第7話:父と子、祖父と孫
杉原達との騒動からしばらくして春休みになった。俺は入院中の親父の元へ向かっていた。
俺の名前は海棠宗一。この前の出来事にはびっくりしたけど一希達の力になれたら嬉しい。
あの後しばらくは4人で常に行動していた。それでも何も起きなかったので俺たちは向こうも人不足ですぐには追っ手は来ない、もしくは俺たちを泳がせていると結論づけた。
レボルの元へ行くという意見も出たけどもっと人を集めてからにしようと一希が言った。
萌黄ちゃん曰く
「私たち以外に能力を持っている人間は見ていない」らしい。
4人で内閣府特務防衛審議会の情報を調べたけどネットにはもちろん載っていない。それらしい噂もなく、俺たちが情報を集めるにはレボルの下へ向かうしかしかなかった。
はっきり言って行き詰まっていた。
俺は病室のドアを開ける。
「親父、元気か〜」
「宗一、お見舞いに来てくれてありがとうな。父さんは大丈夫だ」
「何かあったら言えよ。心配なんだからな」
親父は体が弱い。気も弱いが他人を心配させないようにするところが親父のかっこいいところだ。
「ありがとう。何かあればそうさせてもらおうかな」
最近親父が病気になった。大した病気じゃなかったけど体の弱い親父はどうなるか分からなかった。そして念のため入院することになった。
親父は俺が困っている事を伝えるといつも助けてくれた。
だから今回もつい、親父に全部話してしまった。
「...その友達の力になりたいんだけどどうしたらいいと思う?」
最後まで話してやっと気づいた。
あれ?これ言ったらダメなやつじゃね?
でも俺の話を聞いても親父は落ち着いていた。
「そうか、...なら父さんが力になろう。そこに座って背中を向けて」
俺が戸惑いながら言われた通りにすると親父は俺の肩に手を置いた。
「父さんの力を宗一に注ぐ。わかったな?」
「?...わかった」
その瞬間俺の中に何かが生まれた気がした。
「親父、今のは?」
「父さんの力を宗一に与えた。お前の優しさで友達を助けてやりな」
どうやら親父が俺にくれたのは超能力らしい。親父は俺に能力の説明をした。俺はなんで持ってんだよと思いながら親父の話を聞いた。
◆◆◆
春休みになり、私はおじいちゃんの家へ向かっていた。久しぶりに会いたいというのもあるし、私のおじいちゃんはおそらく、超能力者だと思う。協力者を増やすのが第一優先だしね。
「おじいちゃん、来たよ!」
「萌黄、大きくなったなあ!待ってたぞ」
「アパート代とかありがとう。どこかで返すね」
「いいんじゃいいんじゃ。それより萌黄、お主わしのこの気配が見えておるな。そのまま見ておけ」
おじいちゃんがそう言うと次の瞬間能力者特有の気配が消えた。
「こうすると萌黄でも気づかんじゃろう。気配は消す事もできる。油断するでないぞ」
私は驚きのあまり言葉を失った。
「それとわしは萌黄の誘いには乗れん」
え、なんで知ってるの!?︎
「何故知っているのか、と言う顔をしているな。簡単な事じゃ。わしも昔バカをやったからな、わかるんじゃよ。
それより、敬三とかなの事は残念じゃった。そしてお主はおそらく...いや、なんでもない。萌黄だけでも生きていて本当に良かった。」
そう言っておじいちゃんは私の頭を優しく撫でた。
私は泣きそうになるのをこらえ、おじいちゃんに尋ねた。
「なんでおじいちゃんは私に協力してくれないの?」
「そもそも、何故奴等と争う必要がある。気に食わん奴等だが別に悪事は働いて無いじゃろう」
「働いているのよ。あいつらは超能力を使って地震を起こしたの。」
「ふむ、なるほど。......思い当たる節があるがそれはおいおい話そうか。萌黄はまだそんな大した事はしとらんじゃろう?」
「...人を一人殺した」
するとおじいちゃんはとても驚いた顔をした。少し苦しい。
「...わかった。それ以上は聞かん。ただ約束するんじゃ。もう誰も殺さないと」
「分かってる。大丈夫だから、心配しないで」
お昼ご飯を貰って少しして、私は帰る準備を始めた。
「もっと居ていいんじゃぞ」
「ありがとう。でもずっと帰らないわけにもいかないしね。あんまり私を甘やかさないでね」
「ハッハッハ!萌黄がピンチの時は、わしを呼べ!助けに行くぞ!」
「ありがとう。その時はおじいちゃんを呼ぶわ。バイバーイ!」
この数日後、春休みが終わり、一希達四人は高校2年生に進級することになる。
ここまで読んでいただきありがとうございます。7時30分に毎日投稿中です。




