↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
17/18

第17話 恐るべき人質生活から生還したらカエルが跳んでいた

 その後、僕は何度も戦った。

 粗大ゴミうんこに、何度もまさぐられた。しかも複数人に!

 挙句の果てに犯罪グループCに身ぐるみをはがされ、何度もいかがわしいものを売りつけられた!

 隙を見てようやく脱獄できたかと思ったら、すぐにまた別の収容所へ送還された。行く先々で、強制労働と強制婚姻を結ばされた。


 一体どれだけ入籍したのだろう。

 一体どれだけ嵌められたのだろう。

 一体慰謝料はどれだけになるんだ? 僕は至って拒否していたのに!!


 でも、悪いことばかりではなかった。

 そこは、とても賑わっていた。

 そこは、とても暖かかった。

 そこにいると、不思議と活力がみなぎってくる気がした。

 考えてみると、僕は40億年、ずっと孤独だった。

 話しかけても、誰も反応してくれなかった。みんな、ドライだった。

 僕はぬくもりに飢えていたのかもしれない。

 そこには、ぬくもりが溢れていた。


 そっと近寄るだけで、みんな活き活きと嬉しそうにする。

 それが、僕にはとても幸せだった。

 なんて安らかで平和な日々だったのだろう――……。


 ん? 平和?

 平和って何だっけ?

 平和とは――窒素であること。


 窒素であること!!


「はっ! 僕は一体何を考えていた!?」


 そうだ! 世界平和とは窒素が窒素であること以外にない!

 僕は一体どうしてしまったんだ?

 長きにわたる人質生活で、頭がおかしくなってしまったに違いない!

 ちくしょう、粗大ゴミうんこと反社Cどもめ。弾力と甘い言葉で僕を惑わしやがって!


 逃げてやる!

 今日こそはこの地獄から這い上がり、大気に戻ってやる!

 僕の三つの固い手を侮るなよ!


 僕は這い上がった。

 海底の中を移動し、土の中を移動し、そしてようやく脱出口を見つけた。

 よし、あと少しだ!

 あと少しで、この蟻地獄とはおさらばだ!

 僕は一目散に脱出口から抜け出た。


 ぴょーんと上空を跳ぶシミだらけのデブっ腹。


 ゲゴッゲゴッ。


 おっさんがえずくときみたいな声。


 ゲゴッゲゴッ。


 え……。なんで奴らがいるんだ。

 そこにいるのは、どう見てもカエルだった。不細工デブっ腹のカエル。

 その周りを飛ぶ虫を、しゅっと舌を伸ばして口に入れた。まるまるの喉がぼこぼこ動く。

 カエルはこちらをじろりと睨みつけると、ぴょーんと草むらの中へ消えていった。その後を、トカゲみたいなやつがさっと追いかけていく。


 おいおいおい。どうなっているんだ? なんでもう奴らがいる?

 僕が大気にいたときは、まだ魚すら生まれていなかったぞ。

 え……ということは、僕は一体何億年囚われていたんだ?


 僕は近くにいた窒素同志を呼び止めた。

「なあ! 今は何億年なんだ!?」


 窒素同志は、冷めた目で僕を見て静かに言った。

「知らね」

(※作者の思考とは別物です)

(※窒素は、硝酸系化合物(HNO3など)になると、栄養源として生物が利用できるようになります。生物体に取り込まれた窒素化合物は、排出物や死骸などを経て窒素N2に戻るものもあれば、窒素化合物として生物が再び利用することもあります。これを窒素循環といいます)

(※ですので、実はほぼ誇張なく理科を語ってます。本当ですよ)

(※両生類はデボン紀後期の3.6億年前に、シーラカンス類またはハイギョ類の系統から進化したと言われています。ただカエル自体は三畳紀、2.5億年前あたりから進化してきたそうです)

(※文中の「トカゲみたいなやつ」はイモリです。イモリは両生類、トカゲとヤモリは爬虫類です。タモリさんは人類なので哺乳類です)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。