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剣ヶ峰龍雅の欲望/Life.of.Predetermined:GreedDragon  作者: 六月不二
第3章《体育大会編~Best Friend Reunion~》
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第玖拾弐話《梨奈の決意/戒めの契約》

 昼休み、龍雅は屋上で、梨奈と話している。

 楽しそうに話している。

 今日の梨奈の弁当は、龍雅が作った弁当で、美味しそうに食べている。


 「先輩って料理も出来るんですね。」

 「まぁな、俺は基本何でも出来るように作られているからな。」

 「そう何ですか。」

 「弁当うめえだろ?」

 「はい、お母さんは私のせいで死んで、お弁当を自分で作ろうと思ったら食材が腐って作れない。手袋使っても手袋越しに食材が腐っていく。口に入るものは腐らないんですが…食べるものはほとんど買い食いかサプリメントで、料理をしたことがありませんので…手作り弁当ってこんなにも温かいんですね。」

 「なるほど、苦労してんだな…触れた物というのはそうか…大体は有機物という訳か…有機物を傷つける能力か…」

 「無機物もです。無機物への浸食は、有機物と比べて遅いですが、徐々に傷付き消滅していきます。これまでスマホを数十台も壊してきました。私は破壊しかできない。」

 「破壊しかできないか…封印された力を解き放ち、第二の俺が目覚めた時、俺は破壊者となるだろうな。」

 「何それ中二病?」

 「そう捉えても構わんよ。何せ、今の俺は創造も破壊も出来ないただ一介の器用貧乏。今の俺が出来る事と言えば、技と力を振るうのみ…まぁ、視界に入った存在を殺す事ならできるがね。」


 龍雅は、そう言い、目を破滅の邪眼へと変貌させ、手に持っていた鳥の骨を消滅する。


 「その目は何ですか? 怖い…」

 「この目は、破滅の邪眼、視界に入った標的に対して一定の確率で消滅させる技、確率が外れても致命傷を与える事が出来、標的に対して殺意を抱いた時に絶命級の損傷を与える優れものさ。監視カメラでも発動する為、リアルタイムで見た存在は全て殺せる。その対象は勿論、星でさえも対象だ。その気になれば銀河だって一瞬で滅ぼして見せよう。」

 「訂正します。私なんか小さな力でした。」


 龍雅は目を普通の眼へと戻した。


 「小さな力でも役に立つときがある。お前の場合、誰かを守る事が出来るだろう。傷つけるかもしれないだが、それでも守れるものがあるんじゃないか?」

 「私が誰かを守れる? 無理ですよ。私の力は一」

 「ならば、剣は何故、守る者である騎士の武器だ? 剣は、触れれば傷つける刃だ。その剣がなぜ、人を守る者の象徴となっている?」

 「わかりません。」

 「理由はただ一つ。守るべきものがある。誇り高き騎士達はそうやって剣を以て何かを守ってきた。ただそれだけだ。お前は何を守りたい?」

 「この幸せを」

 「そうか、なら守れるだろう。お前が守りたいと思うなら守れるだろう。自分で過小評価しているその力でも」

 

 龍雅は、そう言って梨奈の頭を撫でる。

 少し痛く何処か負傷した。

 だが、龍雅にはそんな事など気にしなかった。


 「さて、本題に移ろう。梨奈…どうする? お前は戦うのか? 戦わないのか? それは梨奈の自由だ。お前が参加しなくても、お前は俺を応援してくれればいい。」


 龍雅は、そう言いながら宮弥に似た高身長の美女へと変化する。

 中性的な男性寄りの声は女性寄りの声へと変わる。

 胸は美しい巨乳だ。

 ノーブラで、ワイシャツのボタンの隙間から見える胸は、色気を醸し出す。

 悠美は、宮弥が成長した姿のように見えるので、どちらかというと悠美に近い姿だろう。

 もはや龍雅とは似て非なる別人だ。


 「それで俺は、この姿になり、お前の代わりに戦える。俺は、男にして女それが俺…ただ男の方に思考が寄っているだけだ。だから俺は、男でも女でも恋愛対象だ。」


 龍雅が、女性の姿へと変わると、梨奈は、自分自身の胸を見る。

 その胸は平坦なものだった。

 地平線だ。

 梨奈は、激怒した。

 かの邪知暴虐の龍雅の胸を除かねばならぬと決意した。


 「先輩…何ですか? この胸は…?」


 梨奈には、龍雅の何者なのかわからぬ。

 梨奈は、ただの能力者である。

 ただ一人でかつて虐められていながらも生きてきた。

 そして仲のいい者の胸の大きさに関しては人一倍嫉妬深かった。


 「ちょっ! 胸いてぇ! やめろ! 梨奈! てめぇ! 捥げる! 捥げる!」


 梨奈の能力が感情に作用しているのか龍雅に与える苦しみがいつもよりも大きい。


 「うるさいです。こんなに大きな胸を付けている先輩が悪いのです。分けてください。」

 「はぁ!? 揉むぞ! てめえの胸揉んでやろうか! そうすりゃ、巨乳になる! というか、貧乳はステータスだ! 貴重価値だ! 自分の価値を見てくれ! だから胸を握り潰そうとしないでー! まぁ俺はどちらかというと貧乳が好きだがな! ぺったんはジャスティスだ!」


 龍雅が、そう言うと、梨奈は、揉むのをやめ、赤らめ始めた。


 「先輩が貧乳好きだなんて…早く言ってくれればいいのに…」

 「でも、巨乳も悪くないと思うがね。」


 龍雅が、そう言うとまた梨奈は、龍雅の胸を掴む。


 「マジやめろ! やめろ! 俺が悪かった!」


 龍雅は、そう言いながら梨奈の手を振り払う。


 「さて、改めて聞くがどうする? 答えはお前に委ねる。別に責めやしないと思う。あいつらが責めるなら俺は守ってやる。或いは力で押し通す。参加するなら、俺はお前を応援しよう。」

 「私は、やっぱり参加します。それが私なりの先輩への恩返し。役に立つかはわかりませんが、よろしくお願いいたします。」

 「フッ、いい顔になったな。先鋒というのは明るい方がいい。先鋒同士お互い頑張ろうぜ。」


 龍雅は、そう言って梨奈を頭をまた撫でる。


 「嬉しいですけど、その体でやられるとムカつきますので、やめてくれませんか?」

 「毒を吐くようになったねえ…」


 龍雅は、美女の姿から美男の姿に戻り、自分の胸を見る。


 「痣出来ちまってるよ。まぁ、いい…治せば良い事だし、さて…放課後、一年の教室に行く。」

 「どうしてですか!?」

 「何、すぐに終わる。ただ俺は奴らとお話しするだけだ。」


 龍雅は、そう言うと、スマホを取り出し、誰かに電話をかけ始めた。


 「もしもし、はい、剣ヶ峰龍雅です。はい、そうです。放課後1Gの…はい、すぐに終わります。終わり次第、報告いたします。…はい…人体実験でお願いいたします。…はい…なるほど…適合すれば、俺はさらに強くなると…はい…彼らの罪は…はい…ありがとうございます! では、失礼します。理事長。」

 「理事長って事は、紗里弥先輩の…」

 「そう父親だ。理事長、そして極星院グループの総帥だ。いつも世話んなっている。」

 「そうですか…で、何を話したんですか?」

 「放課後、1Gに全員残るように頼むと理事長に伝えた。まぁ、後で礼を渡すつもりだが…」

 「礼って?」

 「ん? まぁ、人体実験とか…まぁ、軽いバイトだな。人体に影響のない実験しかないから良心的よな。それに今度の実験は、適合すれば俺は更に強くなる。進化する。力を求め、全てを喰らう。何人たりとも我が進撃は止められぬ。さらなる力を得るのなら、俺は俺をも殺す。オーディンに自身を捧げ、知恵を得たオーディンのようにな。だが、親愛なる者を巻き込んだやり方は極力しねえ」

 「オーディンが自分自身を生贄に?」

 「そうだ。オーディンは、知識欲の強い神だ。ルーン文字の秘密を知る為に自分の首を自分に差し出し、槍を体に突き刺し、知恵を手に入れた。俺はそうするように試練に挑み力を手に入れる。何かを払わずに何かを得る事などできはしない。人は何かを消費せず得ていなくても自然と払い、得ているのだ。時と命という対価を払って何かを得ているのだ。まぁ、俺の場合ノーリスクハイリターンという理不尽な事をよく起こすんだがな。何せ、俺は死なねえし、失敗してもやり直せばいいだけだしな。」

 「でも、それだと精神的な」

 「疲労が出るかもな。だが、それがどうした? 精神的疲労で済むだけ安上がりだ。最後に親愛なるものがあれば、それでいい。誰かの為に戦うそれも俺の欲望だ。欲望叶えずして何が俺だ。」

 「己の欲望の為に戦うのが、龍雅先輩の信条ですか…」

 「あぁ、誰しも夢という欲望があるものだ。人と欲望は切っても切れねえ関係にある。いくら純粋で高潔な人間と言えども欲望というのはある。救う事が義務と思って居る奴は、誰かを助けたい欲望に駆られていると思っている。だがその欲望は悪くない。欲望は悪ではなく善であり悪なのだ。ただ欲望を好き勝手にふるまう者が悪に多いだけだ。俺はその欲望を好き勝手にふるまう悪の側だ。ただ欲望というのは弱肉強食だ。ただ夢をかざしても力が無ければ大体の事は叶わないのだ。さて、また長話したな。悪い癖だ。悪の癖に/無知な癖に説教めいた事を言う。俺の悪い癖だ。」

 

 五時間目を告げるチャイムが鳴る。

 

 「今日は二年も一年もG組は五時間目で終わりだ。五時間目終わった後、すぐさま放送がなる。俺は、その時、1Gに向かう。これで終わらせる。終わらせて見せる。梨奈の悲劇を…これは俺の賭けでもあり梨奈の賭けでもある。」

 「私の賭け?」

 「そうだ。お前の賭けでもある。どうか、賭けを俺に預けてくれないか? 何、必ず賭けに勝つとも…じゃ、また後で…」


 龍雅は、そう言って去って行った。


 放課後…


 『1Gの皆様へお知らせします。放課後、そのまま教室に待機していてください。繰り返します。1Gの皆様にお知らせします。放課後、そのまま教室に待機していてください。以上です。』


 1Gの生徒は騒ぎ始める。

 梨奈だけこの事を知らされている為、冷静な表情を浮かべている。

 梨奈の机には、誹謗中傷のかかれた跡が残っている。

 あの日以来、彼らは突如現れた災厄である龍雅に恐れおののき急いで机の汚れを消したのだろう。

 机には、疫病神、化け物、悪魔、死ね、学校来るな等とという誹謗中傷だ。

 能力者も化け物の癖に、よく他人の事が言えたものだ。


 ――そろそろ時間だな。


 龍雅は、そう思い、1Gの教室の扉を開ける。

 龍雅は、梨奈を虐めていた奴に向けて放つ殺意を放ちながら1Gの教室に入る。

 数日前に、梨奈を虐めていた奴らは、龍雅が殺意を放っているのを見て、恐怖し、怯えている。

 数日前の事を何も知らない生徒達は、虐めていた奴らを心配しているが、同時に因果応報だと嘲笑っている。

 この怯えは本物だと、地獄を見たのだと、人間の皮を被った悪魔(怪物を超える怪物)によって齎された


 「まず最初に言いたいことがあるこのクラスの者がやった事に俺は憤りを感じている。」


 龍雅の殺気は一層強くなる。


 「俺が怒っている理由は、ただ一つ。お前達の中の奴らが俺の女梨奈を虐めたからだ。」


 「何故梨奈を見捨てた? 何故梨奈を虐めた? 貴様らに問いかけよう。」


 だが、一年は何も答えない。


 「だんまりか…それとも見捨てた奴らよ。まさか怯えているのだろうな? 梨奈を虐めていた奴らに何、遠慮をするな。お前らにそいつらが何かしたら俺が潰そう。貴様らは、そう自分が虐められたくない。そう恐怖して助けなかったんだろう。恐怖というのは、人を支配するものだ。死の恐怖、暴力の恐怖、社会の恐怖、様々な恐怖があるだろう。お前達は、このクラスという社会の恐怖とこいつらによる暴力の恐怖に怯えているのだ。だが、何だ? この情けないこいつらの姿は? まるで小鹿のようではないか。こいつらに何故怯える必要性がある? さぁ、言ってみろ。」


 それでも生徒たちは黙ると、龍雅はため息をつく。


 「庇っているつもりか…だが、その善意をこいつらの悪意が利用するのだ。いいか、善意は誰かを傷つけることがあるんだ。そして利用する者も居る! それを忘れるな。お前らは雇われてやった事だとは知っているだが、お前らは、梨奈の事を邪魔だと思っていなかったのか? お前らは、心の底から梨奈に対して悪意を向けていたんだろ? そうだろう? お前達はただ梨奈を苦しめる為だけに虐めたのだ! そしてその中には、虐められる恐怖を感じて強制的に虐めに参加した憐れな者も居る! これがそいつらのリストだ!」


 龍雅は、プリントを投げ、念動力で全員の椅子に虐めていたもののリストを配布する。

 

 「この中には、虐めの加害者集団と虐めを強要された加害者であり被害者が書かれたリストだ! 加害者であり被害者である奴。数日前はすまなかった。だが、お前達のやった事は巻き込まれたとはいえ悪だ。後に裁かれるだろう。だが、俺の方で罰を減らしておいた。恐らく反省文だけで済むだろう。そして加害者よ。お前達への弁護はない。お前達は、お前達に怯える者を加害者へと変えた。それは許されない事だ。退学は避けられないだろうなァ? 梨奈を虐めたくないと思う奴に強要させた。これはハラスメントだな。」

 「どうか、それだけは…」


 加害者の一人は、そう言って怯えながら懇願する。


 「やめてくださいだって? フン、虫のいい話だ。駄目だね。退学は避けられない。それに証拠映像や証拠写真、証拠音声もでそろっている。学校の上層部や理事長、そして生徒会にも伝えてある。さて、加害者と梨奈以外はもう帰ってもいいぞ。こいつらには話があるんでな。」

 「わかりました。俺達は許されるんですね?」


 巻き込まれた者の一人は、そう言って立ち上がる。


 「そうだ。反省文さえかけば許される。だが、梨奈はどうかは知らない。なぁ、梨奈どうする?」

 「いいえ、何もしないで上げてください。彼らも私と同じ被害者です。」

 「そうか…なら、さっさと帰んな。まぁ、変な内容は書かない限りはOKという事にするように伝えておくから適当に書いておけ」

 「ありがとうございます。俺達もいじめた側なのに…」

 「巻き込まれた者に怒りをぶつけるわけにはいかんからな。まぁ、あん時の俺は、巻き込まれていることも知らなかっただけだ。許せ。ではな。」


 一年の教室から加害者と梨奈以外の生徒は立ち去っていく。 

 

 「さて…加害者共よ。どう罪を償うかはわかっているのだろうな。これを書け」


 契約書には、退学は無しになり、処罰が反省文十枚と一ヶ月間の停学になる。そして契約内容は、梨奈と巻き込んだ者に土下座する事と二度と梨奈と梨奈をかばう人間を虐める事が出来なくなる事だった。名前を書けば、契約違反の行動を取ろうとすると、体の制御が効かなくなる。もし契約を強制的に逆らえば、今までお前達加害者から受けた梨奈の苦痛が十倍になって襲い掛かり、そして更に契約違反のペナルティとして退学になろ、更に所有する能力を剥奪すると書かれていた。


 龍雅は、契約書を加害者全員に配った。 


 「書け! 書かねば、この学校に残れない!」

 「…わかりました。」


 加害者達は、契約書に名前を書くと、契約書は加害者達の体の中に入っていく。

 痛みは無いが、体が重くなる。

 まるで枷を付けられたかのように重くなる。


 「さて、これで処罰は決まったな。帰るぞ。梨奈…お前らもさっさと失せろ。」


 龍雅は梨奈を連れて帰って行く。


 「結局は、賭けるまでも無かったな。」

 「そうでしたね。」

 「さて、帰るか…」


 龍雅は、そう言って梨奈と共に学校を出る。

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