第15話 — 反撃
西門。
ターシャは顎に手を当てた。
「陛下……?」
その目がカグラを下から上まで眺める。
そして、顔に笑みが浮かんだ。
「じゃあ、こいつが噂の新しい王ってわけ?」
さらに楽しそうな表情になった。
「どうやら大当たりを引いたみたいね!」
カグラは表情を引き締め、彼女を見据えた。
「女を殴るのは好きじゃないんだけどな……」
その手の周囲に炎が現れ始める。
「でも、お前だけは特別だ!」
ターシャは歯を食いしばった。
「死ね、この野郎!」
すぐに詠唱を始める。
「土魔法――大地の杭!」
いくつもの魔法陣が空中に現れた。
次の瞬間、何十本もの土の杭がカグラとノアへ向けて放たれた。
ノアは前へ飛び出し、王の前に立った。
「陛下、ここは俺に!」
剣の柄を強く握る。
「技――天衝反発!」
ノアは剣を抜いた。
強烈な風の波が目の前で炸裂し、すべての杭を同時に襲った。
ガシャァン!
土の弾丸は二人へ届く前に砕け散った。
カグラは笑った。
「いいぞ、ノア!」
一歩前へ出る。
「今度は俺の番だ!」
カグラは手を伸ばした。
「火魔法――死の息吹!」
大きな魔法陣が彼の前に現れた。
次の瞬間、大量の炎がターシャへ向けて放たれる。
彼女は目を見開いた。
「何っ!? 中級魔法!?」
ターシャは歯を食いしばった。
*こいつ、危険だ! くそっ!*
地面へ手を叩きつける。
「土魔法――土壁!」
巨大な壁が彼女の前にせり上がった。
炎が激しく壁へぶつかる。
カグラはすぐにノアを見た。
「今だ、ノア!」
「了解!」
ターシャがカグラの魔法へ意識を集中させている間に、ノアは右から一気に駆け出した。
接近した瞬間、彼女は視界の端でその動きに気づいた。
「えっ!?」
ノアは跳び上がり、上から斬りかかった。
ターシャは土の槍を掲げ、剣を受け止める。
ガキン!
だが、まさにその瞬間、炎の圧力がついに壁を破壊した。
「くそっ!」
炎がターシャを直撃した。
ドォン!
彼女は後方へ吹き飛ばされ、全身のあちこちに火傷を負ったまま激しく地面へ叩きつけられた。
カグラは拳を握った。
「よし! うまくいったみたいだな」
ノアのところまで歩いていく。
ノアはターシャから目を離さなかった。
「彼女をどうしますか、陛下? まだ生きていますが、かなりの重傷です」
カグラは顎に手を当てた。
「そうだな……」
倒れている女を見る。
「こいつをどうするか……それが問題だな」
二人の背後から、聞き覚えのある声がした。
「陛下。もし彼女が生き延びるのであれば、ヴァレドーンへ連行し、拘束することを提案いたします」
カグラとノアは同時に振り返った。
「フェルナンド子爵?」
カグラは目を見開いた。
「戦場で何してるんだ?」
そこで改めて彼の姿を見る。
「ていうか……その鎧、似合ってるな。しかも馬にまで乗ってるじゃないか」
ノアはすぐに跪いた。
「閣下!」
フェルナンドは笑った。
「ははは! 私は戦闘員ではありませんが、陛下がこちらへ向かわれたと聞いて、じっとしていられなかったのです」
カグラは頷いた。
「なるほどな」
フェルナンドはノアへ目を向けた。
「立ちなさい、ノア」
ノアが顔を上げる。
フェルナンドは微笑んだ。
「よくやっている。その紋章に恥じない働きだ」
ノアは動きを止めた。
その頬を涙が流れ始める。
慌てて手で拭った。
「お認めいただき、ありがとうございます、子爵閣下!」
フェルナンドは回復薬を取り出した。
「ところでノア、この女性を治療し、拘束しておくために必要な処置をしてくれ」
そして街のほうへ目を向ける。
「ここへ来る途中で見た限り、すべて非常に順調です。街の他の場所にはまだ多くの蛮族が残っていますが、西門周辺はほぼ平定したと考えてよいでしょう」
カグラは頷いた。
「素晴らしい、子爵」
そしてターシャを指さした。
「この捕虜を外に設営した野営地まで連れていってくれ。俺とノアは前線へ向かう」
カグラはノアを見た。
「少なくとも、この西側一帯は完全に押さえておきたい。それにノアもかなり消耗してる。ここで時間を無駄にはできない」
フェルナンドは頷いた。
「承知しました、陛下」
カグラは顎に手を当てた。
「そうなると気になるな……」
子爵領の反対側へ目を向ける。
「東門のほうは、どうなってるんだろうな?」
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東門。




