↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/26

第4話 — 決闘

宮殿での長い話し合いのあと、ジャンは訓練場で待っているよう俺に言った。隊長を連れて、すぐに戻るとのことだった。


***


王宮訓練場。


俺は草の上に座り、空を見上げた。


すでに夕方だった。暗い雲が地平線の大部分を覆い、太陽の光を少しずつ隠していた。


*雨が降りそうだな……*


数分が過ぎた頃、背後から聞き慣れた声が響いた。


「おい、兄弟!」


振り返る。


カグラがジャンと三人の人物を連れて、こちらへ歩いてきていた。そのうち二人は普通の騎士だった。


だが、三人目の男は……違った。


俺は立ち上がり、片手を剣の柄に添えながら、近づいてくる一行を見つめた。


カグラがその男を指さした。


「ほら、兄弟。ジュリアス、こいつがジェラルド隊長だ。俺の近衛隊長を務めてる」


俺は手を差し出した。


ジェラルドは一瞬黙ったまま俺を見たあと、その手を握った。


挨拶を交わしながら、俺は彼を上から下まで観察した。


身長は一九〇センチほどだろう。大柄で、太い腕を持ち、その存在感だけでも人目を引く男だった。頭の大部分は剃り上げているが、黒くまっすぐな髪を残し、後ろでポニーテールにまとめている。兜はかぶらず銀色の鎧を身につけ、年齢は二十五から二十九歳くらいに見えた。


「よろしく、ジェラルドさん。もう知ってると思うけど、俺はジュリアスだ」


「こちらこそ、若者よ」


ジェラルドは俺の手を離し、距離を取った。


それ以上何も言わず、剣を抜いて構えた。


*いきなり本題かよ?*


俺も剣を抜いて距離を取り、彼と向かい合った。


ジャンが俺たちの間まで歩いてきた。


「では、この小さな勝負の審判は私が務めます。ルールは単純です。剣を失った者が敗者となります」


ジェラルドが剣の柄を握り締めた。


俺も同じように握る。


ジャンが左腕を上げた。


数秒間、誰も動かなかった。


そして、その腕を下ろした。


「始め!」


俺たちは同時に踏み込んだ。


その場から姿が消えたかと思うほどの勢いで駆け、次の瞬間には正面からぶつかり合っていた。


ガキン!


刃が激突し、俺たちの間に小さな火花が散った。


俺は身体を前へ押し込み、力で後退させようとした。


ジェラルドも同じように押し返してくる。


両足を地面に踏ん張り、あの巨体の全重量を俺へぶつけてきた。


「チッ!」


自分の間違いに気づくまで、そう時間はかからなかった。


力比べはジェラルドが制し、俺は後ろへ押し戻された。


俺は数歩後方へ滑りながらも、彼から目を離さなかった。


*俺は馬鹿か。あんなデカい奴を相手に力比べしようとしてどうする。*


剣を強く握る。


*まあ、いい。*


ジェラルドへ跳び込み、上から斬りかかった。


だが、彼はその動きを読んでいたようだった。


素早く刃を水平に構える。


ガキン!


俺の一撃は防がれた。


その瞬間、ジェラルドは両足を地面に踏み込み、全力で剣を左から右へ振り抜き、俺を後方へ吹き飛ばした。


俺の身体が宙を舞った。


体勢を立て直す間もなく、ジェラルドが全速力で迫ってきた。


*くそっ! 剣が地面に触れたら負けだ!*


まず、空中で剣の柄をしっかり握り直した。足が地面についた瞬間、身体を止めるために刃先を草地へ突き立てた。


数メートル滑った。


そして、ようやく止まった。


顔を上げる。


ジェラルドはすでに目の前、わずか数センチのところまで来ていた。


剣を頭上に構え、今にも振り下ろそうとしている。


*速すぎる!*


刃が縦に振り下ろされた。


俺は身体を傾け、ぎりぎりで右へかわした。


ヒュン!


剣が俺のすぐ横を通り過ぎる。


その隙を突き、俺は足払いを放った。


ジェラルドは一瞬バランスを崩してよろめいたが、倒れなかった。


相手がどう返してくるのか確かめる気はなかった。


俺は再び後退し、距離を広げた。


腕で額の汗を拭う。


「ふぅ……危なかった」


ジェラルドは攻めてこなかった。


代わりに剣を地面へ突き立て、俺を観察していた。


俺は目を細めた。


*今度は何だ?*


口元にかすかな笑みが浮かんだ。


「お前の戦い方には無駄がない」


俺は少し首を傾げた。


ジェラルドは続けた。


「必要もないのに攻撃して、動きを無駄にすることがない。攻撃の回数は少ないが、一撃一撃が正確で効果的だ」


彼は俺から目を離さなかった。


「間違いなく素質がある。見事だ」


褒められて、少し気恥ずかしくなった。


「あ、ああ……ありがとう、隊長」


俺は再び剣の柄を強く握った。


*そういうことか。ジェラルドは戦いながら俺を観察してたんだ。*


もう一度、攻撃の構えを取る。


「さっさと終わらせようぜ!」


ジェラルドは頷き、草地から剣を引き抜いた。


「来い」


俺は身体を前へ傾けた。


ジェラルドも同じように構える。


踏み込んだ。


彼も動いた。


俺たちの間の距離が一気に消えていく。


だが、最後の瞬間……


「そこまでだ」


ジャンが俺たちの間に現れた。


俺は急停止し、歯を食いしばった。


「あああ、なんだよ?! これから面白くなるところだったのに!」


ジャンはまったく動じることなく俺を見た。


「もう十分です。あなたが陛下の近衛に加われるよう、書類の手続きを早めましょう」


俺は少し目を見開いた。


ジャンはジェラルドへ向き直った。


「見事でした、隊長。いつも通りです」


最後に俺たち二人を見た。


「この決闘は引き分けとしましょう」


ジェラルドは剣を下ろした。


カグラが笑顔を浮かべながら、すでにこちらへ歩いてきていた。


「二人とも、いい戦いだったぞ!」


彼はまず俺を見て、それからジェラルドを見た。まるで、まだ俺たちが戦いを再開するのを期待しているようだった。


「正直、最後までやったらどうなるのか気になったけどな」


俺は小さく笑い、空を見上げた。


訓練場に最初の雨粒が落ち始めていた。


「中に入ったほうがいいぞ、カグラ」


剣を鞘に収めた。


結局、ジェラルドを倒す必要はなかった。


俺はただ、王のそばに立つにふさわしいことを証明すればよかったんだ。


こうして俺は、剣士としての実力をジャンにまざまざと見せつけてやった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。