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■第25話「選択の代償」
独房の前に立ったとき、レイの足は一瞬だけ止まった。
重い扉の向こうに、リナがいる。
その事実だけで、胸が締め付けられる。
ここに来るまでに、何度も考えた。
このまま見過ごせば、自分は守られる。
何も知らなかったふりをすれば、今まで通り戦える。
だが、それで本当にいいのか。
答えは、とうに出ていた。
扉を開ける。
中にいたリナは、ゆっくりと顔を上げた。
驚きよりも先に、安堵の色が浮かぶ。
「……来たんだ」
その一言で、すべてが報われた気がした。
「馬鹿だろ、お前」
苦笑しながら言うと、リナも小さく笑う。
「そっちこそ」
短い沈黙。
言葉にしなくても分かる。
ここから先は、もう引き返せない。
「逃げるぞ」
レイの言葉に、リナはわずかに目を見開く。
それが何を意味するか、理解しているからだ。
すべてを捨てるということ。
それでも、彼女は頷いた。
「……うん」
その瞬間、選択は確定した。
守るべきものを、自分で決めたのだ。
たとえそれが、すべてを敵に回すことになっても。




