惑星コイル3
ジンが呟きにサナリアはすぐに答える。
「そんなことはないです。騒ぎにならずに済みましたので」
そんな事を話していると料理が提供される。
ジンはそれを食べ始めるが周りを見ると全員まだジンの方を見てる。
「今度はなんだよ」
「ジン、緊張しないの?」
テュールの言葉にあくびしながら答える。
「俺は知らないし、別にただの人だろ?神じゃないし緊張もしねえよ」
その言葉にネルが反応する。
「あーし達が一般人と一緒っていいたいわけ?」
「いやそうは言ってないが、、、今までもっと変な奴らにあってきたからなあ」
ピースはニコニコして、マッドもジンと同じように食事を始めている。
それ以外の三人は頭を抱えている。
「兄様は少しおかしいですわ」
「仕事ばかりしてるからですよ」
「マーガレット、またその話か」
一瞬気まずい空気が流れるがカスミが質問して空気を切り替える。
「みんな血は繋がってないんやろ、どんな風に出会ったん?」
「その話をすると長いよね。僕は研究施設の水槽で助けてもらったし、ジンは、、、」
「おい!テュール!」
ジンは慌ててテュールを止める。
「は、ははは、こいつは物語を考えるのが好きなんだ。今のは忘れてくれ」
サナリアが微笑みながら答える。
「この子達も似たような境遇です」
「「「姉さん?!」」」
「あら、いいでしょ?この方たちは信頼できるわ」
「まあ、姉さんがそういうならええけど、、、」
サナリアに絶対的な信頼を置いているのか姉妹は納得したようだ。
「信頼なあ、甘すぎるだろそれは、俺が殺し屋だったらどうする?」
マーガレットがピクッと反応する。
(今の話し方、前までのジンみたいです)
「百聞は一見にしかずだよジン、きっと僕らを見て信頼できるヒーローだと思ってくれたんだよ」
「そんな言葉、聞いたことない」
テュールがまた並行世界の知識を持ってきたせいでポーが怪訝な顔をしている。
「テュールは好きなんスよ。自分の言葉を作るのが、、、」
ナタリアが必死にフォローする。
(テュールのやつ舞い上がってるのか?いつもならもう少し慎重に話すはずだが)
ジンはテュールの様子が少しおかしいことに気づく、神骸の件はできる限り隠すのがセオリーだ。それから得た知識をここまで使うというのはおかしな話だ。
知っている有名人の前だからだとジンは納得して話しを続ける。
「まあ、お互いそんな深いところまで掘り下げずに話しをしようぜ」
その言葉にポーが反論する。
「折角なら知りたい。明日は海で遊ぶ、そっちは?」
「私たちも海で遊びますわ」
「ほな明日も会えるってことやね」
ジンは勝手に決まっていく流れを止められず話は進んでいく。
いつの間にかネルはテュールの横に座っている。
「あんたって男なの?」
「うんそうだよ」
「マジ?こんなきれいな肌今まで見たことないんだけど」
クールで少し怖いイメージがあったネルだったが、テュールの肌を撫でて驚きながら話している。
ポーはマッドとオリヴィアといつの間にか盛り上がっており、カスミはピースとマーガレットと話している。
「なんでそんなに早く馴染めるんだよ」
「ジンさん、、、でしたっけ?」
ジンが横を見るとサナリアが近づいている。
「えっと、サナリア、、、さん?」
「やめてください、サナリアで構いませんよ」
食事の手を止めてジンは会話する。
「さっきの話、本当なんですか?」
「ん?」
「あの子が言っていた水槽のなかでっていう」
「あー、、、」
サナリアはすぐに笑う、
「本当なんですね」
「まあ、そうだな。色々とあってな、、、、実を言うと半年前に世界を救ってるんだ」
ジンはいたずら好きな子供のように笑って見せた。
「まあ、すごい方なんですねジンさんは」
「俺もジンでいいし、そんなかしこまらなくいい。まっ、その時に色々あってあいつらと暮らすことになった。だから家族同然って言ったんだ」
サナリアはジンの話を顔を見て聞いてくれている。
「そっちはどうなんだ?万能タレントなんだろ?その、、、アスト」
「アストラルガールズ」
「そう、それだ」
「本当に知らないのね。少しショック」
サナリアは微笑みながら少し眉をしかめる。
「半年間仕事尽くしでな、、、そのおかげで恋人を失いかけてる」
「恋人?」
「ああ、カスミって子と話してるあの赤髪のやつだよ」
「マーガレットさんね」
「よく覚えてるな」
「あなたもカスミを覚えていたじゃない」
そんなことを話していたらオリヴィアとポーが駆け寄ってくる。
「姉さん」
「兄さま」
二人が同時に話しかけようとするが、お互い話す内容が被っているようだ。
顔を見合わせてお互いどっちが話すか考えている。
しかし、結局は二人とも同時に言葉を発する。
「「どっちが強い?」のです?」
予想外の質問に驚く、
「「えっ?」」
その後は決壊したダムのような勢いで捲し立ててくる。
「兄様の方が早いですしパワーもありますわ」
「姉さんもパワーならスペースゴリラくらいある。それに、なんでもできる。料理も歌も」
「兄様も料理できますわよね?」
「ねえ、姉さん」
驚きながら答えようとしたジンとサナリアの答えが被る。
「「ミルクエッグパスタ以外なら」」
驚いて二人は顔を見合わせる。
「あれ難しいよな!卵への熱の入れ方とか」
「分かる!料理としての難易度が高いの、それなのにレシピ本では」
「「初心者向けって書かれてる」」
二人は顔を合わせて笑っている。
その様子をマーガレットが見ていた。
(、、、ジン、私の時より楽しそうに)
カスミが小声でピースに話しかける。
「マーガレットさんはものすんごい顔なっとるけどなんでや?」
「ジンとうまくいってないのよお」
「へえ、倦怠期ってやつかいな」
「ジンが仕事ばかりでデートも何回もキャンセルしててねえ」
「えっ、あの兄さんきちんとしてそうやのにアカンわそれは」
「聞こえてますよ二人とも」
ピースとカスミは焦りながら急いで誤魔化して事なきを得る。
ネルはテュールに話しかけているようだ。
「じゃあ明日はあーしと海で色々やるってことでいい?」
「わかったよ!連絡先交換しよ」
各々のが盛り上がり時間は過ぎていき部屋に戻ることになる。
部屋に戻る途中でふとジンはさっきの言葉を思い出す。
(スペースゴリラ並の腕力、、、例え話だよな。絶対にあり得ないよな、、、)
部屋の中に入ってシャワーを浴びて寝ようとするとマーガレットが声をかけてくる。
「なぜ助けようとしなかったんですか」
「ん?いやさっきも話したろ。面倒ごとは避けた方が」
「私の好きなジンはそんな情けないこと言いません」
「なんだよそれ、めんどくせえな」
「だったら面倒くさくない女と付き合えばいいじゃないですか」
ジンがイラッとしたのかものすごい眼力でマーガレットを睨む。
マーガレットは少し後ずさりをするが最後まで言い切る。
「サナリアさんと随分と仲良かったですよね。もう新しい女性探しですか」
流石のジンもこの言葉には我慢できない。
感情に任して傷つけるためだけの言葉を吐いてしまう。
「ああはいはい、そうだよ。サナリアと話してる時の方がお前と話してる時より楽しかったよ。だってめんどくさくないからな!」
マーガレットはひどく傷ついた顔をする。
「なに被害者ヅラしてんだよ。ずっと難癖つけてきておいて、いざ言い返され、、、いや、ずっとほったらかしてたのは俺か」
話している途中に今まで自分がしてきた過ちを思い出す。仕事ばかりで蔑ろにしていたこと。
「マーガレット、すまなかった」
「、、、しばらく顔を見たくありません」
マーガレットはそう言い残して部屋から去っていく。




