第18話 初めての邪悪魔法
「ふー!疲れたわね。 一日一食だったらこんなに動けないから、シャーリー様様ね! 今日の晩ごはんは何かしら?」
「うむ、お肉が良いのじゃ!」
「同感ね!やっぱりマオ君とは気が合うのよねー」
ツライム討伐を終えたマグノリアとマオは、街へ戻り自宅への帰途についていた。
「そう言えば、マオ君? レベルアップしたのは分かるけれど、邪悪魔法の使い方を聞いていないわ」
「使い方かの? あまり意識したことはないが、あれだけツライムを倒したのじゃ。魔物召喚ならば使えると思うぞ。ちなみに、魔王覇気も使えるはずじゃ笑」
「魔王覇気も使えるの!?――それは良いわね笑」
何か良からぬ事を考えているマグノリアに、魔の手が忍び寄る。
「おう、マグノリア様じゃねえか。今日こそ借金返してもらうぜぇ〜」
この圧倒的な雑魚臭を漂わせているのは、勇者の手下。
狩りの疲れから、借金取りに追われていることを全く忘れてしまっていた。だが、今日のマグノリアはいつもと一味違う。
「我の魔王覇気で逃げるかの?」
「待ってマオ君、今日は私にやらせて。早く邪悪魔法を使いたくてウズウズと血が騒いでいるの」
「そうじゃったか!ならば任せたぞ」
いつもならば一目散に私有地に不法侵入して逃げるマグノリアであったが、今日は胸を張って勇者の手下と向かい合った。
「なんだぁ? 今日は随分と物わかりが良いじゃねえか。走って逃げねえのか?」
「ふふん!私は聖女よ! 巨悪から逃げる訳がないじゃない!」
「巨悪だとぉ?」
「召喚魔法を喰らいなさい! 出でよ、勇者殺し!」
その場のノリで思いついた呪文を詠唱すると、地面に紫色の魔法陣が浮かび上がる。
「キタキタキター!」
人生初めての魔法発動成功にピョンピョンと跳ねて喜んでいると、魔法陣から現れたのは――焦げ茶色の大きな毛虫だった。
「何よ……これ」
「これは凄いの、うんち虫じゃ。大当たりじゃぞ」
「ガーン……」
キショすぎる魔物を召喚してしまい露骨にショックを受けるマグノリアであるが、実は低レベルにしては強力な魔物を引き当てていた。
召喚された毛虫は、マグノリアの意志とは関わらず時速三十キロ(大人の全速力)のスピードで勇者の手下を自動で追尾し始めた。
「なんだコレ!? 早え!逃げられねえ!!」
――パァン!!
うんち虫は勇者の手下に追いついた瞬間に、爆ぜ散らかした。同時に、茶色のしぶきが彼に襲いかかる!
「おぇ、くっせえ!なんだコレ!」
「うんちじゃな。早く勇者のお家に帰るんじゃ。さもなくば、シミが残るぞ」
「ほ、本当にお前は聖女なのかッ!! 臭っせ!? 外道、卑劣!悪魔! うえーん、お母さーん!!」
そう言い捨てて、手下は去っていった……。
「ねえ、マオ君。私が望んでいた魔法ってこういう事だったのかしら?」
「気に食わぬか?」
「ううん、そうじゃないんだけど……」
「我も同じ魔物を召喚出来るぞ。お揃いじゃな!我とお揃いは嫌かの?」
「そんな訳ないじゃない!」
キショ過ぎる魔物を召喚して落ち込んでいたマグノリアの瞳に、少し光が差した。
「そうじゃ! シャーリーにお揃いの魔法が使えるところを見せてやろうぞ!」
「マオ君は天才ね!そうしましょう!ヨダレを垂らして羨ましがるはずよ笑」
そうして機嫌を取り戻したマグノリアは、意気揚々とシャーリー宅に向かった。
…
「シャーリー、私ね魔法が使えるようになったの。見てくれる?」
「マグノちゃんが魔法を? 冗談でしょ?笑」
「行くわよ。出でよ、トラウマ生物!」
「いやあぁああああ!!」
――パァン!!
家の中で魔法を発動したマグノリアは、晩ごはん抜きの刑に処されるのであった。
◯作者コメント
2章はこれで終わりです!
流石に、人のお家で邪悪魔法を使っちゃダメですね笑
(それ以前に色々ダメな事がありましたけど……)
今のところ、4章まで続きますよ!
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( -∀・)




