第2話 400万年前に行ってアウストラロピテクスを滅ぼした
僕が望むのは世界平和だ。しかし人類は戦わずにはいられない。
だから僕は根本を断つことにした。
すなわち、400万年前のアウストラロピテクスだ。
僕は今、400万年前のアフリカにいる。
想像していた以上に森があり、涼しい。いや21世紀でもアフリカに行ったことはないのだが。
さあ。ここからが大仕事だ。
僕は茂みに身を潜め、ヤツの登場に備えた。
しかし400万年前のアフリカは不思議だ。サイやシマウマみたいな動物もいるが、21世紀とはちょっと違う。なんか、ぶさかわ系だ。
すると茂みから体毛ぼうぼうの動物が出てきた。二足歩行している! しかも思ったよりも小さい!
あれがヤツなのか?
自信はなかったが世界平和のため。
僕は茂みから飛び出て襲いかかった。
長い一日だった。
しかしこれでアウストラロピテクスを駆逐した。
これでネアンデルタール人もクロマニョン人もホモ・サピエンスも生まれない!
思想も宗教も生まれない!
世界はこれで平和になる! もう人類による争いは起こらない!
「世界平和ばんざい!」
両手を振り上げてそう高らかに宣言したとき、僕は見てしまった。
ぶさかわ系の二頭のオスライオンが争っているのを。
二頭のライオンは、雄叫びを上げながらお互いに噛みつこうとしている。二頭とも血を流していた。
何故だ。ようやく人類が絶滅したのに。
何故だ。何故、ライオンたちは争うのか?
縄張りか?
縄張りとはすなわち——領土だ。
そのとき僕は気づいてしまった。
哺乳類とは領土を奪い合う生き物なのだと。
つまり、哺乳類があるかぎり、世界平和は来ない。
(※作者の思考とは別物です)




