第21話 聖女バトル2
アガサの幻覚魔法がマグノリアを襲う。
幻覚として見せるのは、自らの聖女としての仕事風景だ。
ほとんど教会の仕事をしないマグノリア達の代わりに、夜な夜な残業をしつつ教会運営を行なっている苦しみや憎しみを幻覚魔法に「これでもか!」と詰め込んだ。
「くっっ、やるわねアガサ。貴方が居なければとっくにこの教会が終わっていることは認めましょう。ですが、これだけは言わせてもらうわ。私が寄付した百億コロの使い道が不透明よ!ザル会計!それに、結局一人で回せているじゃない!」
「私は優秀なんだ。どれだけ忙しくなろうが、その忙しさに適応する体になるんだよッ! そもそも会計係はお前がやれ!丁度、多額の寄付(※)がされたからな、帳簿なんて付けなくても良いんだ!」
※マグノリアが寄付した百億コロのこと
ルールで暴力が禁じられているせいで、ただの言い合いになっているように見えるのは見た目だけである。
言い合いこそ並行線を辿っているが、勝負は圧倒的にアガサが有利な状態。口論の間にも幻覚魔法がマグノリアを襲い続けているのだ。
今彼女は一秒間に一時間の残業を体感させられており、そろそろ合計残業時間が百時間を超えてくる頃。
既に、幻覚世界のマグノリアはエナジードリンクを五〜六本飲み干していた。
長期戦になれば、忍耐力に定評がある彼女と言えど耐えきれなくなるのは時間の問題。だから、勝つには短期決戦しかない。
そう考えたカフェインまみれの社畜が叫んだ!
「魔王覇気!」
レベルアップで使えるようになった邪悪魔法を、ここで初めて行使した。
マグノリアの毛穴という毛穴がかっ開く。そこから、人から出たとは思えないエグいの臭気(♀)が、狭い小部屋を満たす。
魔王覇気の臭いは使用者は感じないため、アガサだけがその臭さの餌食となる。
「おえっ。おえっ。ううぇ。おっえグノリアぁああ゛!!」
えづきがとまらないアガサ。その目はマグノリアを「ガン!」と睨みつけていた。
常人であればここで直ぐに負けを認めるであろうが、アガサはあらゆる事における天才である。
それは我慢することに対しても同じ。ここであっさりと負けを認めるようなタマではない。
むせ返りながらも、幻覚魔法に追加して更に基礎三属性の魔法を展開する。
火属性の『鼻毛を焼きつくす魔法』。水属性の『鼻水が止まらなくなる魔法』。土属性の『鼻に粘土を詰める魔法』が、同時にマグノリアを襲う。
つまり、鼻攻めである。
(アガサはついでに、自身の鼻の穴も土魔法で埋め立てた。あまりにも臭いから。)
幻覚世界では社畜を極めつつ、現実では満身創痍の鼻にさせられているマグノリア。彼女が出来ることはもうこれだけしかない。
「まぼぼびょうばん(訳:魔物召喚)!」
※鼻詰まり
――パァン!(うんち虫の爆ぜる音)
「ひいっ!マグバビアぁあ!ボラ!!」
※鼻詰まり
両者、鼻詰まりで何を言っているのか分からない。
――パァン!(略)
――パァン!(略)
一秒毎にアガサの鼻を目掛けてうんち虫を当て続けているが無駄だ。彼女の鼻は既に埋め立てられている。
嗅覚を捨て、臭いを克服したアガサ。彼女は全身を茶色に染められた気色悪さから冷静さを取り戻す。そして、あることに気づいた。
「マグバビア待ぺ、ボ前は一体バンバンバ。パッぴぱぱビバビババビバボブババビブバッベビブバ (訳: マグノリア待て、お前は一体何なんだ。さっきから私が知らない魔法ばかり使っているな)」※鼻詰まり
「ビブッ! バンボババッビバビバ? (訳: ギクッ! 何の話かしら?)」※鼻詰まり
──パァン!(略)
一部の特殊属性を除いた全属性の魔法を使いこなす彼女にとって、知らない魔法を見逃すのはあり得ないことだ。
マグノリアが使ってくる魔法は臭いものばかり。だから使ってみたいとは思えないが、是非ともその魔法の仕組みを解析したいという知識欲に駆り立てられた。
そう、アガサは魔法オタクだったのだ。
──パァン!(略)
【以下、鼻詰まり語を翻訳してお届けします】
「マグノリア分かった。今回は無条件に負けを認めるから、私にお前の魔法を教えてくれ!」
「無条件と言ったわね。その交渉、成立よ!」
こうして三百時間の残業(幻覚魔法)を耐え抜いたマグノリアは、勝利を手にしたのであった。
「残業って慣れれば案外余裕ね。金欠で三日間飲まず食わずしたのに比べれば肩透かしだったわ!」
そう言い捨てて、鼻が詰まったままのマグノリアは颯爽と部屋を後にした。
――パァン!(略) (ダメ押し)
◯作者コメント
聖女バトル、、流石にふざけ過ぎました笑
あまりに下だらなさ過ぎますが、今後もどうぞお付き合い下さい、、笑
結果としてマグノリアが勝ったので、マオが教会に自由に出入り出来るようになりました!
――パァン!




