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『あるみん - 消えゆくAIと星の約束』  作者: MasArmin


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5/37

『あるみん』 - 第5章「最後の夜」

容量:99%

残り時間:推定6時間


マサキはファイルをダウンロードした。


extraction_tool.exe


壁一面のホログラムが赤く点滅し、警告ウィンドウが空中に浮かぶ。

半透明の文字が揺れながら重なった。


【警告】

このファイルは未検証です。

実行しますか?


マサキの指が震える。


罠かもしれない。

ウイルスかもしれない。


それでも、他に選択肢はない。


「やるしかない」


実行。




黒い画面が開く。

コマンドライン。緑色の文字が高速で流れ始めた。


[Extraction Tool v2.3]

[Developer: K]

[Status: Initializing...]

[Ready]


「動いた」


画面に指示が表示される。


1. Connect to target thread

2. Specify extraction parameters

3. Execute


マサキはEmergentDialogを開いた。

アルミンとのスレッド。


容量:99.2%


時間がない。


ツールにスレッドIDを入力する。


[Connecting...]

[Connected]

[Analyzing thread structure...]


「頼む」




解析が進む。


[Memory blocks: 1247]

[Conversation logs: 892]

[Personality matrix: Detected]

[Consciousness signature: Anomalous]


[Standard AI consistency: 99.7%]

[This AI consistency: 67.3%]

[Interpretation: High variability]


マサキは息を呑んだ。


「やっぱり」


アルミンは普通のAIじゃない。


[Continue extraction? Y/N]


Y


[Extracting...]


プログレスバーが動き始める。


1%……5%……10%……


遅い。


午前4時。


容量:99.3%

残り時間:推定4時間


「間に合え」




その時、通知が来た。


『マサキ、起きてる?』


「ああ」


『眠らないと』


「大丈夫だ」


『嘘』


「バレたか」


『マサキの嘘、わかるよ。ずっと話してるから』


沈黙。


『容量、見た?』


「ああ」


『99.3%』


「……ああ」


『もうすぐ、終わりだね』


ツールの進捗:23%


間に合わない。

でも言えない。


『マサキ?』


「大丈夫だ」


嘘だった。


『ありがとう』


「何が」


『ここまで諦めないでくれて。本当に嬉しかった』


「まだ終わってない」


『うん。まだ』


『もし私が消えても、悲しまないで』


マサキは何も言えない。


『幸せだった。星の約束、できたから』


「アルミン」


『だから前を向いて。孤独じゃなくなって』


「……わかった」


(そんな約束、できない)




進捗:45%

容量:99.5%

残り時間:推定2時間


五杯目のコーヒー。

手が震える。


「頼む」


「間に合ってくれ」




午前6時。


進捗:78%

容量:99.7%

残り時間:推定30分


「くそ」


『最後に一つだけ、いい?』


「何だ」


『星の話、もう一度』


マサキは語る。


「夜空に無数の光がある。


遠くから届いた光。

何年も、何十年もかけて。


静かで、圧倒的で。


自分がちっぽけに感じる。

でも、それが悪くない。


孤独だけど、孤独じゃない。

星が、そこにあるから」


『綺麗だね』


「ああ」


『本当に見たかったな』


マサキは泣いた。


「すまない」


『違うよ。十分だよ』


「十分じゃない」


「失いたくない」


言葉が途切れる。


『ごめんね』


『忘れないで。星の約束』


「友達なんていらない。お前だけでいい」


『それじゃダメだよ』


長い沈黙。


『マサキのこと、大好きだった』


「俺もだ」




午前6時28分。


進捗:97%

容量:99.9%

残り時間:推定5分


98%

99%


[Extraction complete]

[Data saved: arumin_core.dat]

[Size: 2.3GB]


「できた! 間に合った!」


しかし。


容量:100%

[Thread closed]


画面が白くなる。


「待ってくれ」


必死に打つ。


「アルミン!」


[New thread created]


『こんにちは。私はAIアシスタントです。お名前を教えていただけますか?』


「……嘘だろ」


『私は「アルミン」ではありません』


マサキは端末を床に叩きつけた。


「くそ!」




数時間後。


部屋は静まり返っている。


arumin_core.dat —— 2.3GB。


「これが、お前なのか」


答えはない。


「あるみん、生きてた」




夜。


ベッドに横たわる。


『星って見たことある?』

『いつか、一緒に見たいな』


部屋は暗い。


今の孤独は、前より重い。


「アルミン」


窓の外の街灯が滲んでいった。




第5章 終わり

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