第18話:隊長、生成圭太との決戦(前編)
「作戦会議は終わったか?じゃあ死ね」
そう言うと生成は何かを投げる。
(宗一、避けるわよ!)
(ああ!)
俺は生成が投げたものに注目する。
それは豆粒ほどのサイズの球体だった。青白く光っている。
爆弾か?
萌黄と宗一が避けた二つの球は少し進むと空中で静止する。
(今避けた球はまだ後ろで止まっている。念のため近づくなよ。
動く気配は無いけど、爆発に巻き込まれたら確実に死ぬからな)
(オーケー!)
(宗一、足元に気をつけて!青白く光る場所があるわ!)
(地雷みたいな感じか?)
難なく進む2人を見た生成が笑う。
「気づいたか!だが安全地帯はどんどん狭くなるぞ!」
「その前にお前を倒す!」
宗一が生成に殴りかかる。
生成は青白い球を手のひらで生み出すと、宗一の拳を止めると同時に爆発させ、威力を相殺した。
「痛って!マジかよ。止められた!」
宗一が殴りかかるタイミングで萌黄は高く飛び、峰に持ち替え上から切りかかった。
だが同じく爆発で相殺されそのまま生成を飛び越える。
(ナイス!挟んだ!)
(切りかかる時に生成の周りに無数の球が浮かんでいるのが見えたわ。
試しに弾こうとしてみたけど刀が当たらなかったの)
(触ることはできないのか)
(一希、あの球を動かすことはできるか?)
(やってみる)
俺は遠くに浮かぶ青白い球に意識を集中させる。
すると少し動かすことができた。
(動かせる!でも爆発させることはできないな)
(じゃあアイツの周りに浮かんでいる球を全てどけたいわね。というか、本人に爆発って効くのかな?)
(効かないと思うよ。効くならあんな近くに爆弾を作らないし、さっきだって手のひらで爆発させていたからね)
(なるほど...よし、じゃあ一気に決めるぞ。宗一が殴りかかって生成の気をひいている間に俺が周りの球を全て上に飛ばす。
その後球を作らせる前に萌黄が仕留める。
安全地帯が無くなる前に、急ぐぞ!)
(オーケー!)
(分かったわ!)
宗一が走り出す。
「オラァ!」
再び生成が宗一の拳を受け止める。
「なっ!威力が増してやがる!」
(一希!)
(任せろ!)
俺は生成が怯んだ瞬間に青白い球を上空に打ち上げる。
「何!?︎動かせたのか!」
生成が驚いて固まった時、萌黄はすでに生成に接近し、背後から刀を振り抜こうとしていた。
それを見た生成の顔は...
何故か笑みを浮かべていた。
生成の笑みを見て俺は不安を感じた。
まだ何かあるのか?
爆発は生成本人には効かない。生成だけが球に触れる事ができる。
最初に生成が投げた球は空中で静止した。球を操れるわけではないから自分で投げていた。
つまり球を止めてから爆発させるというSOPなのか?いや、別に止めなくてもいいのか。
そして謎なのは地面に埋まっている爆弾だ。いつ埋めたんだ?
...そうか、球に触れる事はできなかった。つまりあらゆる物質を透過する性質を持つ!?︎
そしてそれを重力で落ちないように止めているという事か!
つまり透過させてどこかに爆弾を隠している?そんな場所あるか?
俺には情報と時間が足りなかった。真実には辿り着けず今の俺はただ見届けることしかできない。
◆◆◆
「一希は気づくかな」
平坂凛はいつの間にか持っていた双眼鏡を片手に観客席から生成達を眺める。
生成圭太が生み出しているのは爆発するエネルギーの塊だ。
爆弾は圭太の意思で『固定』させる事ができる。
そして爆弾はあらゆる物質を透過する。透過の特性を使い圭太は地面に爆弾を埋めている。
しかし地面に埋める場合欠点が一つあった。
完全に埋めてしまうと殺傷能力が著しく落ちてしまうのだ。
そのため少しだけ地面から出す必要があった。
しかしその欠点を無視できる場所がある。
圭太は爆弾に触れる事ができる。だがそれは手のひらのみの話だ。
本人の体をも爆弾は透過する。
他の特性も組み合わせた結果、圭太は自分の体に爆弾を『固定』し、隠す事ができる。
さらに本人と爆弾は互いにその影響を受け無いので、100%の殺傷能力を出せる。
私と圭太を含む実働部隊の5人の隊長、そして共に情報局局長である序列6、7位の2人。
この7人は他の隊員とは逸脱して強く、全員が危険度レベルに換算するとレベル5の実力を持っている。
その中でも圭太は序列5位でありながら特審一の火力を持つ。
圭太が生み出したエネルギーの塊は時間をかけて練り上げることで大きくなる。
圧縮することはできず威力と大きさは比例する。
圭太が最初に投げた爆弾のサイズは直径2センチであり、爆発すると100倍の直径2メートルの範囲で被害を与える。
地面に埋めた爆弾は直径5センチであり効果範囲は同じく100倍の直径5メートルである。
もちろん近ければ近いほど威力は増し、広ければ広いほど威力は弱まるばかりか上がり続ける。
圭太の小太りした腹に『固定』された爆弾はすでに30センチを超えかけている。30センチの100倍は...。
「楽しみだな♪」
私は圭太達を見つめる。
◆◆◆
生成の腹が青白く光り始める。
そういうことか!!︎全身から冷や汗が止まらない。
「萌黄ー!!︎」
全力で叫ぶ。
しかし、もう間に合わない。
「死ね!!︎」
生成が叫んだ瞬間、生成を中心に大爆発が起きる。
「ズドォォーーン!!!......ゴゴゴゴゴゴ...」
「ドゴッ!」
「ウッ!」
俺は爆風に吹き飛ばされ、地面に勢いよく打ち付けられた。
立てない。
声が出ない。
少し前に倒れている宗一が目に入る。
「グハッ!」
血を吐いている。
まだ生きていてよかった。
でも、...もう萌黄は...。
俺は生成のいる方向に頭を動かす。
見ると生成を中心に半径15メートルほどのクレーターができていた。
萌黄がいた場所は跡形もなく消し飛んでいた。
...でも、もう俺も死ぬんだな。
俺は死を受け入れ、意識を手放した。
ここまで読んでいただきありがとうございます。次回の投稿は8月22日の19:30です。




