第捌拾伍話《赤い力と青い魔術/体育大会まで後20日》
「始めるか…」
龍雅は、ブルーウィザードに切り替え、そして構える。
「■■■■■■■■■!!」
グロテスクファントムは、耳を劈くような金切り声を挙げ、龍雅に向かって超高速で向かい、攻撃してくるが、龍雅は回避し続け、自身の能力を上昇させていくのと同時にグロテスクファントムの能力値を下げていく。
――お前の動きは研究済みだ。お前がたった一人なら、弱体化していようがしていまいが、怖くなんてない。
龍雅は、そう思い、グロテスクファントムの連続攻撃を余裕の心を持って回避していく。
攻撃が当たりそうになると、攻撃を受け流していく。
グロテスクファントムから発せられる横払いの熱光線は、飛んで回避する。
熱光線は、全てを電解させる程の熱を持ち、一秒で遠くにある山に着弾し、反物質兵器を超える爆発を発生させる。
その後も、龍雅は、熱光線や攻撃を回避しながら敵のステータスを下げながら自分のステータスを上昇させていく。
「毒だ。」
龍雅は、グロテスクファントムに向かって毒炎と雷を放ち、痺れさせるのと同時に、火傷と猛毒を負わせる。
――バフが溜まった…よし、やるか…
龍雅は、ブルーウィザードからレッドファイターに切り替え、グロテスクファントムに制御される前の威力に限りなく近い威力を持つ重い一撃一撃を高速で与えていく。
全攻撃がクリティカルヒット、龍雅は能力値を上げているついでにクリティカルヒット発生確率を上昇させていたのだ。
次第に拳に毒炎と雷を纏わせ、一撃一撃の攻撃力を上昇させる。
攻撃力が制御される前に戻っていく。
一撃一撃が鋭い。
グロテスクファントムは、成すすべなく龍雅の攻撃を受け続ける。
「死ねェ!!」
龍雅は、グロテスクファントムを地面に叩きつけた後に、グロテスクファントムの核を取り出し、踏み潰すと、グロテスクファントムの肉体は、膨れ上がり、爆発し、消滅した。
「ふむ、想定より強すぎるな…いや、敵の戦闘パターンを読めているから簡単に倒せたのかもな…まぁ、いい…お疲れ様です。兄さん。」
「あぁ、思いのほか手こずったな…本来ならば、一瞬で片付ける事が出来たはずなのに…」
「仕方がないでしょう。貴方の力は、異常な程に弱体化している。グロテスクファントム如きに手こずるのも当然の事、さて…ブルーウィザードは、無限の可能性を秘めている発展の力…敵との差をつけ、レッドファイターによる圧倒的な力量差で相手を叩き潰すチャージ戦法…長期戦が想定される場合はこの戦法が最適でしょう。」
「そうだな。では、帰るか…」
「はい。」
龍雅は、荒野の真ん中にある扉を開け、扉の中に入ると、二人はその場から消え去る。
扉は、独りでに閉まり、そして消えた。
「さて、その腕輪は前にも話した通り大会が終わるか、追いつめられるまで外せませんし、大会が終わらない限り、経験値も入りません。」
「その経験値は何処へ行く?」
「大会が終わった時、腕輪に蓄積された経験値が貴方に注がれます。これならレベルアップの心配もなしに戦えますね。」
「そうだな。レッドファイターとブルーウィザードを使い分ければいいだけだ。さて、この腕輪は、他人に着ければどうなる?」
「勿論弱体化します。汎百の能力者が身に着けると、人間の子供にも勝てない。装備した能力者がダイヤルを回した所で、汎百の能力者には勝てない。貴方にしか使いこなせない腕輪だ。」
「そうか。」
「では、俺はこれで…今から人類選別軍の会議がありますので…」
「まだ人類選別軍に介入していたのか?」
「えぇ、急に活動をやめたら怪しまれますので…俺は、極星院の依頼によって人類選別軍に潜り込んでいる二重スパイです。人類選別軍に嘘と本当を混ぜた情報を流し、極星院に真実の情報を流す。それが俺の仕事です。何、極星院を追い詰めるような情報は流したりはしません。ですが、難易度をあげたければ、重要な情報を流すことも可能ですが、いかがなさいますか?」
「いつも通りの行動で、紗里弥を傷つけたくない。」
「…わかりました。では、選別軍に嘘の情報を流してきます。」
宮弥は、そう言って消えた。
龍雅は、自分の部屋に戻り、作業を再開し、そして終わると、保存ボタンを押し、データを魔王の鎧に送る。
――よし、完璧だ。さて、飯食ってから今から鍛えるかな…
龍雅は、そう言い、超高カロリーの液体を飲み込み、体を洗浄し、パジャマに着替える。
――これはクソ不味いが、飲み込んでおけば数日能力を使っていても大丈夫だ。
再びVR装置を取り出し、再び電脳世界へと向かって行く。
翌日…
――一日中やっていたな。
龍雅は、そう思い、VR装置を外す。
――まぁ、いい…VR装置を付けている間は、体は気絶している様なものだ。いや、眠っているという方が正しいな。これは明晰夢を見ている様なものだ。実質寝てる様なもんだ。脳の疲れは取れずとも体の疲れは取れているだろう。
龍雅は、そう思い、体を起こす。
立ち上がると、龍雅の腹がなり、空腹が襲い掛かる。
――仕方がないか…一晩中やっていたもんな…
龍雅は、大盛りカップ麺と特大冷凍ピザ二枚、トースター、ポットを取り出し、水を生成し、ポットの中に水を注ぎ、冷凍ピザをトースターの中に入れ、そして時間と出力設定をし、温め開始する。
数分後、龍雅は、カップ麺のかやく、粉末の入った袋を取り出し、中身をカップ麺の中に入れポットの湯を全てのカップ麺に注ぎ、トースターからピザを取り出し、ポットとトースターをしまい、そしてピザを食べ始める。
――夢とは言え、あの装置で、戦えばカロリーを激しく消費する。昨日あれを飲んでいたとしてもカロリーは…
龍雅は、そう思いながら飯を食う。
飯を食い終えると、冷凍食品とカップ麺のゴミを分解し、素粒子へと還す。
――外は昼すぎ、この時期にしては珍しく晴れている…随分とやったものだ…明日は月曜日、学校だ。学校の予定は…裏生徒会で、体育大会についての会議か…
龍雅は、予定表を見て、そう心の中で呟いた。
――さて、紗里弥んちに行くか…
龍雅は、そう思い、着替え、紗里弥に今から行ってもいいとSNSでメッセージで送ると、紗里弥から来てもいいぞと返信が来て、龍雅は部屋から出て、宮弥の部屋を経由し、紗里弥の屋敷に向かう。
龍雅が、紗里弥の屋敷の襖を開けると、縁側に紗里弥が和服姿で茶を飲んでいた。
「来たか、ふむ、事情は聞いている。弱体化したようだな。」
「あぁ、まるで弱い。非常に弱い。お前と戦ったら俺負ける。」
「そうか、なら今の私ならお前を好き放題やれるってわけだな。」
「えっ…それは…」
紗里弥は、クククと妖しく笑い、茶を飲みながら和菓子を食う。
「さて、龍雅、この私に何か用かな?」
紗里弥は、茶を飲み干し、指を鳴らすと緋香里が茶を下げ、紗里弥は、立ち上がり、龍雅を居間へと案内する。
「話してみろ。」
「いつ開催する? 紗里弥は何に参加する?」
「今日が6月5日だから25日だ。そして参加するのは、格闘大会女子の部だ。全てを凍らせ、焼き尽くしてくれる。」
「殺すなよ?」
「わかっている。後遺症も与えないさ…ただ地獄を味わってもらう。それだけの事だ。」
「そうか…なら、トラウマを植え付けるがいい。」
「そっちもな。お前の腕輪の力は理解している。決勝戦の時、力を解放し、お前を甘く見ていた会場にいる全員に絶望を与えろ。お前が最強最悪の存在である事をな。」
「あぁ…所で、格闘大会の優勝候補ってあるのか?」
「群馬県の能力者高校だ。奴らの強さは、異常だ。そもそも群馬は、謎の影響を受け、環境が厳しくなっているし、動植物は危険なものばかりだ。ドラゴンのような存在を見かけたという報告も出ている。群馬の能力者高校と銀河丘高校は、ライバル校だ。今の内は大和剛司が守護しているが、来年になれば、大和剛司が卒業し、銀河丘高校のいや、東京の最後の砦が消えてなくなる。女子の部は、安泰だ。何せ宮弥がいるからな。奴は、全知全能の力…神の力で如何なる相手が雇用とも私達を勝利へと導くだろう。だが、問題は男子の部だ。今回は強豪選手が二人出てくる。」
「その選手とは?」
「極星院グループ傘下クラウドナイツ重工社長の息子…藤川義輝…そしてお前の親友…槍ヶ岳竜輝だ。」




