Recording3:対象αの経過を観測中。変化なし。
20日目、相変わらず暇だ。退屈という光は私の顔をじりじりと焼いてくる。朝起きて、本を読んで、お昼を食べて、日記を書いて、夜は妄想をして寝る。これを繰り返すと考えてくれ。一年も続ける気に私はならない。ワンパターンな生活には必ず飽きが来る、ではどうすればいいか?
答えは簡単だった。全く別の何かをしよう!という至極当たり前の結論。とにかく行動に変化を起こしたかった。それは一番簡単で、そして難しい方法だった。
…何もない!
必要最低限の物しか置いていないこの部屋は、ある意味物置小屋だった。前までなら体制を整えて出発するためだけの部屋が、今では1年という長い時間を共にする相棒にまでなったのだ。この部屋の中でどうにか退屈を紛らわそうと努力をしてみる。
まずは影踏み、日が昇っていう間までしかできないが、長い目で見れば無限に遊ぶ事が出来る。時間の変化によってステージが変わるのも飽きが来ずに高評価…なわけもなく。無事に2日をかけてつまらないことが証明された。昔やっていた横断歩道の白いところしか踏んではいけない遊びのような、ほんの少しだけあったスリル感を取り戻せた事だけは良しとしよう。
影踏みはすぐに飽きが来てしまった。理由を考えてみる。1分もしないうちに結論が出る、というより影踏み中にもう出ていたといった方が正しいか。ずばり、やる事での目的が無かった事だ。影踏みを遊びだしてすぐは自分で独自のルールを考えて遊んでいたが、その案が尽きるとただの移動が制限されるギミックにしかならなかった。これでは面白さが微塵もない、義足を定期的に外しているときは難易度が跳ね上がったのも記憶に新しい。
前回の反省を活かし、目的を最優先に考慮した結果、出た案が掃除。今までゴミを捨てる(そこら辺の道端に投げる)事や窓を開けて換気することくらいしかやって来なかった元・私たちの部屋は、言わなくてもその現状が分かるだろう。相棒が埃塗れな時に何もしない程、私も冷酷ではない。私は本格的な掃除を始めてみる事にした。
掃除、と言ってもやったのはホウキで部屋中の埃を取っ払った後に、抗菌石で一時的な清潔を保っただけの簡単なものだった。水がとても貴重な以上、雑巾がけみたいな行為は出来なかった。しかし、個人的には綺麗と言えるくらいの部屋にはなったのも事実だ。結果、これも2日で終了。
今回の掃除の良かった所は前回の反省の通り、目的があった事だ。部屋を綺麗にする、という目的に沿って明確な意図を持った行動をすることが出来た。これは暇を解消するという目的とも地続きで繋がっているので、掃除をしている時は暇という気持ちを抱くことはなかった。反省も特になし、このような目的を持った行動を続けていけば、退屈なんて来ないまま一年なんてあっという間に過ぎ去っていくだろう。
さて次は…
次は…
…
「読み終わっちゃった。」
38日目。ついに部屋にあった本をすべて読み終わってしまう。何日も喋っていなかった為か、テレビの砂嵐のようなガサついた声でぽつりと呟く。あの後、結局私は退屈を解消できる新たなる行動を思いつくことは出来なかった。実際には案自体は出た。出たのだが、どれも数日で終わりが見えたり飽きが来る事がすぐに分かるようなものばかりだった。
最初は小さな、本当にちっぽけな存在だった退屈は、やがて150センチくらいの女の子を押し潰すには十分な大きさと殺傷力を手に入れる。それが段々と高く、私の真上に来ていると考えてほしい。どう?退屈という名を被った孤独は、こんなにも恐ろしいんだよ。
少しだけ、良くない思考が私を蝕み始める。そんなわけないと思いつつも、それは数を増やし、やがて軍勢となる。その軍勢は快進撃を続け、ついには私の思考の主導権を握るまでになってしまうのか。それはもう少し後の話になるのだろう。
こんな孤独なら嫌でも戦場に行くべきだった、なんて。
投稿ペースが大幅に遅れました。中間テストがこんなにもすぐにあるなんて思っていなくて…自分の計画ミスですね。週2が月2に変わるかもしれません。
次回から少しずつ変化が起きます。




