第25話 — ミスリル鉱山
俺は宝の地図に記された中で、最も近い場所へ向かった。近づく前に、周囲に身を潜めて辺りの様子をうかがう。そこに警備がいるかどうか分からなかったので、慎重に行動したほうがいい。
幸い、どうやら誰もいないようだった。
目の前にある大きな洞窟へ近づき、中へ入った。奥へ進みながら内部を観察し、最深部までたどり着いたところで眉をひそめた。
「これ……鉱山なのか?」
ゆっくりと手を伸ばし、鉱石に触れて確かめる。
「ただの鉱山じゃない。これはミスリルだ……ミスリル鉱山!」
*そういえば、地図には『宝の地図』と書かれていた。これなら納得だ。*
俺は顎に手を当てた。
「だが、ほかの場所も鉱山なのだろうか? 確かめる方法は一つしかないな」
そうして、地図に印された残り二か所にも向かった。すると、そこにもまだ採掘されていない鉱山が二つあった。
*カグラも、この話を聞けば喜ぶだろう。*
***
鉱山を調べ終えた俺は、隠れ家の入口へ戻った。王国の兵士たちはすでに辺り一帯に集まり、頭領を含む奴隷商人たちを拘束して首都へ連行する準備を進めていた。そこでアリスとフランコの姿を見つけた。
二人に近づく。
「それで、二人とも。どうやらここは片づいたみたいだな」
二人が返事をする前に、俺は続けた。
「君たちがギルドからきちんと報酬を受け取れるよう、王国内で少し手を回してみる。もしギルドが応じないなら、国王本人に君たちを褒賞してもらうよう頼むつもりだ」
フランコは拳を握り、笑顔を浮かべた。
「それは本当に助かります、ジュリアスさん。ギルドでランクを上げられたら、それだけでも満足です」
アリスが不満そうに声を漏らした。
「そんなのずるい! 私だってギルドでランクを上げたいのに!」
「ははは! まあまあ、二人とも。何ができるか考えてみるよ」
別れを告げたあと、俺は馬に乗り、首都へ戻った。何しろ、カグラに報告しなければならない重要な情報があった。
***
首都に着くと、俺はまっすぐ王宮へ向かった。廊下には誰もいなかった。あの時間帯なら珍しくもない。謁見の間はすぐそこだった。
コン、コン。
扉の向こうからジャンが現れた。
「ジュリアス、もう戻ったのか」
俺は表情を引き締めた。
「報告したい、興味深い情報がある」
「なら、入ってくれ」
中へ入ると、すぐにカグラが声をかけてきた。
「兄弟、もう帰ってきたのか! それで、何が分かった?」
俺は奴隷商人たちのこと、見つけた地図、そして犯罪者たちが支配していた可能性のある三つのミスリル鉱山について、カグラとジャンに説明した。
ジャンは眉をひそめたが、カグラは笑みを浮かべた。
「なるほど、なるほど……面白いものが見つかったな」
「そうだな、カグラ。でも、レイヴンの連中は、この鉱山の存在をすでに知っていたんだろうか?」
カグラは顎に手を当てた。
「いい指摘だ、兄弟。そういえば、ジャンがアドリアン王子の持ってきた契約書の条項について何か言っていたな」
ジャンはごくりと唾を飲み込んだ。
「はい、陛下。彼らが鉱山の存在を知っていた可能性はかなり高いと思われます」
カグラは困惑したように頭をかいた。
「どうしてそう思うんだ、ジャン?」
「陛下は、独占権に関する条項を覚えていらっしゃいますか?」
ジャンは契約書の内容を改めて説明した。
「『契約の有効期間中、レイヴンは交易路の拡張に直接必要な区域において、工事の実施および開発を独占的に行う権利を有する。また、道路の安定性と安全性を確保するため、地面の掘削や地形への介入を行うことができる』」
「彼らはこの条項を口実にして、工事の期間中に鉱山からミスリルを採掘するつもりだったのかもしれません」
カグラは目を見開いた。
「なんて卑劣な連中だ! とはいえ、契約からこの条項を削除して、王子が署名を拒んだ場合に初めて確信に近づける。そのときは、疑いを強めるだけの理由ができるだろう」
ジャンは笑みを浮かべた。
「陛下、契約条件の調整を私にお任せいただけませんか。ジュリアス殿の報告を聞いて、すでに考えがあります」
カグラは肩をすくめた。
「いいぞ、ジャン。相手に手加減するなよ?」




