第27話 合格証書、どや!
いつもの街に帰ってきたマグノリアは翌日、五級の合格証書を他の聖女達に見せびらかしに教会までやってきた。
マオの覇気にあてられて、証書がクシャッと皺になっているがマグノリアは気にしない。
「ユルリナ見なさい!合格したのよ!」
「うわぁ〜。やる気があって凄いなぁ」
「貴方も五級は持っているのよね。四級は取るのかしら?」
「四級を取る時間は無さそうかなぁ。最近は寝るのが忙しくって笑」
「それは仕方ないわね。頑張って寝なさいな!」
「はい、そうしま――すぴー、すぴー……」
話しながら寝る才能では、あのアガサでも太刀打ち出来まい。
「ああシャーリー! これ見て、合格したの!」
「マグノちゃん、おめでとう!!」
「ズバリ、これってどのくらい凄い資格なの?」
シャーリーの本心としては、聖女なら誰でも受かる程度のカス資格と思っている。
だが、明らか過剰に喜んでいるマグノリアを見て、出来る限りオブラートに包む優しさが発動した。
「んーー?? 毎日生きてて偉い! みたいなそんな感じ?」
「あー!めっちゃ分かる。それだ! アガサにも教えてあげなくちゃね!彼女は何て言うのかしら?」
「アガサさんは四段を持っていますからね。どうでしょうか?」
「改めて思うと凄いわね……」
ここまで来て、ようやくマグノリアはアガサの凄さを実感した。
もしかしたら「このカス資格が!」と罵られるかもしれないけれど、聖女長へ検定合格を報告する義務がある。言わない訳にはいかない。
「気を引き締めて報告してくるわ!」
「ええ頑張って、マグノちゃん!」
「アガサ聖女長、失礼します。お見せしたいものがあるのですが!」
「ああ゛? このクッッッソ忙しい時に何だ!」
アガサは書類の山に囲まれて、事務作業に追われていた。
左手で書類をめくり、右目で見て、右手で判子を押す。
右足で書類をめくり、左目で見て、左足で判子を押す。
そして、口でマグノリアと会話をしていた。
もはや忙しいとか、そういう言うレベルではない。曲芸である。
「アガサ、あなたドラム演奏とか向いてそうね」
「私は何にでも向いているんだ! 向いていなくても、気づいた頃には勝手に向いた体になるんだよッッ!」
「才能があり過ぎるというのも酷ね」
「ああ、少し分けてやりたいよ」
――ダ!ダダ!ダダダン!
――ダダダダダダダダダ!!!
(判子を押す音)
マグノリアと意味のない会話をしている間にも、次々と書類に判子が押されていく。
その早さと正確さは機械の域を超えて、逆シンギュラリティ?が起きていた。
その姿はまるでライブクライマックスのドラマー、若かりし頃のY◯SHIKIを見ているようだ。
「それで本題なのだけど。じゃじゃーん!五級に合格しました!凄いでしょ!」
――ダダダダダダダダダ!!!
(判子を押す音)
「ああ゛ん? とんだカス――」
イライラから、とんでも無い聖女失格暴言が出そうになったアガサは、気合いでグッと堪えた。
というのも最近アガサはマオと、ある約束をしているから。
それは怒りを堪えたらプラス一点というポイント制度である。ポイントが貯まれば貯まるほど、マオのモフモフを一人で堪能出来る。
「クソッ! これで十万ポイント目だ!」
短気過ぎるアガサは、息を吸うようにポイントが貯まる。
――ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
(略)
「ポイントって何のことかしら?」
「いや、マグノリアには関係ない。それと五級合格か、よく頑張ったな。四級も是非とも頑張ってくれ」
「へ……? 私、頑張った?」
「ああ、マグノリアは頑張ったよ。十万一ポイント目」
その時、マグノリアの全身に電撃が走る!
あのアガサに褒められるなんて今世では諦めていた。それなのに思いもよらず褒められたことで、とっても嬉しい気分。
「私、頑張るわ!」
「ああ、頑張れ」
「じゃあ今日は帰るわね! アガサもお仕事頑張って! じゃあね〜ルンルン♪」
――ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
――ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
(略)
「これで、十万二ポイント目だ……」
◯作者コメント
裏ルートで手に入れた証書を見せびらかすとは、肝が座ってますね笑
三章は終わりで、次話から四章になります!
(最終章ですよ〜)
全33話で完結予定です!
面白かったら星を下さいねー!
ちなみに、Y◯SHIKIのドラム演奏は見たことないです。世代じゃないので笑




