貴族のように贅沢して、楽しみたいの~?。でも、それなら、もう出来てるじゃん」とアマンダ。

「いや、この世界の危険性を考えると、まだまだ出来ていない。もっと、巧妙で強靭なシステムというか態勢をつくっておかないと安心出来ない」

「ご主人様が何を不安視されているのか分からない。これだけのステータスを持つご主人様と我々は向かうところ敵なしだぞ」とブルガリ。

「そ~よ。おまけにセバスみたいな反則屋までいるんだから無敵よ。何を怖がっているのよ?」とアマンダ。

「もちろん、単純な武力なら、セバスを加えた俺たちは無敵だろう。だが、俺の理想は、ちょっと違う。この街を支配していても、支配しているのが分からない巧妙な仕掛けが欲しいんだ。だけど、たた無力に見えるのも良くない。事情を知らない奴に舐められない程度には、勢力を持っている見かけは欲しいんだ。その見かけが、さっき言った拠点だ。だから、カトレアたちには冒険者として活動させ、サリーたちには娼館を経営させ、ドーソンには鍛冶屋として活動させる。彼らの動きを通じて、この街に足場をつくり上げたという風にしたいんだ。そして俺は、この街で平凡に暮らしているけれども、実質的には、この街の状況をコントロールしている状態にしたいんだ」

「それは直接に支配するのではなく、間接支配に近いものにしたいということですかな?」

「そういうことだ。だから、俺は、この街を直接支配したり、国の支配に関わったりはしたくはない。それは、セバス、お前がやってくれ。俺は、このホテルとかカトレア達やサリー達の拠点を転々としたりして、好きな風に暮らしていたいんだ」

「何か、贅沢なこと言っていない?」とアマンダに痛いところを突かれた。

「支配者の責は負いたくないということですな?」とセバス。

「よく分かってるじゃないか。だからセバスも、ダンジョンマスターとしてこの街を支配するのはいいけど、政治や経済や社会は直接に支配せずに、間にいろいろと置いて、間接的に支配してくれると助かる」と俺。

「それで、サリー達に娼館なんかさせているわけ?」とアマンダ。

「欲を言えば、もう少し駒が欲しんだ。商業や闇社会にエージェントが欲しいし、貴族社会にも誰かを潜り込ませたい」

「また、召喚するの?」とアマンダ。

「そうだな。セバスがダンジョンマスターになる前なら、それしかなったけど、今は状況が変わった。セバスは、どう考える?」

「私の考えですか?そうですな、この街の建物は私の支配下にありますが、私が直接出向かなければ、降臨の影響は出ません。領主にしても、まだ降臨の影響下には置かれておりません」

「いい判断だ。領主を下手に弄ると。国に疑いを持たれる可能性がある。国規模になると、どんな人材がいるか分からないからな。だから領主は、いまのままでいいと思う。洗脳もしない。むしろ領主に強い影響力を持つ人物を領主の傍に置いて、コントロールできるようにしたい。後は、新進の商会をつくって急成長させる。それと、闇社会に顔の利く何者かを送り込む。今のところ思いつくのは、そんなところかな」

「じゃあ、やっぱり召喚するんじゃん」とアマンダ

「いや、商人と貴族については、セバスにこの街の人間からスカウトさせたい。闇社会については、ダンジョンマスターの権能で人間と見分けがつかない魔物を呼び出せないか、例えばサキュバスとか」

「なるほど、商人と貴族ですか。このホテルの利用者からスカウトできそうな者をピックアップいたしましょう。それと人型の魔物ですな。サキュバスなら確かに闇社会に送り込むのに適任ですな。サキュバスの用心棒にリッチを付けて送り込みましょう」

「この街がダンジョンになったことで、セバスが呼び出すサキュバスとリッチは、街の中でも、ダンジョンの中と同じように動けるんだよな」

「この街そのものがダンジョンになっておりますからな」

「それじゃあ、商人と貴族と闇社会のことは、セバスに頼んだぞ。俺は、この後、アキハ達のところへ行くことにする」

「アキハのところ、私も行きたい」とアマンダ。

「私もお願いします」とブルガリ。

俺は立ち上がって、

「よし、転移するから、アマンダとブルガリはこっちに来て。セバスは、いいよな」

「私は、人選を進めましょう」とセバス。

「よろしく頼む。夕食に帰ってくるようなら、また、連絡する」

そう言い残し、俺はアマンダとブルガリを両脇に抱えて、アキハ達の拠点に転移した。

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