第玖拾参話《Episode of Rina》
私は、人を殺した事がある。
私は、初恋の人を殺した事がある。
私は、片思いの人を二人殺した事がある。
私は、彼氏を殺した事がある。
私は、家族を殺した事がある。
私は、恩人を殺した事がある。
私は、先生を殺した事がある。
私は、色んな人を殺した事がある。
何もしていないのに、ただ人の温もりを知りたいだけなのに、私は触れただけで人を殺してしまった。
何で私は、誰かを殺さなきゃいけないの?
何で私が触れた物はすぐに壊れるの?
私は、能力者の存在が明るみになっていない幼少期の頃に、家族と初恋の人を殺した悲劇の一年から数日たって私は故郷を追われた。
私の力は、全てを傷つける力。
自分だけ死なない力。
私の名は、奏梨奈…世界から嫌われた女である。
生まれた事が消えぬ罪だというのだろうか。
私が入学する学校は必ず廃校になる。
そして転校する学校全てが廃校になる。
どんな学校でも必ず虐められる。
私に関わった人間は不幸になる。
私以外の一族全員が死んだ…いや、殺したのだ。
全て私のせいだ。
自殺しようとしても、誰かに迷惑がかかるし、自殺しようとしても自分の体が言う事聞かず勝手に守ってしまう。
例えば包丁で、急所を刺すと、能力が瞬時に発動し、包丁が逆に壊れる。
飛び降り自殺の場合、衝撃がビルに伝わり、ビルが倒壊する。
誰かに殺されるのもありかと思ったが、それもダメで、逆に相手を殺してしまう。
そして残ったのは壊れた物と私を殺そうとしていた人間だったものと無傷な自分。
「ただいまーって誰もいないか…」
私の住む家は、いわくつきの古いアパートだ。
家賃は安いが、私が来る十年前にいた自殺した能力者の呪いで、アパートの老朽化が加速し、そして殺人事件が多発しているそんないわくつきのアパートだ。
階段は、錆び付き、
いつ壊れても可笑しくない状態だ。
数年後にこのアパートは取り壊されるらしい。
修理費がなくそして呪われている。
こんなアパートに住む者は、物好きか、追い詰められているものだけだろう。
私は後者だ。
追い詰められているからこんな場所にいるのだ。
朝飯は、食パンのミミだけ、昼飯は、コンビニで買った弁当、夜もコンビニで買ったもので一日を追える。
この部屋には家電製品がない。
冷蔵庫すらない。
エアコンも扇風機もない。
飲み水のほとんどが雨漏れの雨水だ。
私の体は、災厄を齎す代わりに、あらゆる災厄に対して耐性を持っている。
だから汚れた水も問題なく飲む事が出来る。
汚染された場所でも生きられる。
呪われた場所でも生きられる。
ただ不味い。
腐った匂いがする。
バイト代は、ほとんど学費と家賃で消費している。
窓ガラスは割れており、冬は常に寒い風が通り抜ける。
夏は暑くそして能力者の呪いが活発化する時期でもある。
呪いが活発化すると、アパート全体でボルターガイストが毎晩毎晩起こる。
呪いの発生源が、私の部屋だから恐怖になれている。
ただ煩い。
夏は毎晩寝不足だ。
この部屋を借りる者は、霊のせいでわずか数日で退去してしまうらしい。
修理をしても呪いのせいで数日で、修復する前のボロ部屋に戻ってしまう。
能力者の呪いは、それほどまでに強いらしい。
何故このアパートを呪っているのかと大家さんに聞いたが、私の能力のせいで無視されている。
この部屋では私の能力が増幅するので、私の部屋は魔境と化している。
誰も寄り付かない最悪の領域。
そんな所に住む自分と関わりたくないという考えを持ってしまうのは、当然だ。
運命に呪われた人間が幽霊に呪われた部屋に住んでいるんだから。
私がかつて住んでいた家は、私のせいで燃えてなくなった。
家族の思い出も、友人との思い出も、宝物も全て消えてなくなった。
残ったのは、わずかなお金と生活に必要最低限の物のみ。
お金がないからバイトで稼ぐしかない。
水商売も考えたが、私の体は誰かに危害を加える体。
そんな体で稼げる訳がない。
私に弁当はない。
バイト代が安定するまで朝飯はなく。
昼、夕、コンビニで買った物で飢えをしのぐ。
中学時代、公園にテントを立てるまでは、焼けた自分の家の跡地でご飯を食べ、雨風をしのいでいた。
汚れた体は、温情ある店主の元で、銭湯のアルバイトをし、閉店後でどうにかしていた。
害を齎す穢れた体で、プールや風呂は入れない。
水は私の力で汚染されるのだ。
その汚染水に触れた者は皆災厄が降りかかる。
どれだけ消毒しようとも汚染された水は元に戻らない。
店主さんは、私にとっての恩人だった。
それと同時にあらゆる水を浄化させる力を持つ能力者で、汚染水も綺麗に浄化して流してくれた。
能力のせいで迷惑掛かると思いやめようとすると引き留めてくれた。
触れられないが、暖かかった。
けれどそんな幸せは長くは続かない。
案の定、私の力のせいで銭湯に厄災が訪れた。
先輩の卒業式を迎えた数ヶ月後、私は、一年前に建てた公園のテントで、明日の授業の準備をしていた時…。
隕石が落ちた。
隕石は街を飲み込み、全てを破壊する。
私だけが生き残った。
どうやらこの隕石は、人類選別軍と呼ばれるテロ組織が齎したものらしい。
その数日後、富士山から謎の光を放つ龍が見えた。
龍は天に向かって怒りの咆哮を叫んでいた。
龍の口から無数の光が放たれ、光が何かに当たり、真夏の太陽が照り付ける昼間よりも眩しい光が地球を照り付ける。
この竜の口から放たれた無数の光がアステロイドベルトを破壊したらしい。
アステロイドベルトを破壊した犯人は、見つかっていない。
私は、また家と学校と大切な人を失った。
また学校を探さねばならないが、全財産を失った。
学費は払えない。
私は、隕石が落ちた次の日、廃墟の街を彷徨う。
私以外誰も生き残ってはいない。
なら、盗んでもいいよね。
私は、衣服や洗剤、食料などを廃墟から盗んだ。
そして教材なども盗みんだ。
本来なら順調に卒業する筈だった。
だが、隕石によってそれはなくなってしまった。
この街に救いの手などない。
私は、数ヶ月廃墟の街で勉強しながら過ごし、そしてこの街の食べ物が尽きた時、私はこの街を出た。
交通手段が断たれている為、徒歩でこの街を出るしかない。
全速力で走る。
風よりも速く走る。
行く当てもなく走る。
何処か私を受け入れてくれる場所を探し求めて走る。
走り続けて数日、私は、得大紐に辿り着き、そして今に至る。
私は、呪われた部屋に住み、中学生活の時を過ごし、卒業し、銀河丘高校に入った。
銀河丘高校では、早速能力のせいで虐められた。
いや、得大紐に来てからの中学三年の時も虐められていた。
私は、銀河丘高校からの同級生のせいで虐められている。
生きていても迷惑がかかるから死ねと言われた。
じゃあなんで私は何のために産まれて来たの?
神様は何で私にこんな仕打ちをするの?
最悪の高校生活を幕を開ける筈だった。
転機が来たのは、そう体育大会が迫る6月の事だった。
私は、体育大会の競技を強制的に決められた。
一番危険な競技である格闘大会を
私は乗り気ではなかった。
だが、私は後で、この競技であって良かったと思っている。
何故ならこの競技で後で、運命の人に出会うからだ。
私は、運命の人に出会うまで今までの人生が苦痛でしかなかった。
私は、放課後、ある場所へ呼ばれた。
2Gのクラスだ。
ある一人の少女は、夕陽に照らされながら私を待っていた。
「待っておったぞ。梨奈、我が名は、2Gの極星院紗里弥だ。さて、汝に聞きたいことがある。」
「なんですか?」
「簡単な質問である…汝の力で思い悩んでいるようだな?」
「何故それを?」
「チームメンバーの能力を把握せずして何がリーダーだ。さて…」
紗里弥先輩は、いきなり私に抱き着いて来た。
「お主は一人ではない。お主は、ここから生まれ変わるのだ。」
紗里弥先輩は、平然とした顔で、私より小さな体で、私に抱き着いた。
「苦しくはないのですか?」
「以前の自分ならそうだっただろうよ。だが、私は、異能を無効化する力を持っているのでな。私は、お主の事を受け入れられる。そしてこれから仲間になる者もお主を受け入れてくれるであろう。さぁ、行くぞ。能力の事、包み隠さず言ってもよいか?」
「はい。お願いします。私の事を受け入れてもらえるなら、この事を知ってもらわないと」
「そうか…請け負った。えらいな…」
紗里弥先輩は、背伸びをして私の頭を撫でようとしたけれど届かないので、私がしゃがんだ。
紗里弥先輩は、しゃがんだ私の頭を撫でた。
初めて…いや、久しぶりに人の温かみを知った。
私は、紗里弥先輩に連れられ、誰も知らない場所へと連れてこられた。
そこには、この世に存在してはいけないような存在感を持った、世界一という言葉を超えている様な常識外れの美しさを持つ少女がそこにいた。
あまりの美しさに私は、同性に対して一目惚れしてしまいそうになった。
私は適当な場所に座った。
紗里弥先輩が宮弥という名を呼ぶ。
常識外の美少女は、なんでしょうかと答える。
どうやらあの美少女が宮弥先輩らしい。
しばらく経ってこの部屋に次々と人が集まってきた。
そして最後に入ってきた人こそ私の運命の人だった。
異質で美しいまるで手錠のような腕輪をした美少年が最後に入ってきた。
その少年の美しさは、宮弥先輩のようにこの世の者とは思えない息を呑むような美しさだった。
近づく事すらも、許されないような美しさだ。
ましては私のような破壊しか齎さない人間が、あんな美しい花に触っていいわけがない。
そして女として本能的に好意を抱くような気を放っていた。
触れていいのか、触れてはいけないのか、その時葛藤したが、彼の魅力は、まるでブラックホール。
触れたいと思う気持ちが強くなる。
美しいからこそ壊したい気持ちもあった。
だが、死なない力を持っているのと、全てを破壊する力があると聞いた。
なら、触れられるけど、迷惑になるだろう。
私はまた葛藤する。
私は、龍雅先輩の事が気になった。
物は試しと、龍雅先輩を待つ。
迷惑、いや傷つけてしまったらごめんなさい。
殺してしまったらごめんなさい。
けれども、私は貴方に惚れてしまった。
だから触れたい。
痛がったらもう私は触れません。
だって貴方にとっては迷惑だし、傷つけたくないから、自然に触れるそれだけでいい。
能力について会議の時に話しただから避けるだろう。
龍雅先輩が来た。
私と龍雅先輩と少し話をした後、龍雅先輩は私の頭を撫でようとしたが、私が避けてしまった。
覚悟は出来ている筈なのに逃げてしまった。
だが、龍雅先輩は私の頭に触れ、撫でてきた。
俺は不死身だと言いながら…
知っている。
貴方が不死身なのは知っている。
さっき知った。
でも痛みはある筈、不死身でも痛みはつらい筈。
この苦しみは、長時間触れるほど苦しみが増す。
普通の人間では到底耐えられないものだった。
だが、この男は異常だ。
身体に傷が出来、手に火傷や凍傷そして壊死が発生し、龍雅先輩の額には冷や汗が流れている。
無理しなくてもいいのに…
龍雅先輩は、撫でながらこんなか弱い少女を参加させるなんてと私に対して憐みの眼を向けた。
私は、事実を言いかけると、少ない言葉だけで龍雅先輩は理解し、宮弥先輩を呼びだし、私の為に何かを話し始めた。
私は、先輩達の会話を聞きとれなかったが、途中で話に入り込むと、龍雅先輩は、梨奈を虐めている奴らを懲らしめると言った。
私の為に、何で動いてくれるの?
私は嫌われ者で疫病神、助けてもらう価値なんてないのに…
だけど、龍雅先輩は、自分が悪だからといい止まらなかった。
結果、私は虐めから救われた。
入学当時から続く虐めは終わったんだ。
私は、能力の効かない人を求めていたわけじゃない。
自分の力に苦しみながらも生きて愛してくれる人、そして助けてくれる人、そんな贅沢な望みをかなえてくれる人を求めていた。
でも、龍雅先輩が言うには、手錠のような腕輪に力を封じられているから能力を封じる力は使えないらしい。
そして生半可な力を持って腕輪に触れてはダメだと言われた。
この腕輪に触れると、普通の人は衰弱死してしまうらしい。
自分の力は強力すぎて大会が面白くなくなる。
私は興味単位で、土曜日の公園デートで、昼食を食べ、木の下で二人で昼寝をしようと提案し、私は昼寝をしたふりをして試しに、龍雅先輩が眠っている所で、0.1秒、一瞬だけ指で腕輪に触れてみると、力が抜けていくのを感じた。
命の危機を感じた。
身体が重い。
力が入らない。
呼吸が苦しくなる。
身体の全機能が悲鳴を挙げる。
反撃能力が停止してしまっている。
意識が朦朧とし始める。
龍雅先輩の腕輪に触れるんじゃなかった。
苦しい。
誰か助けて…
そこで私の意識は途絶えた。
心臓が止まるのを感じた。
あぁ、私は死んだのね…
因果応報ね。
今まで誰かを傷つけてきたツケが来たのね。
私の人生ロクなモンじゃなかった。
来世はもっといい人生に…
目を覚ますと、必死な表情で、人工呼吸をする龍雅の姿があった。
公園の森の中で、龍雅先輩は、必死に私の心臓を動かしている。
私は死んでいない。
何故死んでいない?
「カハッッ!……龍雅先輩?」
「馬鹿野郎! だから俺の腕輪に触れるなと言っただろう! 死にたいのか!?」
龍雅先輩は、起きて早々、私の頬を叩き、怒りながらそう言い、そして私に腕輪に触れさせないように抱き着き、龍雅先輩は涙を流す。
何故泣いている? 私なんかの為に泣いている?
「死んでしまうと思った…お前ら脆いから…」
「大丈夫です。」
「限りなく死に近い生と死の境目にいたよ。生憎、あの戦いの後にこの腕輪は強化されてな。俺自身はもっと弱体化し、そしてこの腕輪はもはや能力者さえ殺す凶器と化した。一旦外してレベル150まで上昇したが、これをつけてから俺の戦闘力は、ただの能力者を下回り、能力者じゃねえただの高校生の戦闘力へと下がっちまう程、この腕輪は強力になった…だからこの腕輪には触れるな。俺はてめえを死なせたくねえ。」
「えぇ、わかりました。でも、そんな危険物質をぶら下げている先輩も悪いんですよ?」
「まぁ、そうだがな…だが、そうでもしなければ癖を抑えられないのだよ。」
「癖って?」
「悪い癖でな。お前らが食事をするように誰かに喧嘩吹っ掛けてしまうんだ。なぁ、知っているか? 東京の人食い龍って」
「知ってます。薄暗い場所で悪事を働こうとすると、気が付くと黒い龍に喰い殺される悪夢を見せられ、目が覚めると全身に大怪我を負い、そして共犯者は全員何かに喰い殺されていたという…」
「その都市伝説の正体が俺だ。」
「そうだったんですか、よかった…でも、なんでそんな事を?」
「俺にとっては戦いとは、食事のようなもの…しばらく戦ってないと心が飢えちまうんだ。これには本能を抑える効果があるんだ。だがな、その代わり他の欲求が強くなっちまうんだ。」
龍雅先輩は、そう言って私の口にキスをし、マットに押し倒す。
え? どうなって…?
龍雅先輩は、私の口に舌を入れ、激しく私の舌を舐めまわす。
私の脳に快楽が走る。
そして私の首にマーキングするように甘噛みし、服を脱がそうとする。
私は、理解できなかった。
いきなり起こった出来事に頭が整理できなかった。
私は抵抗する。
龍雅先輩は弱体化している筈なのに、力が強い。
恐らく私の力を弱め、そして龍雅先輩は、自分自身の戦闘力を上昇させているのだろう。
「今、お前は俺の腕輪に触ったという悪事を働いた。だから罰を受けてもらうぜ。人食い龍のな」
「やめてください…」
「お前を虐めてもいいのは俺だけだ。」
「こんな外で…恥ずかしいです…」
私は、必死に抵抗する。
全力で抵抗する。
だが、龍雅先輩には通じない。
「やめて…ヒック…ください…」
私は、泣き始める。
龍雅先輩は、私が泣き始めると手を止め、私の頭を撫でた。
「え?」
「言っただろう? 俺はお前を虐めたいだけだと…」
「要は意地悪したいだけ…」
「そうとも言えるし、そうとも言えない。ふむ、100%お前が嫌悪感を抱いていたら悪戯ではなく虐めなのだろう。俺は悪行をする時、常に最悪を想定するのが多いのでね。まぁ、罪の責任も負うつもりだ。故にあらゆる悪戯する時は、虐めである事を覚悟をしてやっているのだ。」
「なんで、そんなに自虐的何ですか? 貴方は根本が善人なのに何故悪人として振舞うんですか?」
「さぁな…そんな事は忘れたよ。俺が何で悪いのかさえ忘れてしまった。ただ言えるのは、俺の善行は全て偽善によるものでしかない。或いはヒーローになりたかった過去があって諦めてなお夢の残滓に縋って、独善の正義を振るっているのかもしれない。善人として振舞うのは、気持ちよかった。人を守って感謝される事も心がすく気持ちになった。でもそれは快楽という欲望を晴らすために過ぎなかった。」
「でも、人間というのはそういうものだと思います。誰かを助けて感謝されるのは、誰だって良いものだと思います。」
「だが、俺はその快楽を求めすぎるのは悪だと思う。」
「確かにそうですね。行き過ぎた正義は悪です。ですが、まだ龍雅さんはそこまで行ってはいないと思います。」
「なるほどな…まぁ、お前が俺の事を悪く思っていないんだったら梨奈の中で俺の事を善人と思い続ければいい。」
「なら勝手にそう思います。だって、龍雅先輩は私を救ってくれたヒーローなんですから。貴方はこれから先も誰かの為に汚れ役をやるでしょうね。」
「誰かの為か…俺が誰かの為に何かをする。それは孤独への恐怖だろう。」
「先輩にも怖い物ってあるんですね。」
「あぁ、孤独程怖いものはない。だが、俺を愛してくれるものがいるだけで存在するだけで俺は生きられる。存在できる。例え遠い遠い世界の果てでたった一人戦っていてもな。」
「なら、私がどんな時でも孤独にさせません。でも、いきなり私の事を襲ったのは、謝ってください。そして自分の事をもっと誇りに思ってください。私は応援していますから、こんなヘドロよりも穢れた私を救ってくれたんですから」
「いきなり襲ってすまない。そして俺は闇ではなくお前の光であり続けよう。」
「いいですよ。」
私は、立ち上がり、素直に謝った龍雅先輩の頭を撫で返した。
龍雅先輩は、撫でられると、私に笑みを浮かべた。
「誰かを助けるという快楽が欲しいのなら、私が助けを呼んだら来てくださいね。それに貴方を愛している諸先輩方は絶対に先輩を一人にはしません。私の本当の王子様。」
「俺が王子様か…いいよ。なら、お前は、灰被りの女だ。まだエンディングは迎えてはいないし、俺はおとぎ話の国のような存在ではないから、あえて言おうお前は俺の側室にしてやる。」
「側室…つまりお嫁さんって事ですね? 嬉しいです。」
「俺はもうお前を一人にさせない。ずっと一緒だ。」
私は、初めて失わない大切な人を見つけました。
…この人がいなくなれば、私は死ぬでしょう。
あぁ、龍雅先輩…触れても死なない愛しい人…美しい人…苦しみながらも愛し、助けてくれる人…好き…好き…私は、もはやこの人無しでは生きられなくなりました。




