Call off
駐車場には大量の死体が転がっている。
少女はその中を散歩するかのようにゆったりと歩きながらガレージのボタンを押してシャッター開ける。
シャッターが上がっている間、ポケットからガムを取り出し、口に放り込む。
「全くレッドアームの技術さまさまね」
そう呟きながらガレージの中で目当てのものをすぐに見つける。
「これこれ、この車のデータとシステムが欲しかったのよ」
少女はガムを膨らませながらハンドルの下あたりをこじ開けてプラグにコードを刺す。ポケットの中から小型のデバイスを出し指先で操作する。
「物理的にアクセスとかいう原始的なやり方はよさないか!、、、、うるっさいてのバーカ」
小声で他人の口調を真似て独り言を言っているようだ。
「アクセス完了、コピーじゃなくて転送っと」
そう呟いてコードを持って入り口に向かい死体の中を歩く、ガレージから駐車場の入り口まで50メートル程ある距離を一本のコードで渡そうとしている。
そんなことできるわけもなく、途中でコードがピンっと張る。
少女はため息をつきながらポケットから別のコードを取り出し繋げて延長する。
入り口の真横にある大きめの装甲車の中にコードを繋げ、デバイスで転送状態を確認する。
「これでいいはずよね。あとは」
そう言って車の中から大きめの金属のガントレットを取り出しガレージに戻り物色するを始める。
「あーこれ欲しかったやつ!やば!これもう裏市でも取り扱ってないブースターチップじゃん!金になるぅ!後は、車の売れるパーツを解体してと」
しばらく物色を続けているとデバイスから通知オンが流れてくる。
『転送完了』
その4文字をまた少女は諸々の持って帰るものをカゴに入れる。
それにポケットから出した紐をくくりつけ、更には腕に先ほどのガントレットをつけてカゴを引っ張り歩く。
車の後ろ側を開け、カゴと共に中に入る。
『お帰りなさいませご主人様』
車内に音が響く、少女は体を伸ばして返答する。
「エニアック、アンタに弟?妹?ができたよ」
『新たな人口人格サポーターのアクセスを先ほど確認しました』
「仲良くやってね、とりあえずマーケットまでお願い」
エニアックと呼ばれたAIは自動でルートを割り出し、車を走り出させる。
動き始めた直後に少女は大声を出す。
「あー!現場の証拠消すの忘れてた!」
車の後ろ側を開け手榴弾のようなものを取り出し駐車場には投げる。眩い閃光の後、死体の山は一瞬で消える。
「急いでたから設定はざっくり有機物に絞ったけど問題ないよね」
その言葉にエニアックが反応する。
『問題ないと思われますご主人様、2日ほどあそこで虫も何も見当たらない設定のものを投げたので』
対象を有機物にざっくり絞ったのはミスだったと少女は思う。
「まぁいいや、とにかく転送したサポーターを起動してと」
そう言いながら車の後方にあるテーブルを操作し始める。
「エニアック、お湯って沸いてる?」
『はい、1分24秒前に再度沸騰させておきました』
「気が効くじゃない。ヌードルにお湯入れといて」
『どのヌードルですか』
「昨日の朝食べたやつ」
『在庫切れです』
「夜のやつ」
『かしこまりました。マンドラゴラ風味のものですね』
「そうそう、あれ作った人間違いなく天才」
そんなことを話しているうちに起動が終わる。
『起動確認、キリシンです』
男性の声に少女は嬉しそうに立ち上がる。
「これで倍以上のの処理ができるわけね」
『あなたがマスターですか。お名前をご登録ください』
「バーベラ・レッドアーム」
『登録確認、これからあなたのお役に立てるのが私の喜びです。バーベラ』




