第13話:宗一の過去
これは俺、海棠宗一がまだ中学生だった頃の話。
俺は、ミーチューブの虜になっていた。
それまで、俺はインターネットにはあまり触れてこなかった。
でも中学に入ってタブレットが配られてから、俺はつい友達がいつも観ていたミーチューブを観てしまった。
ミーチューブは俺にとって革命だった。
その中毒性に気づいた頃には毎日遅くまで見るようになっていた。
中学三年生になった時、俺はまだ受験勉強を始めていなかった。
中学受験に挑戦した事があったから急いで勉強を始めるべきだと頭では分かっていた。
それでも体は動かなかった。
友達の話題が勉強の話ばかりになった頃、ようやく受験勉強を始めた。
ミーチューブは受験が終わるまで観ない事に決めた。
しかし、次の日にはミーチューブを開いていた。
俺は、自分がそんな事も我慢できない事を知り、悔しんだ。
でもどれだけ嘆いても何も変わらない。どれだけ頭で決心しようとも体は動かない。
俺は焦るばかりで、勉強はなかなか進まなかった。
ある日、2人で晩御飯を食べている時親父が俺に言った。
「最近、勉強が捗っていないみたいだな。大丈夫だ。焦らなくても、毎日続ければ受験も合格するさ」
「毎日...」
「そうだ。モチベーションがどうであれ同じ事をすれば結果は変わらない。大事なのは継続力なんだ」
「ふーん...」
「宗一はなんで勉強をしてるんだ?」
「なんでって、高校に入るためだけど」
「なんで高校に入りたいんだ?義務教育じゃないから入らなくてもいいんだぞ」
「高校に入れば将来出世しやすい、から?大学にも行けるし」
「じゃあなんで出世したいんだ?」
「金を稼ぐため...金が大事って事?」
「そうだな、お金は使う物。自分や誰かのために使うんだ。人が生きる上で最も大切な事、それは人生を楽しむ事だ。楽しむために人はお金を稼ぐ。
宗一は今、その将来に投資しているんだ」
「将来への投資だと思って勉強しろって事?」
「そうだ。でも大切なのは人生を楽しむ事。今を楽しむ事も大切だ。
将来に関係が無くてもべつにミーチューブだって観ていいんだぞ」
「やったー!」
「時間は決めるんだぞ」
将来への投資と聞いて少しやる気が出てきた俺は、猛勉強とはいかなくても毎日受験勉強をする事ができた。
親父はすごい。
困った事があればすぐに助けてくれる。そしていろんな事を教えてくれる。
俺が幼い頃、母と離婚して2人暮らしを始めた時から親父は俺にとって大きな存在だった。
入院しても変わらず優しい親父が、俺は大好きだ。
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