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■第28話「逃げるしかない」
森の中を、ひたすら走る。
後ろから追手の気配が迫ってくる。
完全に振り切ることはできていない。
「こっちだ!」
レイが方向を変える。
地形を利用しながら、少しでも距離を稼ぐ。
リナの息が荒くなる。
体力的にも限界が近い。
それでも足は止められない。
止まれば終わりだ。
「……ごめん」
走りながら、リナが呟く。
「私のせいで」
その言葉に、レイは即座に返す。
「違う」
短く、強く。
「俺が選んだ」
誰かに強制されたわけではない。
自分で決めた道だ。
だから後悔はしない。
たとえ、この先に何が待っていても。
逃げるしかない。
だがそれは、ただの逃亡ではなかった。
自分たちの未来を掴むための、選択だった。




