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LEVEL5 〜超能力を巡る戦いの記録〜  作者: 更待クロム
第1章:政府革命編
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第29話:二人の隊長 中編

「ここは、...どこだ?」


気づくと俺は小さな部屋の中に立っていた。


「先輩、僕達は平坂先輩に閉じ込められたみたいです」


触らなくてもできたのか。...


4畳ほどの広さしかない部屋の天井には、いくつもの小さな穴が開いていた。


「先輩、この壁は壊せますか?」


「無理だな。分厚さがわからないし、拳が硬くなるわけじゃないから普通に痛いんだよな」


「なるほど、...それなら力を加えて壊すのはどうですか?」


「それも厳しいな。まだコントロールが難しいし、仮に壁を破れたとして、出られるとは限らない。


逆に危険になる事も有り得るからな」


俺達が話していると、どこからか声が聞こえてきた。


《そうだよ。君達は絶対にここから出る事はできない。大丈夫。一希もすぐに来るから》


「凛か?俺達をここから出してくれないか?」


《それはできないよ。さっき上から命令が下されてしまった。君達を殺せ、とね。


だからね、今から二人を殺そうと思いまーす♪》


「はあ!?︎」


「考え直してくださいよ!」


《...私はちゃんと考えたよ。それより、君達の殺し方を説明するね♪


天井に小さい穴があるでしょ?それ、なんだと思う?》


「毒ガスが出てくるとかですかね?」


「真面目に考えるなよ!凛、早くここから出せよ!」


《残念ながら毒ガスはできないんだよね。でも惜しい!正解は、水責めでした〜♪》


凛の言葉と同時に、水がシャワーのように穴から出てきた。


「うわっ!」


「やめろ!」


水は止まらない。ひたすらに流れ続けた。


俺と和は一瞬でびしょ濡れになった。


今はまだ息ができるけど、このままだとこの部屋は水で満たされる!何より体力が持たない!


「和、立てるか!」


「はい!僕、まだ死にたくないです!」


和は泣きかけている。


「凛!早く止めてくれ!」


《だ〜か〜ら、言ったでしょ?止めるわけないじゃん。もっと泣いても、いいんだよ?》


まだ水は出始めたばかりだが、すでに靴が完全に水没している。


やばいやばいやばい!


このままじゃ、死ぬ!


《面白くないなあ。まだ諦めてないんだ》


「何が面白いんだよ!」


《みんなには言ってなかったな。...私はね、人が苦しみ、悲しみ、絶望した時の泣き顔が大好きなの♡


さあ、もっと見せて!その恐怖に歪んだ顔を♡》


凛の頭は俺が思っていた以上にぶっ飛んでいた。


一希!早く凛を倒して、この地獄から解放してくれ!


◆◆◆


私は姫乃先生に問いかける。


「あの日、私を爆発から守ったのは、先生ですね?」


「そうよ」


「今回は見逃してくれないんですか?」


「さっき上から命令されたのよ。君達4人を殺せ、と言う内容よ。


私としては見逃してもいいのだけど、...それは命令に背くと言う事。


命令を聞かなければ私はただの危険人物なのよ。最悪の場合、消されるかもしれないわ。


それでも、私は君達の味方でいたい。なら、捕まえるしかないのよ」


この人は本気で私達の力になろうとしているように見える。


なら、...


「私が先生を撃退します。

そして先生がこれ以上私達を捕まえようとしても無駄だと言う事を伝えればいいんじゃないですか?」


「それも、一つの選択肢ね。でも私はより成功率が高いと思った方に賭けるわ。

...あなた達を捕まえます」


かくして、戦いの火蓋は切られた。


私は刀を抜くと、峰を姫乃先生に向けた。


「はあッ!」


避けない!?︎勝った!


私が刀を振り下ろし始めても、姫乃先生は微塵も動かなかった。


しかし刀が当たる瞬間、先生の姿が消えた。


どこに行った!?︎


その時、背中に気配を感じた気がした。


根拠のない勘を信じて私は振り向かずに素早くその場から退避する。


直後、


「ブンッ!」


という風を切る音が背中で聞こえた。


私が後ろを見ると、そこには姫乃先生が立っていた。


「まさか、今のを避けられるとは思わなかったわ」


油断していたわけじゃない。ただ、失念していた。


私が最初学校にいる人間全員からSOP所有者を探し出そうとした時、先生から気配を感じ無かった。


つまり気配を隠せるだけの実力があるという事。


そして今、先生が消えた一瞬だけ気配を感じた。


つまり今のはSOPを使った能力ということね。


「少し、舐めていました。さっきの手刀が当たれば私は確実に気を失っていたでしょう。


でも、もう今のは通じませんよ」


あの銃はあくまで威力を上げるため。対人戦では必要ないのね。


私はもう一度走り出す。


そして刀はまたもや空を切る。


私は構わず刀を振り続けた。


しかし、全く当てることができない。


「なんで!」


それは異常だった。


最初は単純なテレポートだと思っていた。


でも違う。


姫乃先生には絶対に攻撃が当たらない。私の直感がそう告げていた。


そしてテレポートは自動で発動しているのね。


じゃないと私の連続攻撃をわざわざギリギリで避けている事の説明がつかない。


奇しくもこの時、私と一希は同じことを考えていた。


「疲れてきたみたいね。もう終わりにしましょう」


そう言うと姫乃先生は私に銃を向けた。


「安心して。ゴム弾よ」


「これほど信用ならない言葉はないですね」


私がいくらスピードを上げても、先生にはかすりもしなかった。


時々来る不意打ちをかわすことはできていた。


でも、もう私の体力は尽きている。


足に力が入らない。腕もそう。


刀を支えにして立っているのがやっとという有り様。


隙だらけの私に先生は照準を合わせると、引き金を引いた。


「パーンッ!」


最初、私の目はそのゴム弾を捉えていた。


しかし、私の視界は遮られる。


「キンッ!」


私はそれが、刀がゴム弾を真っ二つにする音だと気づいた。


見覚えのある背中。


私はその背中を、幼い頃から知っている。



「萌黄よ、遅れてすまんかったのう」


私は目を見開く。


「おじいちゃん!」


おじいちゃんが刀を手に、私を助けにきてくれた!

ここまで読んでいただきありがとうございます。次回の投稿は9月24日の19:30です。

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