第31話 緊急聖女会議
次の日、マグノリアは緊急で聖女会議を招集した。
議題は、女勇者が多重債務者を叩き切っていることに対して、何かしらの処罰を与えることの検討だ。
聖女は人道に則って、法の枠組みを超えた処罰を与えることが可能な特権が認められている。
「皆様、お集まり頂きありがとうございます!」
参加者はいつも通り、アガサ、シャーリー、ユルリナを含めた四名だ。
「おいマグノリア、このクソ忙しい時に仕事を増やすな!」
「そうだそうだぁ~(賛同)」
「ユルリナ、お前は働きたくないだけだろ!」
「そうだそうだぁ~(肯定)」
「まあまあ、マグノちゃんの話を聞いてあげましょう」
マグノリアは昨日あった事件を全て話した。
女勇者が魔剣を持っていること、そして目の前で一般人を斬ったこと、更に勇者金融の受付嬢の口調がヤバすぎたこと。
また、マオの見解では、勇者は魔剣の魔力にあてられて頭がおかしくなっている可能性もあるらしいこと。
(とっととラリ太郎を流して出禁になったことは言っていない。)
そこでマグノリアは教会の名を以って、勇者の魔剣没収と、事件現場である『CLUB地下労働』の営業停止を求めた。
「何かこう、もっとふざけ倒した内容かと思っていたが、普通に重大問題じゃねえか!」
「そうでしょう!だからアガサの魔法でちょちょっとヤッちゃって!」
「そうだそうだぁ~」
ここまで来てようやく、聖女長であるアガサは真剣に対応を考え始めた。
「まず決をとる。勇者に制裁を与えることに賛成の者は挙手!」
聖女全員が手を挙げる。
「決まりだな。では、神の名の下に正義を執行する。勇者金融をぶっ壊す!」
「のう、アガサよ。一つ良いかの」
教会を実質的に支配しているマオは、聖女会議にも当たり前のように参加していた。
「勇者を倒すのじゃったら、我に指揮を任せてくれんかの? 前世での借りを返したいのじゃ!」
「別に構わないが……、異論のある者は?」
「そんな人いる訳が無いわ!」
「そうだそうだぁ~」
こうして、聖女総動員withマオで、勇者を打ち倒す計画が開始された。
…
聖女四人で勇者金融へ入店する。
例の受付嬢に睨まれつつも、アガサが作戦開始を合図した。
「よし。では事前の作戦通り、これから手分けをして事を進めてくれ。まずはユルリナ頼んだぞ!」
「わっかりましたぁ〜」
ユルリナはそう言うと、枕を片手に勇者金融から出て行った。
――?
やる気がなさ過ぎて帰るのかと思いきや、神聖魔法で自動ドアのロックをかける。そして、自動ドアの外側に横たわり、寝た。
「すぴー。すぴー」
勇者金融の出入り口の封鎖が完了。これにてユルリナの仕事は全て終わった。
当然のように、受付嬢が文句を言いにやって来る。
ユルリナに文句を言ったところで無駄なことを承知しているからか、アガサに対して文句を言う。
「何やりやがってるんですか? 正気ですか!?」
「ああ正気だ。我ら聖女は勇者金融をぶっ壊す!勇者を出せ!」
「アガサが居ると勢いが違うわね! 行けー!」
「行けー!じゃない、マグノリア。まずはお前がやるんだよ! それに帰ったら仕事があるんだ、一秒でも早く終わらせろ」
何だか状況がカオスになってきたと判断した受付嬢は、マニュアル通りに聖女達を勇者の元へ案内しようとする。
「あ、そうそう。マグノリア聖女は出禁なので、帰りやがって下さい」
「もしかして知らないの? 出禁された店であっても、聖女の特権の方が優先されるから入店できるのよ! 無知かしら?」
これはマグノリアが古本屋から最近貰った、聖女特権ライフハック本の受け売りである。
(参考図書:『大増刷! 聖女の特権悪用マニュアル 〜全自動、合法ショタまみれ編〜』 )
ずっとピーチクパーチク言い続ける受付嬢を黙らせるために、マグノリアは手の平から魔王覇気を出す。そして、その手で受付嬢の口を覆うと一瞬で失神させた。
「ふー、私って強くなったわね。自分の才能が恐ろしいわ笑」
アガサは色々言いたいことがあったが、早く帰りたいので我慢した。
(尚、先日十万点を超えたアガサのストレスポイントは、既に五十三万点を超えている。)
「さて、準備は整ったかの。ようやく勇者を倒すときが来たのじゃ! いざ『CLUB地下労働』に乗り込むぞ!」
マオが陣頭指揮をとる勇者戦が、今始まる。
◯作者コメント
さっさとストーリーを進めようと思ったのですが、受付嬢が邪魔をしたので倒しておきました。
いざ、勇者決戦!
――全自動、合法ショタまみれ、、?ジュルリ




