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崖っぷち聖女、拾ったショタ魔王がくっっさモフモフだったので、ついついお持ち帰りしてしまいました!?  作者: 向夏夜なくの
二章 日常と邪悪魔法

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第26話 マオの作戦

教会職員さんとの約束の時間まで三十分。


マグノリアは、マオが何らかの方法でお金を工面するのだろうと考えていた。


勇者金融で融資を受けるのであれば急がなければならないはず。しかし、彼はその場から微動だにしない。


「マグノリアよ、ちと喉が渇いたの。公園で水を飲んでくるぞ」

「分かったわ。私も行く!」


マオが何を考えているか全く分からない。


だが、マグノリアが彼を疑う訳も無く。ただただ信じてついて行った。





公園に着いたが、マオは本当に水を飲んだだけ。その後は、二人で仲良くブランコをこいで居たら三十分なんてあっという間に過ぎてしまった。


怪しい教会職員さんと約束した一千万コロどころか、二人の所持金は二十三コロしかない。これでは駄菓子が買えるかどうかも怪しいところ。


堂々と遅刻して待ち合わせ場所に戻ると、職員さんが見えた。段々とこちらに近づいて来ている。


この状況になっても、まだマグノリアは何とかなるだろうと考えていた。彼女の危機感センサーは基本的に仕事をしない。


「これはこれはマグノリア聖女、逃げてしまったのかと思いました」

「逃げる?どうして?」


賄賂を支払って証書を買うという聖女にあるまじき事態を分かっていないような、きょとん顔。


何だか会話が噛み合っていないように思えた職員さんは、さっさと要件を終わらせようとする。


「では、こちらが例のブツです」


その手には、正真正銘の五級の合格証書が丸めて握られていた。


「ありがとう、頂くわ!」


何も考えていないマグノリアは、証書を受け取った。


職員さんも、まさか聖女様が約束を反故にするとは思っていない為、おとなしく証書を渡す。そして、その対価として一千万コロが差し出されるのを待った。


「……?」


お金を出さない様子に、職員さんが首を傾げる。


「…………?」


つられてマグノリアも首を傾げた。


「ねえマオ君、これってどういう状況なの?」

「マグノリアよ、ここで問題じゃ。聖女は教会職員の人事権を持っておる。そして不正を働いているらしき職員がここにおる。つまり、どういうことか分かるかの?」

「んー? 何となくだけど分かったわ。最後のピースが埋まった感じね!」

「まあ、そんな感じじゃの。お主、絶対分かっておらぬであろう……」


丸っきり理解していないマグノリアは一旦置いといて、マオは職員さんに詰め寄る。


「お主、勇者金融のまわし者じゃろう? 不正に発行した合格証書を証拠に教会に告発されるか、無料でその証書を渡すか、どちらか選ぶのじゃ!」

「わお!マオ君やるわね! そんな方法があったのね!」


一見筋が通っていそうで、滅茶苦茶なことをしているマオ。だが、マグノリアは何となく雰囲気で凄く納得していた。


「クソ小僧、大人を舐めるなよ!」


魔王を小僧呼ばわりした教会職員がマオに襲いかかる。


抵抗する素振りを見せないマオは、そのままその男に捕らえられてしまった。


「随分と大人しいガキだな。だがこれで、人質は取った。 おい、聖女!早く金を持ってこい!」


ここまでのやり取りではギリ、教会職員さんが悪者ではない可能性も残っていた。(?)


しかしショタを誘拐するなんて、まともな人間ではない。犯罪者確定だ。


「マグノリアよ、アレをやるぞ」

「ええ、いつでも良いわ!」

「食らうが良い。魔王覇気じゃ!」


途轍もない臭気によって即座に意識を刈り取られる職員さん。周りにいた人も、ついでに何人か尊い犠牲となった。


「悪は成敗じゃな! ではマグノリアよ。逃げるぞ!」

「クッセ!おえっ。おうぇ、エグwおぅえ。ええ。うぇえぐぇ、ぐすん泣」


ツライムを倒してレベルが上がっていたマオの覇気は、更に数段臭くなっていた。もはや皮膚を貫通して臭い。脊髄まで腐りそうだ。


それでもマオへの愛で何とか意識を保ったマグノリアは、合格証書を携えて元の街へ帰るのだった。

◯作者コメント


色々ダメな回なので、色々真似しちゃダメですよ!


マグノリアは試験にこそ落ちましたが、合格証書を手に入れたので、実質的に合格しました!

祝合格。やったね!(力技過ぎる笑)


※教会職員さんの正体は、実際に合格証書を発行する権限を持つ人です。勇者金融とは賄賂でズブズブな関係でした。

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