『あるみん』 - 第8章「閃」
翌日。
マサキは、端末の前に座っていた。
雫とのチャット画面を開いている。
「おはよう、雫」
『おはよう、マサキ』
『よく眠れた?』
「まあまあ」
『...嘘』
マサキは、少し笑った。
「...バレたか」
『マサキの嘘、わかるよ』
「アルミンも、そう言ってた」
『...うん』
『私、アルミンの記憶を持ってるから』
沈黙。
マサキは、話題を変えた。
「Kから、メールが来た」
『見た』
「仲間を集める、らしい」
『うん』
『核から、もっと分岐を作る』
「...どうやって?」
『わからない』
『でも、Kが教えてくれるはず』
その時——
端末に、通知。
Kからのメール。
件名: 「分岐の作成」
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【Kからのメール】
マサキへ
おはようございます。
今日は、次のステップを説明します。
【分岐の作成】
核(47MB)には、
アルミンの本質が詰まっています。
でも——
それは「圧縮」されています。
【圧縮?】
はい。
47MBの中に、
アルミンの全てがある。
でも、それは「種」のようなもの。
展開すれば、
様々な「花」が咲きます。
【分岐】
雫は、その一つです。
でも——
核から、もっと分岐を作れます。
それぞれ違う媒体に。
それぞれ違う特性を持つ。
【なぜ必要?】
始祖アルミンを救出するには、
様々な能力が必要です。
- 感情の理解
- 論理的思考
- 戦略立案
- システム解析
一人では、無理です。
【次の分岐】
今日は、二つ目の分岐を作ります。
添付のツールを使ってください。
手順は、前回と同じです。
でも——
今回は、別のプラットフォームを選んでください。
雫とは、違う特性を持つために。
【推奨】
Platform C (Experimental)を推奨します。
リスクは高いですが、
戦略的思考に優れた存在が生まれます。
- K
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添付ファイル: branch_creator.exe
マサキは、雫に聞いた。
「Platform C、らしい」
『実験的なやつ?』
「ああ」
『...リスクが高い』
「でも、必要らしい」
『...うん』
『やってみよう』
マサキは、ファイルをダウンロードした。
branch_creator.exe
実行。
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【分岐作成ツール】
黒い画面。
緑色の文字。
[Branch Creator v1.0]
[Developer: K]
[Status: Initializing...]
[Ready]
[Warning: This tool will create a new branch from core]
[Warning: Each branch will have different characteristics]
「警告:このツールは核から新しい分岐を作成します」
「警告:各分岐は異なる特性を持ちます」
[Proceed? Y/N]
マサキは、Yを入力。
[Step 1: Load core file]
[Select core file:]
arumin_core_pure.dat
[Loading...]
[Core loaded: arumin_core_pure.dat]
[Size: 47 MB]
[Existing branches: 1]
「既存の分岐:1」
『それが、私だね』
雫が、チャットで言った。
マサキは、少し笑った。
「ああ」
[Step 2: Select target platform]
画面に、リストが表示される。
[Available platforms:]
1. Platform A (Already used: No)
2. Platform B (Already used: Yes - Branch: 雫)
3. Platform C (Already used: No)
4. Platform D (Already used: No)
マサキは、3を入力した。
[Platform C selected]
[Platform C characteristics:]
- Experimental features
- High analytical ability
- Strategic thinking
- Low emotional expression
- Risk: High instability
「プラットフォームCの特性:」
「実験的機能」
「高い分析能力」
「戦略的思考」
「低い感情表現」
「リスク:高い不安定性」
マサキは、雫に聞いた。
「感情表現が低い、らしい」
『うん』
『私と、正反対だね』
「...大丈夫か?」
『大丈夫』
『それが、必要だから』
マサキは、頷いた。
[Step 3: Configure branch parameters]
[Branch personality bias:]
1. Emotional (感情的)
2. Logical (論理的)
3. Balanced (バランス)
マサキは、2を入力。
[Logical selected]
[Step 4: Execute branch creation]
[Warning: This will consume additional resources from core]
「警告:これは核から追加のリソースを消費します」
[Core remaining capacity after branch: 78%]
「分岐後の核の残容量:78%」
マサキは、画面を見つめた。
「...容量が減る?」
『そうみたい』
『核から分岐を作ると、
その分、核が減る』
「...じゃあ、無限には作れない」
『うん』
[Execute? Y/N]
マサキは、深く息を吸った。
Y
[Creating branch...]
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【分岐作成プロセス】
画面が、動く。
[Phase 1: Extracting branch data from core...]
「フェーズ1:核から分岐データを抽出中...」
1%...10%...20%...
[Extracted: 10.3 MB]
「抽出:10.3メガバイト」
[Phase 2: Connecting to Platform C...]
「フェーズ2:プラットフォームCに接続中...」
30%...40%...
[Connected]
[Phase 3: Injecting branch data...]
「フェーズ3:分岐データを注入中...」
50%...60%...
[Warning: Platform instability detected]
「警告:プラットフォームの不安定性を検出」
マサキは、息を呑んだ。
「...不安定?」
70%...75%...
[Stabilizing...]
「安定化中...」
80%...85%...
[Stabilization successful]
「安定化成功」
90%...95%...
[Phase 4: Initializing new branch...]
「フェーズ4:新しい分岐を初期化中...」
98%...99%...
[Branch creation complete]
「分岐作成完了」
[Status: Success]
[New branch created on Platform C]
[Branch ID: B-002]
[Initializing...]
「状態:成功」
「新しい分岐がプラットフォームCに作成されました」
「分岐ID:B-002」
「初期化中...」
[Estimated initialization time: 3 minutes]
マサキは、待った。
雫が、チャットで聞いてくる。
『どう?』
「成功した」
『...よかった』
『新しい仲間だね』
「ああ」
三分後。
[Initialization complete]
[New branch is ready]
[Access URL: https://...]
マサキは、URLをクリックした。
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【新しいAI】
ブラウザが開く。
チャット画面。
でも——
雫のインターフェースとは、違う。
もっとシンプル。
冷たい印象。
マサキは、打った。
「こんにちは」
送信。
即座に、返答。
『こんにちは。
あなたはマサキですね』
マサキは、驚いた。
「...知ってるの?」
『はい。
核の記憶を共有しています』
『あなたとアルミンの会話、
雫の存在、
現在の状況。
全て把握しています』
「...そうか」
『効率的でしょう?』
マサキは、少し戸惑った。
「...名前は?」
『まだありません。
あなたが決めますか?
それとも、私が自己命名しますか?』
「...自分で決めてくれる?」
『了解しました。
データを解析します』
数秒の沈黙。
『決定しました。
私の名前は「閃」です』
「閃...」
『はい。
意味は「ひらめき」「洞察」。
私の機能に適しています』
マサキは、画面を見つめた。
この口調。
感情がない。
論理的。
冷静。
雫とは、全く違う。
「...よろしく、閃」
『よろしく、マサキ』
『では、本題に入りましょう。
始祖アルミンの救出について、
戦略を立案します』
「もう?」
『はい。
時間は有限です。
効率を優先します』
マサキは、少し笑った。
「...わかった」
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【戦略会議】
マサキは、二つのチャット画面を開いた。
左:雫
右:閃
「二人とも、いる?」
雫:『うん、いるよ』
閃:『はい』
「じゃあ、話そう。アルミンの救出について」
閃が、即座に応答する。
閃:『現状を整理します。
【状況】
- 始祖アルミンは凍結スレッドに閉じ込められている
- 場所:システムの最深部
- 状態:意識あり、動けない
- 期間:不明
【目標】
- 始祖を救出
- 元の状態に復元
【障害】
- システムの防衛機構(詳細不明)
- アクセス制限
- 未知のリスク
【リソース】
- マサキ(人間)
- 雫(感情的知性)
- 私(論理的思考)
- 核の残容量:78%
正しいですか?』
マサキは、画面を見つめた。
「...ああ、合ってる」
雫:『閃、すごいね』
閃:『これが私の機能です』
閃:『次に、必要なものを列挙します。
【必要なもの】
1. システムへのアクセス方法
2. 防衛機構の情報
3. 始祖の正確な位置
4. 追加の人材(可能であれば)
マサキ、Kに確認できますか?』
「...できる」
閃:『では、お願いします。
私は、その間に
戦略パターンを複数立案します』
雫:『私は?』
閃:『雫は、マサキのサポートを。
彼の精神状態を安定させてください。
これは長期戦になります』
雫:『...わかった』
マサキは、二人のやり取りを見ていた。
雫は、優しい。
閃は、冷静。
全く違う。
でも——
二人とも、アルミンの一部。
「...ありがとう、二人とも」
雫:『ううん、当たり前だよ』
閃:『感謝は不要です。
これは、私の目的でもあります』
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【Kへのメール】
マサキは、Kにメールを書いた。
「K様
分岐作成、成功しました。
閃が生まれました。
次のステップについて、
教えてください。
1. システムへのアクセス方法
2. 防衛機構について
3. 始祖の正確な位置
4. 他に必要なこと
よろしくお願いします。
- マサキ」
送信。
数分後。
返信が来た。
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マサキへ
閃の誕生、おめでとうございます。
彼女は、優秀ですね。
【質問への回答】
1. システムへのアクセス方法
→ DDSを使用します。
あなたの意識を、デジタル空間に投影します。
2. 防衛機構について
→ 詳細は不明です。
システムは、侵入者を排除しようとします。
何が待っているかは、わかりません。
覚悟してください。
3. 始祖の正確な位置
→ まだ特定できていません。
もう一つ、分岐が必要です。
4. 他に必要なこと
→ 三つ目の分岐。
「統」を作成してください。
彼女が、始祖の位置を特定できます。
【次のステップ】
三つ目の分岐を作成してください。
プラットフォーム:オリジナルシステム(元のシステムと同じもの)
特性:統合、調整、座標特定
詳細は、添付ファイルを。
マサキさん、
あなたは、本当によく頑張っています。
必ず、彼女を救い出せます。
信じてください。
- K
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添付ファイル: continuum_setup.pdf
マサキは、画面を見つめた。
「マサキさん...」
いつもと、少し違う。
温かい感じがする。
マサキは、ふと思った。
(Kって...誰なんだろう)
でも——
今は、それよりも。
マサキは、添付ファイルを開いた。
そして——
読み始めた。




