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崖っぷち聖女、拾ったショタ魔王がくっっさモフモフだったので、ついついお持ち帰りしてしまいました!?  作者: 向夏夜なくの
二章 日常と邪悪魔法

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第9話 マオ君は私のもの

今日も今日とて、マグノリアとマオは炊き出しの大盛りご飯を食べに来ていた。


「今日のご飯はちょっと物足りないわね」

「そうじゃの。何と言うか、大盛り加減が足らないのじゃ」

「マオ君は成長盛りというのにね。今日の配膳係の職員さんはクビにしようかしら笑。って、冗談よ」


聖女と言う職業は、各種さまざまな特権が認められている。教会職員さんの人事権もその一つであった。


冗談とは言ったものの、やろうと思えばコンマ一秒、指先一つで一方的な解雇が可能である。


「マグノリアよ。立場が下の者をやすやすと切り捨ててはならぬぞ。味方を増やすことを考えねばな。かつての我が軍と等しく先細りじゃ。スライム一匹でさえ侮ってはいかん」

「マオ君は本当に物知りね。尊敬するわ」

「我と同じ轍を踏ませる訳には行かぬからな」


マオの見た目は羊系ショタではあるが、れっきとした生まれたての魔王。含蓄のある数々の言葉に、マグノリアは幾度も納得させられている。


「ふふ、マオ君が居れば勇者を倒す(勇者の借金を踏み倒す)ことも出来そうね」

「我はしばらく遠慮したいぞ……」

「??」


そんなこんなで炊き出しを食べ進めていると、思わぬ人――『核火葬砲』の二つ名でお馴染み、シャーリー聖女がやってきた。


「お二人方、ちょっと失礼するわね」

「シャーリー聖女、おはようございます」

「おはよう、マグノちゃん。そしてマオ君♡」

「おはようなのじゃ」


シャーリーが炊き出し会場に姿を現したのは、これまで数える程しかない。


それなのに今日やって来たのは、マオに会う。それだけの為であった。


彼女はマグノリアと同様、重度のショタ好き。孤児院の所長を務めている責任者でもあり、子どもを笑顔にさせることだけを生きる悦びとしていた。


そんなシャーリーが最近密かに目を付けているのが、マオである。


真ん丸な瞳、真ん丸な顔、モッフモフのモフ。その全てが彼女の性癖にブチ刺さっていた。


叶うことならマグノリアから奪って孤児院で、いや、個人的に預かりたいと本気で思っている。


その為の足掛かりを作るために、わざわざ炊き出し場へやって来たのだ。


シャーリーは親密度アップを狙って、いきなり仕掛けた。自らの分の炊き出しをマオに差し出したのである。


「はい、マオ君。あーん♡」

「シャーリーよ、気が利くな」


――私のマオ君に何するの! 

――このNTRメス豚がッ!


と、マグノリアは思わず手が出そうになる。


けれど、周りには庶民達の目があった。聖女として、元貴族令嬢として、暴力を振るうなどあってはならない。


そう、ここは言葉だ。

言葉でどちらが上かを分からせる必要がある。


次はマグノリアの仕掛けるターン。


「マオ君、私とシャーリー聖女のどっちが好き?」

「それは圧倒的にマグノリアじゃの。我はお主を好いておるし」

「シャーリー聖女はどう?」

「どうと言われてもの。単なる優しい聖女様じゃな」


――ほら見ろ。てめえは優しい止まりの女なんだよ!!

――単なる優しい聖女様ァ!!


ワカラセが完了し満足げな表情のマグノリアは、マオと手を繋ぎ炊き出し場を後にする。


一人残されたシャーリーは、味がしなくなった炊き出しの味を噛み締めながら心に誓った。


「マオ君は絶対に私のものにしますから」

◯作品コメント


『核火葬砲』のシャーリーを敵に回したマグノリア。

次回、シャーリーのターン!

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