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■第26話「裏切り者」
脱出は、静かに始まった。
巡回の隙を突き、最低限の装備だけを持って進む。
だが、それが長く続くはずもなかった。
警報が鳴り響く。
「見つかったか」
レイは舌打ちする。
すぐに追手が動き出す気配が伝わってきた。
「レイ……」
リナの声に、不安が混じる。
「大丈夫だ、行くぞ」
そう言いながらも、状況が厳しいことは理解していた。
すぐに包囲される。
そして、ついにその瞬間が来る。
かつての仲間たちが、剣を向けて立ちはだかる。
「……戻れ、まだ間に合う」
一人が言う。
その声には、わずかな迷いがあった。
だが、レイは首を振る。
「もう遅い」
そう答えた瞬間、完全に線を越えた。
裏切り者。
その烙印が、はっきりと刻まれる。
それでも、後悔はなかった。
守ると決めたのだから。




